2005年07月19日(火) |
そんなの自慢になりません! |
日記書きの友人A子さんから、「梅田で二日間だけの期間限定カフェをするので来てね」という案内ハガキが届いた。
彼女は会社勤めの傍ら、手作りの洋菓子を雑貨屋さんで販売するという夢のあることをしていて、今回のカフェはそのお店のイベントとのこと。このあいだ訪ねたときに買って帰って食べたバナナケーキの味を思い出し、いてもたってもいられなくなった私、「今日はなにをよばれようかな」とあれこれ思い浮かべながらいそいそと出掛けたら。
「ええええ、うっそー」
店内に見慣れた顔を見つけてびっくり。B子さんが来ているではないの。
彼女も日記書きさんで、私のもっとも古い友人のひとりである。ちょくちょく会ってはいるのだけれど、こんなふうに偶然ばったりというのは初めてだ。へええ、こんなこともあるんだなあ。
思いがけず手に入った賑やかなティータイム。A子さんお手製のレアチーズケーキとアイスティーをいただきながら、以前からしようしようと言っていた浴衣パーティーの計画を立てて三人で盛り上がった。
おかげで、次の約束に遅れそうになる私。心斎橋で別の日記書きさんとごはんを食べに行くことになっていたのだ。
あまりに慌てていたため待ち合わせ場所を素通りしてしまい、びっくり顔で呼び止められる。彼も長い付き合いになる気心の知れた友人である。
食事のあと立ち寄ったショットバーで、バーテンダーが私たちの目の前で二十センチ角くらいの大きな氷の塊をアイスピックで削りはじめた。ロックのグラスにぴったり入る直径六、七センチの真ん丸の氷を一個ずつ手作りしているのだ。
へえ、うまいもんだなあと眺めつつも、ふと考える。だったら最初から球形に凍らせればいいじゃない?
「うち、丸氷作ってるよ。ちょうど真ん中にぐるっと一周、継ぎ目の線が入ってしまうけど」
と言ったら、
「それじゃあだめなんじゃない?こういうお店だし」
と友人。
「それにしたって、あのサイズの丸氷一個作るのにあんな大きな氷使うのもったいなくない?あの半分の塊から作ったら二個取れるのに」
「まあまあ、そんなせこいこと言わないで。夢がないんだからなあ、小町さんは」
ゆ、夢がない!失敬な、どんなことにも疑問や問題意識を持つ、それが日記書きの性なのよ。
それに私に言わせれば、ロマンティックでないことについては彼も人のことはぜんぜん言えないのである。というのは。
「あのね、前から思ってたんだけど、小町さんの腕って……」
といつになく真剣な顔をして言う。
ここで十人中九人の女性は、このあとに「きれいだね」とか「しなやかだね」といった言葉がくるものと期待するのではないだろうか。もちろん私もそうである。聞く前からもう照れながら、私は次の言葉を待った。
すると、彼は感に堪えぬように言ったのだ。
「点滴、しやすそうだなあー」
て……点滴ィィィ!?カウンターのイスから転げ落ちそうになる私。
「ちょっとこうしてみて」
言われたとおり腕の関節あたりを押さえると、青い血管がくっきり浮き上がってきた。それを見て、「これなら誰でも一発で針入れられるよ、うん」と満足げに頷く友人は医者である。
血管が太い上に肌が白くてよく透けて見えるから、どんな下手くそにも失敗されないだろうとお墨付きをもらったが、私は思わず「なんだそりゃ!」。このシチュエーションでは女心をくすぐる褒め言葉がつづく、それが真っ当な展開ではないだろうか。
そりゃあね、私といいムードになってもしかたがないのはわかるけど、もうちょっとほかに言うことはないわけーっ。
もっとも、
「そういえば献血でも失敗されたことないわ。そうそう、比重が軽くて献血できないって女の子がときどきいるけど、私なんかすっごい濃いらしくて、お医者さんに『水で薄めても使えそう』って言われたことあるよ。毎回四百採ってもらうけど、フラッとなったこともいっぺんもないもんね」
と得意げにつづける私も私であるが。そんなの、男の人相手にする自慢じゃないって。
連休中は日記の読み書きは休んだけれど、こんな具合に日記書きさん三昧で過ごしていたのでありました。みなさんの三連休はいかがだったでしょうか。
今日は多くの人にとってBLUE TUESDAYだと思いますが、お互いがんばりましょう。