|
|
|
|
ホリエモンが逮捕された。 そして社長を辞任することとなった。
以前の日記でも書いてるとおり、ハラは彼が嫌いでした。 実際に会うと違う印象を受ける人もいるので、本当の人柄は分かりませんが、 とにかく生理的にダメでしたね。
しかし、今回の事件そして逮捕、社長辞任。 とても残念であり、歯痒い思いというのが率直な感想である。
*******************************************
「出る杭叩き」なんて想定内でしょ?!
聖域を突き崩し、新しいものを生み出そうとする存在は、 従来の仕組みの上で安泰としてきた守旧派の人達にとっては目障りだろう。 そうした古い人間達を若い人間が疎ましく思っている。こうした空気に同調して、 今回の一連の事件に対し、「出る杭を叩き旧態を守る日本株式会社のシステム」 「どこでもやってることなのに、見せしめ的に堀江はやられた」などいった 少々同情的な意見が若い人間の一部で見受けられたが、それはあまりに安直な感想だ。
今回の事は当たり前なのだ。 実勢以上に株価が高い急成長企業はライブドア以外にもあるが、そうした企業は、 他よりも監督の目が厳しいことなんて当然であり、今回の流れはむしろ健全だ。 ライブドアは上記の中でも最たる急成長企業であり、厳しく監視されていたであろう。
ハラとしては、あれだけ注目され期待を集めて騒がれてきた企業であるわけだから、 そんな厳しい監視の目に晒されてることぐらい「想定内」だろうと云いたい。 想定内であるのにもかかわらず、疑わしきことをやっていたのが愚かなのだ。
見せしめ的にやったのはまさにその通りに違いない。その何が悪い?というところ。 コンプライアンスが重要視される昨今の企業経営の流れから見ても当たり前。そして、 あの狂乱的なバブル時代の予兆が現れている今日で、こうした膿を取り除いたことは、 今後の日本経済に、同じ過ちを繰り返させない効果的な警笛であったと思うぐらいだ。
彼は、確信犯できわどいルートを選んで、先を急ごうとしたわけだ。 そういう厳しい視線や障害などは「余裕の超想定内」として乗り越え、 その上で、彼の信念を貫いたビジネスの行く先を見たかったのだが・・・。
*************************************
「堀江後」に残ったものは?
23日にライブドアとライブドアマーケティング株は東証の監理ポストに割り当てられた。 捜査の進展によって上場廃止決定を踏まえた措置である。 24日のライブドア株は5営業日連続のストップ安で176円まで割り込んだ。
おそらく、ライブドア株の上場廃止の可能性はかなり高いだろう。 堀江は容疑を全面否認しているものの、2人の幹部はほぼ容疑を認めているという。 上場廃止が意味するもの、まさに堀江がビジネスのステージから降りることをそのまま象徴している。 何しろ、彼の経営は株とともにあった。時価総額こそが彼の武器だったのだ。
ライブドアは生き残るべく新経営陣を発表。新社長の平松氏(60)、代表権を熊谷氏(28)に決めた。 平松新社長は堀江路線からの変更を主張し、熊谷氏は有罪なら堀江氏の復帰はないとコメント。 堀江色の払拭に乗り出した。ライブドアにとってこれが最善の策だと私も思う。
しかし、株主や取引先に対するライブドアの信用は失墜した。 逮捕の3人が幹部であったライブドアオートは社名変更を検討しているとのこと。 NTTコミュニケーションズや東京電力を始めとする、本業のポータルの広告主が相次いで、 広告掲載の打ち切りを決定。テレビ東京はネット店舗を閉鎖、西京銀行は提携解消を示唆。 そして最大の被害者・フジテレビは提携解消どころか損害賠償請求を検討しているという。 株価同様に沈みゆくヒルズの豪華客船をなかなか止められない。
さらには、豪華客船の中にある財宝を、外資ファンドが舌なめずりして狙っているという。 ネット通販のセシール、前述の中古車販売のライブドアオート、ライブドア証券等の有力子会社群。 そしてライブドア本体が持つ、フジテレビから「カツアゲ」した資金を中心とする約950億円の資産。
株式分割で拡大させた時価総額が、まるで風船のように萎んでいった後、 残るのは、M&Aで拡大させてきたビジネスの土台となる企業群と資産。 このとびきり美味しい部分を、とびきりお得な値段でM&Aされようとしている皮肉中の皮肉。
なぜに、このような末路を辿ろうとしているのか? 答えは一つ。
彼のつくったものには、 金があるだけでブランド(ココロ)が無い。
ハラが残念だと思ったのはそこである。
*******************************************
堀江に失望したこととは?
