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陽の光が家の中に入り、サイドボードの鏡の上に綺麗な虹模様を作る。 あらゆる色彩を混ぜると 得も言われぬ、黒と言うのも余りにどうかと言う色味に なってしまうが、光に関して言えば、この美しい色合いを中に含んで日の光は 尚、透明である。 光が見せてくれるこの帯状の虹の姿を『スペクトル』(帯スペクトル)と言うんだ そうである。端っこには赤と紫、その外側には人の目には見られぬ赤外線と紫外線がある。 赤外線はあったかく、紫外線は余り浴びると良くないが殺菌作用もあるんだよ〜 くらいしか私は知らないんだが。
スペクトラムと言う言葉は、このスペクトルと元は同じだ。 『連続した』と言うような意味である。繋がっていて境目が判らない。そして 連なっているそれが、一つの何かを表している。
自閉症スペクトラム。中でもアスペルガー症候群は有名だろう。 重大な犯罪行為を犯した未成年が立て続けにこの症例と診断されたからだ。 本来は攻撃性など無く、逆に攻撃の的にされる事が多いと 専門家は指摘する。 じっと出来ない、人の話しが判らない、聞かない、しなければならない事よりも やりたい事を優先する、自閉症スペクトラムの診断は3歳前でも可能であると言う。 寧ろ早い判断が、より早い療育を受ける機会を子供に与え、社会生活で本人が 齟齬を感じずとも済むように出来ると言うのだ。 だが、これは脳の異常であり、治る事は無いと言われる。
多動性障害(ADHD)、これにはリタリンの処方が有効であると言う。アメリカでは 小児に普通にリタリンが処方されて来た。そして現在、薬が原因と思われる 子供の自殺問題が起こっている。 何を基準にして異常と判断するかは国によってかなり差があると言う。 アメリカでは(州にもよろうが)20人に1人の児童が(ADHD)と診断されていた 事があったと言う。異常である。診断する方が。そりゃリタリン問題も起こるだろう。 起こって当たり前な気がする。
大人の人にもアスペルガーは居る。これは他薦か自薦であろう。 他薦は、ある意味誰がそう感じているのか問題だが 自薦は、自分が何処か 変だと判る辺りで、もうどうにか出来そう気がするのだがそんな訳でも無いのだろうか。 近視であれば、自分の目が見えるようになるまで看板に近付く物だが、何しろ脳の 問題なのでそうも行かないのだろうか。 そう、これは心の問題では無い。心理的な物に原因を求められない範疇の病気なのだ。
大阪でまた辛い事件が起きた。犯人は17歳、一昔前の少年法ならまだちょっと 甘めの処遇となった可能性もあるが、この少年には3人とも殺してしまう可能性があった。 殺意は無かったと本人は言っていると言う。だが、より殺傷能力が高そうと言う事で 刺身包丁を選んでいる。 彼は病気なのか、そうでは無いのか。 人様に包丁を向ける心理は既に病気だが、心理以前に病気があればそれが主原因と 見なされこうした子にこう言う環境を与えた場合云々と言った議論の展開と なって行くのだろう。
オレンジジュースの話は、以前私が 自分の耳で専門医から聞いた話だ。 100%のオレンジジュースを『自閉症』と言う病とする。そのオレンジジュースを うんと薄く真水で薄める。うんとうんと薄めるともう何のジュースか 判らなくなる。更に薄めるとジュースであるかどうかも判らなくなる。 だが、それは決して水ではない。この薄まった水に近いオレンジジュースを 「高機能自閉症」と言うのだそうだ。 真水に近い物、ジュースに近い物、薄さは様々と言う事らしい。
真水って何だ?私は本気で解らない。 自閉症とは違う症状を持ち、かと言って外の世界に 常に生育環境などを別としても 「何処か違う物」を感じ、苦しむ人が居る事を 否定はしない。 だけど薄めても真水にはならないよと言い切る、その真水って何なんだ。
オレンジジュースは耳障りが良いが 本当に随分薄めても味が判るのは酢である。 高機能と言う言葉は高機能では無い物と比べてそう言っているのであろうが 3歳前の子供に 時として真水では無いですねと宣告する行為だ。
思わぬ特殊な能力で伸びるかも知れませんよ と笑って言った医者の片手にはピンクの高機能自閉症一覧を書いた紙があった。 今からもう、1年半前の事だが。
どれほど薄まっていても真水にはならない この表現の意味するところを 日常的にこの言葉を使う人には 常に考え居て欲しいと思うだけだ。
真水でもジュースでも酢なんかでもない。 そんな言葉を例えでも、子供に向けたり 向けられたりしたい 親なんか居るものか。
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