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- 2005年01月29日(土) ∨前の日記--∧次の日記
- 広告なんて信じられるかっ!


右の、3人家族のイラストは、
マンションの販売広告(折込チラシ)用に
ハラが描いたものです。

この家族には、以下のような設定があります。


=================
夫31歳、妻30歳、
長男(名前は「けいすけ」)4歳。
居住地は東京隣接県。

夫は都内勤務会社員、妻は地元駅前の百貨店でパート勤務。手取月収は夫25万、妻5万。月々30万円で生計をやり繰りしている。

結婚後、駅徒歩10分にある2LDK・55平方m賃貸マンションに住み、家賃は月々8万円。今年で居住4年目で、2度目の更新の年を迎えた。

息子のけいすけも4歳になり、幼稚園への入園を考えなければならない。

夫は昨年末から3月を目安に引越を検討。月々のやり繰りや貯金を考え、少しだけ広めの賃貸マンションを物色。

しかし、再び4年(更新2回分)住んだとして、4年間で約400万円もの賃料を払い捨てることを考えると、分譲マンションも頭によぎる。

購入時に必要な金額もそこそこで、月々のやり繰りを圧迫しない返済を組めるなら、より広く最新の設備がついていて、駐車場も断然安い方が良い。しかも住宅ローンの控除が効くということであれば、思い切って分譲マンションを買って引っ越すのも手だ、と父は思い始めた…。
=================






お手頃なファミリーマンションを検討させるための、
典型的な「煽りのストーリー」が設定されている。




主に住宅の広告を扱う営業をしている俺は、住宅会社の担当者に
上記のようなストーリーを捲し立てて、広告の方向性を説得する訳である。

「泥臭いお金の話は、分かりやすく気軽に読ませなければなりません。
ただ数字を並べて、頭ごなしに『だからお得なんだ!買いなさい!』
と云うようなやり方では、胡散臭すぎて読む前から疑いの目でみられます。

伝える側が受け取る側の場所まで降りて、同じ目線からモノを云わないといけません。
このような、賃貸暮らしで子供がいる団塊ジュニア世代の家族のイラストを載せて、
まず、受け取る側に『あ、俺らのような人が何か云ってる』と感じさせることです。
それから、そのキャラクターに語らせるわけです。すると臨場感が出てきます。
どうですか?そう思いませんか?そういう広告の方向性にしましょうよ!」



…てな感じで、
この広告を出せば、イラストのようなお客さんが、
いっぱい集まりますよ、っていうわけだ。









あくまで個人的見解であるが…、
















俺たち団塊ジュニアを
甘く見るんじゃねぇ!!







そんな煽りに
乗るかボケェ!








これは、誰に突っ込んでいるかというと、

営業モードの俺自身と、
俺の説明で簡単に頷いた住宅会社の販売担当者にである。






*******************************




これは特に、
都内勤務の団塊ジュニア世代に云えるのかもしれない。
俺もその仲間に含めさせていただくと、
団塊ジュニアと呼ばれる我々は
そんな広告の宣伝文句ごときで流れないのだ。




我々は、バブルを謳歌していない。
我々は、バブルが弾けたと同時に社会人になった世代だ。
我々が入った社会は、既に

「あ〜バブルの頃は良かったよな〜」症候群
の真っ只中だった。




段々と縮小していく市場。急激に冷えていく市場。
徐々に伸び悩んでいく給料。次第に堕ちていく精神。

ただし我々の世代でも、IT業界の連中だけは
違っていたのかもしれないが…。




とにかく彼らは、
何一つ良い事無い10年を過ごしてきた訳だ。
それが、団塊ジュニア世代なのである。

仕様がない、仕方が無い、我慢するか、不景気だもんな…。
こういう気持ちを、溜めに溜めて、彼らは我慢を重ねてきたわけだ。




**********************************




我慢と妥協を重ねてきた彼らにとって、
クルマや住宅といった一世一代の買い物、これだけは…、








絶対に妥協するわけには
いかないのだ。







だから、徹底的に調べる。
ネットで調べる。情報誌で調べる。
究極の選択をするための理論武装をする。






そんな彼らが、
広告なんぞのキャッチコピーを信じて
買いにくる訳が無いのだ。





買いにきた団塊ジュニアがいたとすれば、
それは、別にその広告に煽られ納得したからではない。
その広告が、己のモノサシと合致したからに過ぎないのだ。







***********************************





…ということを確信犯で、
俺らは広告を創っているともいえる。




昔の、紋切り型の通り一遍の表現ではなく、
彼らのモノサシの数だけ、
広告表現を考えなければならない。




おっと、上記の文章は少し矛盾し始めている。




そもそも、
一人一人の独自のモノサシに合うメッセージを届かせることは、
広告というマスコミュニケーションの範疇を超える作業だ。


それは、巷で頻繁に云われている
「口(くち)コミニュケーション」がなし得る技。


この「口コミ作業」を広く同時に出来ないものかと考える…。


思うに、
なのだろう。
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当然、信頼すべき場所を選ばなければいけないが、今や何かを検討する時には、
広告よりも何よりも、こういうところで情報を仕入れている人ばかりだ。


ここに直接、俺ら広告屋は手出しは出来ない。
ありとあらゆるところで、自作自演を繰り返すぐらいしか思いつかない。


だから今、「ライブマーケティング」という手法がとられる。
マス告知広告よりも先に、「体験イベント」をたくさん行うのだ。
昔はイベントというのは、マス広告のサポートに過ぎなかった。
しかし、今は違う。先に大々的に行うのだ。




もうお分かりだろう。



これは、
体験した人を媒体化する
ことが狙いなのだ。



体験者が大勢つくることが出来れば、
それは何よりも説得性のあるメッセージを携えたマス媒体となるのだ。

彼らが散らばって、近所や友達に口コミをする。
BBSのレビュー記事に投稿しまくる。

その口コミの輪が広がっていくことで、やっと、
「商品広告を信じてもいいかも…」という「土壌」が出来る。
その段階で、その土壌に対して一気にマス媒体による広告を放つわけだ。






********************************






バブル崩壊後、何一ついいことがなく、不安になり疑心暗鬼になった。
個人が受け取る情報は加速度的に増大し、「国民総評論家」となった。
もはや、お上からモノ云うような画一的なマス広告を信じなくなった。



相手に何かを伝えることが、
格段に難しくなった世の中というわけだ。
故に、昔より一層の労力とお金がかかるのだ。



広告の仕事をしていると、クライアントである
様々な商品のメーカーや不動産デベロッパーの方々(特に年配の方)のうち、
上記のことをどれだけの人が理解して、
広告の打合せに出てきてくれているのか、疑問に思う事がある。









何事も、
己を放つだけなら簡単なのだ。
相手に伝えることよりも格段に。



050129
taichi

...
    

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