彼が嫌いだ、というのはハラの個人的な評価に過ぎない。しかし、 世の特に若い世代の方々が期待していたことと同様、私も堀江氏には期待していた。
守旧勢力に対抗していった姿は清々しいものであった。 業を成し遂げたいと志す人の可能性の象徴であった。 停滞から復活へ、近年の日本の若い世代を元気づけたのは紛れもなく彼である。 彼が起こすダイナミズムを好奇心を持って見つめていたことは確かなのだ。
それだけに残念。がっかりした。 彼が法を犯したことが残念なのではない。 ビジネス界から退場した事も、野次馬的に淋しい感情があるのは確かだが、 一番がっかりしたのは、彼が創っていたものの陳腐さである。
蓋を開けてみれば彼のビジネスは、 結局人からお金を騙し取る商売だったのだ。
誰を騙したかといえばもちろん投資家。特に個人投資家である。 しかも配当というカタチで投資家へ利益還元をせず、株価で還元すると云いながら、 その株価の恩恵を一番自分等に還元させてたんだから呆れる。 株は儲けるも損するも自業自得であるが、ライブドア株ホルダーにとってはそうではない。 詐欺だ。やってることはマルチ商法となんら変わりないではないか。 ウソの情報で投資家から引き出した資金を、そのままフトコロに入れてたわけだ。
彼が創ったものは何もない。 敢えて云えば「ホリエモン」というブランドだ。
*****************************************
「モノづくり」なくして、 「カネづくり」なし。
私はどうしても、「どれだけ儲けたか」よりも 「何を創ったか」を大切したい人間だ。典型的な日本人である笑。
堀江の創るものに期待していたのに、 彼は何も創っていなかった・・・というのが、今回の感想の全て。
ネットを中心としたコングロマリットを目指すと云っていた堀江氏。 構想は素晴らしいが、コングロマリットを形作る一つ一つの「業」について、 どれだけ身を入れて考えていたのか?
例のニッポン放送買収の時に、江川紹子氏に語ったメディア論が物語る。 彼が語ったメディア像は「皆が見たいニュースだけが載っているメディア」であった。 江川氏が呆れ返っていたように、私も空いた口が塞がらなかった。 メディアというものがどういうものかという議論はさておき、彼の考え方は、 要するに、視聴率やアクセス数を重視するということだ。つまりは数字であり、 広告出稿量であり収益なのだ。メディアが最優先とするものはそうではないはず。
メディア、通販、中古車販売、不動産販売、証券、金融…どれだけの業を融合しようと、 一つ一つの業に対して彼が重んじるものは「金」だ。本当に分かりやすい。 物販や金融ならば、それもまだ分かるが、上記の「堀江メディア論」に集約されるように、 とにかく「金」に結びつく最短のやり方が、彼にとって最優先なのだ。
その対価と引き換えに、彼が顧客に提供するモノ…つまり、 「商品(サービス)」づくりについての信念(=ブランド)は、無きに等しい。
*****************************************
「堀江ファン」はいても、 「ライブドアファン」はいたのか?
実際、ニュースを見て欲しい。「堀江社長が逮捕された!社長を辞める!」との報に、 ビジネス界から彼が居なくなることへの失望の声は聞かれるが、 「彼が創ったモノが無くなるかもしれない!」「無くならないように運動を起こそう!」 という声が果たして聞かれただろうか?
もし、日本で云えば「ソニー」や「資生堂」や「ホンダ」、外資で云えば「アップル」、 同業でいえば「ヤフー」や「楽天」、または「はてな」や老舗の「ニフティ」など、 これらが消えるとなったらどうだろう? 多寡の程度の差はあれ、「無くなるのは困る!」という声がファンから起こるのでは?
ライブドアにそれが有るか?…無いのである。 ライブドアグループの実体は何だ?…無いのだ。
*************************************
カネとココロをリンクさせてこそ 健全な経済活動なのでしょう。
私は「金」と「価値」が等しく交換されてこそ、健全な経済活動だと思う。 「価値がないもの」と「金」が交換される仕組みが横行することは、 結局は歪んだ二極化につながると思う。
前回の日記で、「人生は『金』と『ココロ』のマネジメントだ」と言ったが、 ビジネスも同じだなあ〜と、今回つくづく思ったのである。
彼には、ココロ(=ブランド、モノづくりの信念、顧客を感動させること)が無かった。
新しく代表取締役に就任した28歳の熊谷氏は、 社長に60歳の平松氏を選んだ理由をこう語った。
「人生経験の豊富さだ。これまでの経営陣は社会的経験が浅く、 周りの方々の心を理解できない部分があった」
若い熊谷氏がどれだけ身にしみて感じているのか、 以前から前社長に対して感じていたことなのか?
おそらく堀江後のライブドアはさらに縮小されて、限りなくゼロからのスタートとなる。 昔でいえば、「江副後のリクルート」のように、新生ライブドアが再び浮上できるか否かは、 この「ココロ」にかかっていると思う。
そして、時代の寵児・ホリエモンは・・・、
私は、彼はいつか必ず復活すると思ってやまない。 その時、彼が「ココロ」を携えているかどうかは、分からないが・・・。
060124 taichi
...
|
|
|
|
|
AIR〜the pulp essay〜_ハラタイチ
/count since 041217
Mail
|
|
|