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いよいよ、'06ドイツW杯、日本代表第2戦、 対クロアチア戦である。
さて、気合いを入れる意味でも、8年前の フランスW杯の思い出を、試合前に一つご紹介しよう。
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1998年フランスW杯といえば、日本代表がW杯初出場の大会。 その第2戦めといえば、奇しくも今回の第2戦と同じくクロアチア戦である。
当時私は前社の某広告代理店に勤務していたわけだが、W杯で盛り上がる 会社の同期や先輩後輩とともに、98年6月20日のクロアチア戦に向けて 赤坂の貸し切りバーでのパブリックビューイングを企画。当日は参加する各自が 友達を連れて来たため、男女入り乱れて総勢30名が赤坂に集結した。
地下にあるバーは試合前の興奮で熱気が充満しており、正面に備え付けられた 大型スクリーンでは、キックオフ前の選手達が映し出されている。
招集された全員にテキーラのショットが配られた。 それをキックオフと同時に全員がイッキして、ハイテンションの中観戦は始まった。
スターティングメンバーは以下の通り。
GK 川口 DF 井原 秋田 中西 MF 名良橋 相馬 山口 中田 名波 FW 中山 城
結果ご存知の通り、77分に中田のバックパスがカットされた後、 ゴール前まで一気に運ばれ、最後はクロアチアFWシュケルにゴールを許す。 そのまま試合は終了して0ー1。2連敗となって日本の1次敗退が決定した。
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さて、この後である。
イライラが募る守備的な試合に加えて、敗戦という結果、 さらには1次リーグで敗退決定という結末を目の当たりにして、観戦メンバー達の 逆ギレイッキが始まった。テキーラ、ウォッカのボトルが瞬時に空になっていく。 そしてワタシも浴びるように飲んでいたわけだが、
「負けちまったよーーーーチキショーーーー!!!」
気がつくと、同期の誰かの頭にヘッドロックをかけながら叫んでいたらしい。
ロックを外そうと暴れる同期。外すまいと身体を動かす私。そうこうするうちに、 『ゴン』 という鈍い音が脳内に響いた。何かに当たった感触は不思議と記憶に残っていない。
「キャアアアアアアアーーーー!!!!」
一瞬の間を置いて、場内に悲鳴が聞こえた。
『え?何?何があった?』っと、ヘッドロックをしながら視線を前に向ける私。 すると、みんなが私を見ているではありませんか。しかも全員が目を見開いて…。 皆の目を見てやっと、自分の身に起きている何かに気づいた私は、 額から何かが出ていることに気づき、手を額に持っていった3cmぐらい手前で、
『ピューーーーーーー』
っと吹き出す何かが手のひらに当たった。
「!、何コレ?!」 そんな勢いで吹き出す体内の液体が何なのか?瞬時に想像出来なかった私だったが、 視線を下に落とすとすぐに理解した。足元に真っ赤な水たまりが出来ていた。
「出てるよ出てる!!、スゲーーー!!、タイチスゲーーーー!!」 「血だよ、血!!、オイ早く止めろよ止めろ!!、誰かテキーラ持ってこい!!」
血を止めてくれるのはいいが、何故にテキーラなんだ?? などと思っている間に、私は誰かに羽交い締めにされた。 そして、2〜3人がテキーラを口に含み、私の額に吹きかけてきやがったのである。
「し、しみるわっーーー!!!」
そりゃそうである。 目眩がするくらいに滲みた。体中がしびれた。
何故にテキーラを吹きかけられなければならないのか?、 皆が皆、『止血にはアルコールだ!!』と思ったのか?、しかしその処置は、 どちらかというと、『止血』というより『消毒』ではないのか?、もしかして確信犯か? おい、止血をしてくれ、止血を!!
と思っているうちに、バーのマスターが白いタオルを持って来てくれた。
「これを頭に巻いて、とりあえず止血しよう。すぐに病院に行った方がいい。」
視界が赤くなっていたのでタオルで顔を拭ってから、それを額に巻いた。 気づくと、着ていた白いシャツには血痕が見事に飛び散っていた。
「スゲー!血だよ血だーー!!、何かオレ興奮してきちゃった…!!」
少し目がアブナイ数人が、血まみれの私を見ながら鼻息を荒くしていた。 すると、そいつらは全力疾走で階段を駆けて地上に出た後、(…自主規制…)した。
その後、トイレへ行くと同僚がいた。 同僚は私の姿を見ながら云った。
「…お前はクロアチアの応援をしに来たのか?」
「???」
私は鏡で自分の姿を見た。
そして、彼はトドメの一言を放った。
「裏切り者めー。負けたのはキミのせいしよう。」
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というわけで今夜、 中田や川口と同じく、
オレにとってもリベンジだ!!
060618 taichi
P.S あの後、血染めシャツを脱いだ私は、頭タオル(少し血染め)+上タンクトップ(少し血染め) +下ジーンズ(血痕あり)+足ビーサン、という危険極まりないコーディネートになった私は、 医者に行かずに同期のクルマに乗り込み、当時流行っていた渋谷のFURAへ直行。 フォーマルオンリーなので、当然ながらカジュアルは出禁。メンバー全員追い出されていく。 しかもリアル血まみれの私は黒人2人がかりで羽交い締めにされて強制送還。 その後、警察に(…自主規制…)ていたら、なんとフーリガンに間違われて事情聴取を受ける。 さらにその後、センター街で(…自主規制…)して、朝まで遊んでいました。 白いタオルは赤く固まって、頭の形に固まった帽子になっていました。 ああ、若気の至り…苦笑。
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