|
|
|
|
|
- 2005年07月27日(水)
|
|
∨前の日記--∧次の日記
|
- 平均年収は890万…、富士火災がHPで言い訳
|
|
|
|
|
去る7月15日にマスコミ各社で報道された、 「富士火災の社員、手取2万円!」のニュースだが、 しばらくはBBSなどで議論や祭りが繰り広げられているのを見ていた。
議論は大方二分している。
A. 「分かってて勤めてたくせに、この社員は大甘だ!」
B. 「手取2万円なんて酷い!!富士火災は極悪だ!」
どのBBSやブログを見ても、AとBのどちらかであった。
ハラの感想としては、
A・・・70% B・・・30%
という感じだった。
25日に掲載された、とあるテキストを見るまでは・・・
******************************
A「この社員は大甘だ!」
つまりは、 「こういう制度を分かってて勤めてたくせに、この52歳は そんなリスクヘッジもしてないのか?!家族もいるのに!」 ということ。
富士火災の行き過ぎた成果主義を議論する前にだ、 この52歳は、家族のためのライフプランを しっかり立てていたのか?と私は思った。
一番かわいそうなのは家族だ。厳しい制度だろうが何だろうが、 今現在、成果主義体系に身を置いてる限り、そして家族がいる限り、 しかるべきリスクヘッジをしておくべき。 高給〜薄給の波があるのが成果主義システムでしょ。しかも管理職が無くて、 全て己で働いた分の成果で計られるから、自分で具体的に分かるはず。 生活権侵害の薄給を訴える前に、高給時にプールして備えておくべきでしょ。 高給な時が過去にあったはずだと思う。 額面11万から9万も所得税や社会保険が引かれてるんだから。
もっと云えば、 富士火災の成果主義「増加清算金制度」って、具体的によく分からないが、 前年の業績が今年に反映される制度らしい。
この社員の6月給与額面11万円は、前月の業績の反映でなく、 前年4〜5月の業績の反映なのだ。前年のその頃、すごく悪かったに違いない。 そのマイナスの成果が今年6月給与からさっ引かれたわけだ。
つまりこういうこと。この社員は、 今年の6月の給与が相当悪い事を、 一年前に分かっていたはず。
そういう制度なのだ。前月悪かったからといって いきなり次月の給料が大幅に減らされずに済む制度だ。 余裕を持って1年後に減らされるというわけである。
にもかかわらず、 貯めずにつかってしまったわけだ。家族いるのに…。
察するに、この社員はもしかして、昨年からずっと業績上がらずに、 分かってても、どうしようも出来なかったのかもしれない。
あの、どケチで名高いオリックスが経営に参加し始めた2002年から、 賃金体系の中身を変更して締め付け強化し、住宅手当もカットされ、 相当嫌な予感がしてたにもかかわらず、高齢での転職は怖かった。 そして来たるべきXデーが来てしまった。
もう意識が普通でなくなってるかもしれない。 本人も冷静なら分かってるはず。 裁判に勝ったところで、今後会社との関係がどうなるのか?
もしかして、 今回の地裁への申し立ては、一社会人としての自爆テロか? 自ら身を投じて、富士火災の異常な成果主義を世に問いたかったのか?
でも、家族いるのに…。
*******************************
というように、どちらかというと、 地裁申し立てした社員の方が甘いと思ったのだが、 一方で、富士火災の成果主義システムもどうかと思う。
B. 「富士火災は極悪だ!」
確信犯で勤める社員が、調子いい時に高給もらっておきながら、 悪い時になって文句云うな!という話をこれまでしてきたが、
それとは別に、 「富士火災は社員に対してそこまで冷酷だったのか…」 というのが、世間の感想として急速に定着しつつある。 (この時点で、52歳の「自爆テロ」は目的を果たしているのかも…)
ネット議論でよく出ていたキーワードが、 「成果主義の成れの果て」「行過ぎた成果主義」「勘違い成果主義」 と、昨今の成果主義美化観をここぞとばかりに叩いている。
つまりは、人件費をケチりたいだけの成果主義を 「当社は成果主義を導入しており」と声高に美辞麗句して、 リクナビなどの就職サイトで謳っている、というわけだ。
分かる。確かに本当に成果主義であるならば、 最低限の生活が可能な手取給を保障してあげた上で、 業績に応じて「加算」していくのが筋ではないかという話だ。
成績が悪いのはオマエの全責任だと云わんばかりに 給与をマイナスするシステムは理不尽だという理屈は理解出来る。
業績悪化は営業力だけの責任ではなく、商品力にも責任がある。 特に保険商品などは、信頼性やブランド力がモノを云う。 ちなみに、富士火災の格付けは下位の下位だ。
スタンダード&プア―ズ 05.04.11発表の格付 =================== アメリカンホーム保険・・・・AA+ AIU保険・・・・・・・・・AA+ ゼネラリ☆・・・・・・・・・AA フェデラル保険・・・・・・・AA 損害保険ジャパン・・・・・・AA- 東京海上日動火災保険・・・・AA- 三井住友海上火災保険・・・・AA- 日本興亜損害保険・・・・・・・A+ チューリッヒ保険☆・・・・・・A+ ニッセイ同和損害保険・・・・・A+ 日立キャピタル損害保険・・・・A- あいおい損害保険・・・・・・・A- エース損害保険・・・・・・・・A- 共栄火災海上保険・・・・・BBB+ 日新火災海上保険・・・・・BBB+ 富士火災海上保険・・・・・BBB ===================
競争力の無い商品を提供して売ってこいと云っている以上、 マイナス分を営業マンに丸投げせず、会社側も持つべき。 事実上、契約営業方式になっているのなら、なおさら、 会社側も業績不振の応分の負担を負うべきである。
