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間もなく、幼稚園を卒園となる うちの息子。 年中さんからの2年保育だったけれど、この2年 親もそれなりだったが先生方には 常に、大変な思いをさせ続けて来た事だろう。 何となく、なんとな〜くだが解ってない奴、うちの息子。
年中さんの頃、息子は良く泣いていた。 私に余り似ない真っ白い顔をソフトボールの如く膨らまして、目の下を真っ赤にしている。 喧嘩をしたのだ。相手の子も一生懸命 何があったか訴える。 とほほな事に、話しを聞いて見ると 大抵、息子が悪いのだ。 こう言う時に大岡裁きが出来る人は良いが、私はそれがとても苦手だ。 初めの頃は 息子を叱り飛ばして済ませた事もあったが、息子の方にも事情がある事は解る。 叱って相手の子の気持ちを沈め、謝らせるのは簡単だが、やはり何だか、忍びない。 そこで途中から、私は相手の子供さんに頼む事にした「息子をよろしく」。
「ご免ね。でもまたやるかも知れないけど、もう少し待っててね。 Rちゃん(息子)を これからもよろしく」
どの子もとても素直で、「解った」 と頷いてくれる。有り難い事だ。 そして案外、よろしくしてくれるんである。 その代り、息子を迎えに 幼稚園に入った途端、居合わせたチビさん達に一斉攻撃を 喰らう事がある。「あのね〜、何もしてないのにRちゃんが・・・」 「Rちゃん、今日先生に叱られて・・・」 「Rちゃんが○○ちゃんに 悪い事言って・・・」 とほほほほ。陳情を全て聞いたあと、またお願いする。 「・・・と言う訳で Rちゃんをよろしく」 「いいよ〜っ!」 と言う 元気な声が返って来る。有り難い事だ。
小学校入学が近付いた。息子は今では平均よりやや未熟な社会性を何とか身に 付けた様子だ。 同じ早生まれのお子さんを持つお母さん同士、慰めあう事もある。 「小学校3年くらいには、差が無くなるそうだから」 「んげ〜!あと3年もこの調子かいっ」
私は顔見知りの園児仲間が結構出来た。よろしくし続けて来たため、名前と顔を 憶えられるのは早かった。最近では 聞かなくとも息子の一日の行状を教えてくれる 友達もいる。一緒に遊んで楽しかったと、言っておいてと言われると 嬉しい。
小学校の一日入学、うろちょろしている息子が 園仲間に一斉に名前で呼び掛けられている。 呼ばれて 慌てて大人しく座る息子。ああ、よろしくされている。 卒業生で、今は一年生の子の中に、息子を憶えていてくれる子も居た。 「よお、R。学校来るのか」 「よろしくね〜」 「解った!」2人の男の子が、思い切り頷いてくれた。 息子は「誰だっけ?」などと言っている。「しっかり、お世話になりなさい」
小学校に向かう前、幼稚園に迎えに行くと、園仲間が息子をハグしてくれていた。 その子とは小学校が別々だ。年中の頃は、その子とは喧嘩ばかりしていた。 幾度よろしくしたか判らない。こちらが、すっかりその子と仲良くなっちゃったほどだ。 「同じ学校に行きたい、別な学校はいやだ」 6歳近くになり、お互いが やっと 人と別れる寂しさを 学びつつある。
これからは息子が人のよろしくを快く受け入れる事を学んで行かなければならない。 子供たちは、みな 寛容だった。息子にも、一緒に居て それを身に付けて欲しいと思う。 私の選挙運動みたいなよろしくは、当分は無しになるのか、それともまだ少しの間は やってないと駄目なんだろうか。効果は結構あったっぽいんで、必要ならまだやるけどね。
最後の私からのよろしくは やっぱりお嫁さんと、ご両親の前って事なのか? うっわ〜、先が長いよう。
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