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一週間前、6月11日、
突然、我々の仲間が亡くなった。
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彼は、我々のリーダーであった。そして仲間だった。 我々の先頭に立って、同じ目標を目指して歩んできた。 仲間たちを悲哀の淵へ追いやったリーダーの急死。 彼の傍で裸の付き合いをしてきた者たちに、 理不尽なほどの悲しみと喪失感をもたらした。
私は、400kmも離れた場所で働いていたので、 彼が持つ圧倒的な熱気を肌で感じる機会は多くはなく、 他の仲間と同じ感傷に浸るには、ふれあう時間が短か過ぎた。
しかし、一滴の涙も流れない程、 彼を失った事実は、私にとって決して小さくはない。
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彼と出逢って2年半。少ないながらも数十回と逢っている。 言葉も交わした。色んな事を教わったし、口論もした。 私から見た彼は、リーダーとして心底尊敬して止まない部分と、 どうしても理解できない部分との、二つの側面を持っていた。
しかし、その両極端な部分を持つからこそ、彼は真に「人間的」だった。 圧倒的な人間力を持つ存在として、最も影響を受けた人の一人である。 何よりも2年半前に、私に第二の進路を決めさせたのは彼のその人間的魅力。 仲間の中で、彼の存在感は際立っていて、私もそれに惹かれたのだ。
遠くにいたので、体温を感じあう交流が少なかったが、 強いて挙げるならば想い出は幾つかはある。特に亡くなる前のこの半年間、 彼は遠くに居ながら、妙に私の心身を心配してくれた。
「お前、夜眠れないならな、帰りがけにスポーツクラブでひと泳ぎするんだ。 脳の疲労を肉体の疲労に変えてから寝ろ!俺もやるから、お前もやれ!」 「また、色々悩んでるんじゃないのか?云ってみろ。仕事か?女か?夢か?」
通夜の時、そんな彼の「生身の言葉」を、彼の亡骸を見ながら想い出せば、 さすがに、反射的な悲しみがこみ上げる。 しかし正直な所、やはり「リアル」ではなかった。亡くなった実感のない遠い場所から、 彼のすぐそばまで赴いたにも関わらず、失ったという実感が起きないのだ。
彼はリーダーであった。しかも離れた場所にいる人間。 本来遠い存在のはずなのに、微妙に体温を感じる近い存在。 それが私にとっての彼であった。 まさに「社長」と呼ぶよりも、「仲間」と呼ぶのがふさわしい。
それ故、彼の死をどう捉えてよいのか分からなかった。
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火曜の通夜、水曜の告別式と、慌ただしい一週間であった。 色も温度も失ったリーダーの顔を見ながら、ずっと感じていたのは、
「存在感」って何だろうか?・・・・ということだった。
何よりもまず、そこに肉体が在ると感じる手ごたえだろうか? 肉声や体温の記憶、同じ場所にいる臨場感だろうか?
それはあくまで「生身の実在感」だ。 この感覚が鮮明に残る大切な人間を失ったとしたら、その喪失感は慟哭の悲しみである。 リーダーの傍にいた仲間達の悲しみは、おそらくこれに違いない。 それは、私が入リこむことの出来ない領域だ。
だが、「存在感」というのは、これとイコールではない。
「存在」とは、失わないと、その正確な大きさを測れないとよく云う。 「実在」しなくても「在る」と信じられる・・・それが「存在感」だ。
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遠く離れた場所にいた私にとって、リーダーである彼の「実在感」は、 正直云って、ネット友人やTVに映る芸能人に接する感覚に近い。薄いのだ。 体温や手触りや感情を伴う実在感には足りない。
だが、彼の「存在感」は、絶大であった。いつも感じて止まない。 私は「生身の彼」ではなく、「存在としての彼」と共に過ごしてきた。
直接逢った時に、彼から放たれた熱のある言葉たち・・・ 信念、方針、説教、賛辞、叱責、助言…の数々。 それらは時間が経つにつれ温度を失うが、同時に昇華されて、 純度の高い記憶となって頭に埋め込まれている。 私は、その記憶とともに、彼と日々仕事に従事していた。
そして、
そのことは、彼が亡くなる前も、亡くなった今も、 私にとって変わらないのだ。 私にとっては、彼は変わらずに存在しつづけている。
生身の実在感が少ない故、その喪失感にピンとこなかった。 彼が放っていた圧倒的な存在感が故に、失った気分にさせてくれない。
これまでと全く同じだ。
・・・
彼は、亡くなったがここに居る。
みんな、そんな感じでいいんじゃないか? 確かにコレって、私の立場だから云える慰めなのかもしれない。
でもさ、今もリーダーは全然元気なんだよ。 彼の言葉は、変わらずに生き生きしてる。 おっと云っとくが、決して変な信仰ではないよ笑
それに、鋭い言葉の姿のままで、余計な動きをせずに、 じ〜っとしてくれてた方がいいと思わないか?あの人は特に!爆
さて、今日もまた、彼の言葉に説教された気分だぜ!
こういう存在感こそが、 リーダーたる人間の存在感なのだろう。
…という感じで、
だから、がんばろう! 特に、シュンとした上のお兄さん方!笑
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凄まじいスピードで人生を駆け抜けていった我々のリーダー。 これからはどうか、ゆっくり、ゆっくりと過ごしてください。
ありがとう。 あなたの教えてくれた道を、みんなともう少し歩いてみます。
ご冥福をお祈りします。
060617 taichi
※本日は、完全なる私日記となってしまいました。 ご拝読ありがとうございます。
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