富士火災の増加精算金制度は、不振の場合の会社責任負担も 営業マンに丸投げ転嫁するシステムのような気がする。
ただ、こういう過激な成果主義でありながら、 営業職は2700人もいて、まあ頑張って利益を上げてるわけだ。
この賃金体系がダメなら、辞めてくだろうし、赤字になるだろうし、 でも実際そうならずに業を成立させているのだから、 別にどうこう云わんでもいいんじゃないか?社員も嫌なら辞めればいいし。
色んな会社があり、確実に成果主義志向という流れがある中で、 このくらい割り切ったやり方を採用する会社が存在したっていい。 お手並み拝見である。そのうち、なるようになっていくはず。
自分が勤めるかどうかは別として、 あくまで第三者的には、あってよしと、そう思っていたのだ、
…これをみるまでは↓…
「富士火災海上HPの新着ニュース欄・7月25日発表のリリース」
==================================== 2005年7月25日 各 位 富士火災海上保険株式会社
ご 報 告
(7月16日付 産経新聞(ほか数紙) ならびに 7月25日発売「AERA」・「週刊ポスト」等の報道について) 弊社の社員が賃金支払いの仮処分を申請したことについて 一部の報道機関が報じたことに関しまして、次のとおりご説明申し上げます。 報道の概要は、当該社員が「給与の手取額が約2万2千円となり、生存権を定めた憲法に 違反する」などとして3月〜5月の平均給与約21万9千円などの支払いを求める仮処分を 東京地方裁判所に申し立てたものであります。 なお、報道では会社からの給与総支給額が11万5千円であったと報じられています。 まず、弊社の「給与総支給額」におきましては、最低賃金法(*)に抵触するような事実は一切無く、 法律に従って適正に運用しておりますことをご報告します。 また、「手取り額」とは「給与総支給額」から所得税や社会保険料のほか、 個人加入の保険料なども控除されたものであることをご理解いただきますようお願い申し上げます。 (*)最低賃金(東京都の場合)…710 円/時×所定内労働時間×営業日数で計算され、 弊社の場合約11 万円となります。弊社社員には大きく分けて 「固定給の内勤社員(2005年度大卒初任給212,500円(総合職の場合))」と 「歩合給の営業社員(PA=プロフェッショナル・アドバイザー)」が在籍しています。 今般の報道は、このうち「歩合給の営業社員」が申し立てたものですが、 営業社員制度は大正7年の会社創業と同時に創設され、 以来、基本的に代理店の手数料や生命保険会社の営業職員の 給与と本質的に同様に保険の契約高に連動して報酬を支払う給与体系としております。 また、現在1,500名強(研修社員を除く)を擁する体制となっています。 契約高に連動することより、報酬は年令や性別・社歴などには一切関係なく決定され、 また月例給与とは別に年3回の臨時給与(ボーナス)のほか、 四半期毎のインセンティブ報酬などを設けています。 ご参考までに、営業社員全体の昨年度の平均年収は約890万円(生保手数料を含む)でした。 弊社では現在、申し立て内容を確認するとともに対応を検討しておりますが、 現時点におきまして皆さまにご理解賜りたいことにつきましてご説明させていただきました。 今後とも引き続きお引き立ていただきますようお願い申し上げます。
以 上 ====================================
冒頭の「とあるテキスト」というのはこれのことです。
誰から見ても割り切った 過激な成果主義を堂々と採用しておいて、 そんな言い訳するぐらいなら、 やめちまえ!!! と思ったわけですよ。
体面つくろわず、堂々としてろ!と。
===================
「営業社員制度は大正7年の 会社創業と同時に創設され、」
昔からあった制度=その社員は分かってた事 って云いたいんだろうが、
成果を計る物差しを変えてるじゃねーか! ごまかすな
===================
「契約高に連動することより、 報酬は年令や性別・社歴などには 一切関係なく決定され、」
成果主義の美辞麗句を宣ってごまかすなっ! やることやっちゃってんだから堂々としろ!
===================
「年3回の臨時給与のほか、 四半期毎のインセンティブ報酬も…」
これもあげてます、あれもあげてるんですよ…
相当「どケチ会社!」と云われたんだな。 でも全体の制度がどうとかではなく、 一人の社員をどのくらい大切にする会社なのかを 皆は知りたいんだよ!
===================
「昨年度の平均年収は約890万円」
平均年収? だから全体の話してごまかすなよ! 云われてるのは年間総額じゃなく、 月の最低額についてだよ!
===================
**********************************
ひとりの社員への対応を非難されてるのに、 必死で一般論や全体論でごまかし、共感を得ようとするリリース文。
振込金額欄に¥22,000- と書かれた給与明細を冷たく手渡している会社が、
いまさら何を媚び売ろうとしてんだよ!開き直れ! 方針を堂々と主張しろよ!
過激な成果主義システムは どうしたって隠せない!
逆にその社員に説教するぐらいでいい! そして困ってんなら貸してやれ! 次頑張れ!家族のためにな…と云ってやれ!
過激なシステム採用しといて、いざ世間から問題視されると、 「い、いや〜これはですね〜」なんて云うくらいなら、
やめちまえー!!
050727 taichi
...
|
|
|
|
|
AIR〜the pulp essay〜_ハラタイチ
/count since 041217
Mail
|
|
|