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2005年02月24日(木) |
歯医者とカメ〜その2〜。 |
前にも書いたけれど 私が長く罹っている歯医者さんの先生は優しいし、治療も上手。 週に一度、歯科大学の方に講義にも行かれている様子だ。 元々学者肌な人と言うか、気になる事は 患者さんの歯を使ってでも色々と やって見たいタイプであり、説明も親切であり全部なんでも説明してくれる。
「虫歯の穴が深くて、神経が残せるかギリギリと言った所です。今は本っ当に薄く 神経ぎりっぎりのところまで削ってますんで、本当にぱりっと言ったらお終いと 言う所でプラスチックで固めて様子を見てますんで、もし痛みが出たら神経の 方は諦めて下さいね〜☆」
あああああああ、それからの1週間の生きた心地がしなかった事と言ったら。 何でこう、生理に触れる言葉を さらっと穏やかに言ってくれるものやら。 だが結局、痛みは全く出なかったんである。ビバ。
今日は通院日。「痛くない?そう、良かったですね〜」全くです。 「では金属を入れるのにもう少し削って形を整えます、はい口を開けて」 出た〜っエアタービン!あの恐怖の歯削り機、エアタービンと言うんだそうで。 これに似た機械は結構ある。我が家にも やっぱりこれの子分みたいなのがある。 ルーターと呼ばれていて、木彫りで鳥を作る母が、これを使ってる。 「音ほどは削れてないんだよね」と言う事で、試しに彫らせて貰うと、 なるほど その通りだ、音ほど削れない・・・それ故に音は延々と続いている。 ヴイイイイイイイイイ〜ンきいぃぃぃぃぃぃぃぃ〜ん 気が付けば私は、頭の中でエアタービンの音に負けぬよう大声で歌を歌っている。 その歌は、何故か何時も同じ歌なのだった。 ♪ああ〜日本のどこかで〜わたしを待ってる〜人がいるぅぅぅぅ〜〜っ♪ 何故この歌かと言うのは、もう忘れてしまった。20歳の頃に、まとめて歯の治療を 現在通っている病院では無いところで受けた事があり、その時のエアタービンが 凄まじく辛かったため、編み出した技ではないかと思われる。 歯を削られると 頭はいい日旅立ちを歌う。 ギイイィィッギイイイイ〜〜〜ンキュイ〜〜〜〜ン ♪いい〜ひ〜たび〜だち〜しあわせを〜さがし〜て〜♪(涙) 今日は随分削られた気がする。確かに 音ほどは削れて無いんだろうけど。 しかも痛くも無かったのだが。
ぜーぜーはーはーぜーぜーはーはー・・・ やっと掘削治療が終わり、荒い息を(私だけ)吐いていると 歯医者さんで 流しているB・G・Mが耳に入って来た。ノッティングヒルの恋人より「SHE」。 浪漫ちっくな名曲だ。そうか、これがずっと 患者さんをリラックスさせるために 流れていたんだな〜。 そしてその間 私はエアタービンと一緒にいい日旅立ちを頭の中で絶叫していた と、そう言う訳なのか。 『型』を取って貰いながら 私は柔らかなB・G・Mを聴いていた。 口開けっ放しの間抜け顔だが、気分はもう すっかりリラックスしている。
もういい日旅立ちは止めるべきかも知れないなあ。 日本のどこにも 私を待ってる人なんてもう居ないんだろうし、待ってるとしても それは弁当を作って欲しいだけの息子と、今でこそ私より遥かに元気だが やがては 介護が必要となってしまうんだろう親と・・・
いや、考えるのはよそう、取り敢えず歯を削られている時に頭で何を歌うかだ。 コンドルは飛んで行くとかどうかな。次回から意識して歌って見る事にしようか。
歯医者と言えばカメだ。 さあ、今日のカメさんたちはどうだろう? 来た時は見る暇も無かったんだが・・・。 2匹は別々のところに居る。そして1匹がこちらを向いて泳いでいる。 私は水槽に指を付けてみた。カメは私の指を餌だと思ったのか、 それとも単に不愉快な物と感じたのか大きく口を開けた。そして直ぐ口を閉じ、 もぞもぞと泳いで行ってしまった。
いいなあ〜、お前は。歯が無くてさ〜。
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