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「おまえら、俺の女に手を出したら、 ただじゃおかないからな!」
「最近、彼、様子がおかしいのよ…」
「ケンジって、ストーカーだよ」
「マリコって、切り替え早いのね〜」
…とまあ、 上記のような会話が繰り広げられているらしいのだ、
イマドキの幼稚園児の間では…。
とても激しいというか、進み過ぎというか…、
最近、とあるところから話を聞いて いや〜驚きました。
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あるクラスの中に、アイドルのような存在の女の子がいるとする。 そのコを仮にマリコちゃんと名付けよう。
そのマリコをめぐって、クラス内に「萌えグループ」が出来る。 そのうち、性格・腕力とも強い男子のケンジ(仮名)が皆に宣言する。
「マリコは俺の女だ。わかったな!」
クラス内でマリコの隣の席のA君が、 たまたまおしゃべりをしていた。
また、おゆうぎの時間に、たまたまB君が、 マリコの隣になり、手をつないで踊った。
するとケンジは、 A君とB君をひとりずつ園舎の裏に呼び出して、 ボコボコにするわけである。
後日、マリコのお母さんは、 A君とB君のお母さんからこのように云われるのだ。
「マリコちゃんはいいですわね〜、 男の子たちに人気があるようで〜」
A君もB君も、ケンジが怖いので、 ケンジの名前を出さずに、 「マリコちゃんと○○したから、みんなから…」と、 原因となったことだけをしゃべっているのだ。
お母さんも大変である。
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マリコは、グループになって群れているような男の子には あまり興味が無いらしい。 どちらかというと、一匹狼のような存在の男が好みのようである。 別のクラスにいたC君という男の子がそうであった。
一時期、そのC君とマリコは、 ケンジに分からないように秘かにラブラブだった。 しかし、C君がマリコと同じクラスになってから 彼が口を効かなくなってしまったというのだ。
原因は間違いなくケンジである。 C君がケンジから何か云われたことは想像に難くない。
マリコは同性にも人気があった。 マリコの家に友達が遊びに来て、部屋でおしゃべりしていた。
マリコのお母さんは、部屋から聞こえて来た会話を聞いて、 思わず吹き出してしまったという。
「最近、彼、様子が変なのよ」
「絶対ケンジでしょ〜、もうサイアクね〜」
「ケンジって、ストーカーだよね」
「っていうか、C君も大したことないわね」
「マリコさ〜、そんな情けないオトコ、やめちゃえば?」
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お母さんは、「あたしが普段そんな事を云ってるのかしら〜」 と苦笑いしながら云っていた。ま〜それもあるかもしれない。
しかし、殆どはおそらくテレビ番組であろう。 子供にとって、画面の中にいる 魅力的なキャラクターやタレントが話すコトバは、 悲しいかな、親が話すコトバよりも何倍も影響を与えている。
各家庭の子供が影響を受けて、誰かが幼稚園で話し始めると、 さらに増幅されてあっという間に園児の言語となっていく。
イマドキの中高生の話し方が、 園児にとってもまさにリアルであるのだ。
昔の何倍もの情報量とスピードにより、 意識形成の速度も早まってきている。 (同時に中高生の意識形成が未熟ともいえるが…)
彼らが高校生になっていく過程の中で、 今の口語に飽きて、新しい会話言語が生まれているのだろう。
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さらには、 イマドキの園児たちの「恋愛観」は一体どの位のものなのか?
正直云って、自分が園児だった頃を思い出せない。 何せ「自我」が芽生えてなかったもので全く記憶に無い。
思うのだが、時代がどんなに変わろうとも、 本当の恋愛は自我が芽生えないと成立しないと思う。
では、自我の芽生えが早まっているか、といえば そんなことは無い。むしろ今どきの中高生を見れば 逆に遅れているのではないか?とさえ思う。
「○○ちゃんがすきー」「○○君とけっこんするの」
園児のこんな感覚は所謂バーチャルなもの。 つまり、環境から得た情報を機械的に反復しているにすぎない。 これは昔も今も変わらないはずだ。そういう発育時期なのだ。
最近の園児を取り巻く環境が、そして情報内容が、 高度化されアクセスしやすくなっている。
したがって、冒頭のような会話は、 昔よりも高度な内容の情報を反復しているだけにすぎない、 …と、ハラは思っているのだが。
そして、 会話や行為のテクニックだけが身に付いて、 小学校を経て中学生になり自我が芽生えていく。
こうしたテンポとプロセスで成長していくと、 人はより即物的に育ってしまうのではないか? ハラはそんな気がしてならない。 「心」の成長と、表面的な技術との差が有りすぎるのだ。
コミュニケーションテクニックの高度化と共に、 他人を想う心や自分に対する理解度を深める事が必要だ。 それが出来るのは、テレビではなく、やはり
親なのであろう。
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偉そうな事を云っているものの、 ハラは子を育てた事が無い。
話を聞いていて、子育てというのは、 なんと尊く、なんと難しく、 如何に大変なものであるかということを実感した。
おとうさん、おかあさん、
がんばれ。
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最後に、最近のマリコちゃんは、 新しい彼を見つけたらしくとても陽気のようです。
マリコちゃんの部屋にまた友達が来て、 友達からこんな風に云われていたのを、 お母さんは部屋の外で聞いたらしいです。
「マリコって、切り替え早いわねー」
050612 taichi
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AIR〜the pulp essay〜_ハラタイチ
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