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2005年02月21日(月) |
誰だあんなの録画したのは。 |
現在では、大分その描写に お茶の間向けの配慮がなされている様子だが、 某局で2時間枠のサスペンスドラマが始まった頃、そのお色気度には中々な ものがあった。 今では市原悦子か片平なぎさな感じだが、初期の2時間ドラマ枠で名を馳せて 居た役者さんには 今は懐かし日活ロマンポルノ出身の 演技派女優さんなどが 沢山混じっていたのである。 当時はドラマと言えば1時間。幾ら連続して人が死んだぞ、さあ犯人は誰だ! でハラハラさせても 映画1本並みの時間、テレビの前に視聴者を止めておくには 相当目新しい何かが必要であったろうと思われる。 エッチは別に目新しい事では無いが、ゴールデンタイムで毎度必ず見られると 言うのは 十分に目新しい事だった。 かくして、一家団欒の席でお母さんは怒り、お父さんは 時に茶の間を排斥された。 ちっこい自分用テレビを買って貰って、空いてる部屋に逃げ込むお父さんも居た。
私は他人の家で、一度だけお父さんが 茶の間を追い出される瞬間を見た。 お父さんがその時、居間で大ボリュームで観ていたのは『極道の妻たち』 そこへ3歳と5歳の2人の孫を連れた奥さんが帰って来たのだ。 「そんなもん観るなら2階行って見〜〜〜っ!!」 かなりがっしりした 大きなお父さんだが、すごすごと背中を丸めて去って行く。 だけどまあ、仕方無い。我々なら「あら〜始まっちゃったよ」で済むが 子供は何でも「何やってるの?ねえ何やってるの?」である。 抗争となれば興奮して騒ぎ周り、エッチなシーンとなれば、どう言う訳か無言で 画面に張り付いてしまったりする。
戦隊物の新番組が始まった。「魔法戦隊マジレンジャー」 「マジだぜ!」と主人公が叫ぶたびに緩い笑いが顔から湧き出るが 「風がピンクっておかしくないか?そもそも黄色の稲妻って風属性じゃないの?」 と言うこだわりを口にする私を見る 子供を含めた家族の目もアレなので 本当に どっちもどっち。 息子はこの「マジレンジャー」が気に入った様子だ。ビデオに録画した物を (うちはまだビデオなんです)何度も見ている。
先ほども 居間からずっと「マジレンジャー」の音がしていた。日曜に録画したもの である様子だ。私は台所で、一人うっとりと甘酒を飲んでいた。 番組が終ると、ビデオは以前に録画しておいた物の 消え残りを再生する。 子供物は大抵同じビデオに入れるので、「マジ」「ゾロリ」「フローネ」などと 子供物がコンボで入っている。 それゆえ私は すっかり安心しして居たのだが・・・
居間の様子がおかしい、と言うかテレビの様子が。聴き覚えのあるような無い様な 明らかにやばそうな音声。まさかと思ってテレビを観ると、録画した憶えのない 洋画が再生されており、それがまさしく最中であった。 「どっひゃ〜」 案の定、息子は静かになって、椅子に座って居る。 なんで?何時も ちっともじっとしてない癖に、何でこんな時だけ静かになるの? 私が甘酒を放り投げ、猛ダッシュでテレビのスイッチを切る瞬間、字幕は 「そして男は果てた」と映し出していた。 「さあ、しまじろうを読もうか、それともポカリスエット(好物)を飲むかい?」 しどろもどろの私を無視して、妙に無表情に見える息子が「そして・・・た」 と言った。そう、ひらがなは読めるんである。
春休みには少しは漢字も教えようと思っているのだが、果てるってのは当分は 覚えなくて宜しい。 『果物』と書いてくだものと読む。こっちはちゃんと覚えるように。
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