声優さんと映画とアニメと
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2005年06月01日(水) プロのみ技を見よ、聞けよ、これがプロの中のプロ(あまり本文と関係ない)

声優さんと仕事したことがある
もう10年ぐらい昔になるが、前に務めていた大手電機会社の組合行事で、家族で行くミステリー列車旅行を企画した人たちに、社内で雇われて(笑)、列車の発車から途中までを銀河鉄道999みたいな宇宙ミステリー列車にする演出のプロモVTRを作成した。そんなわけで企画演出と台本を担当したのが私で、映像や音声はプロに依頼。VTR画像の作成は製作会社へ、音声はプロの声優さんにアテレコをしてもらった、アテレコをしてくれたのはなんと今では売れっ子(当時は駆け出しの、おそらく研修生かジュニア)の前○愛さんだった(当時からものすごく上手かったです)。私が台本の内容や演出したい中身を映像スタッフの方々と音響さんや声優さんに説明し、彼等が実際に作製、私が立会いという感じの流れだった。なにもかもはじめての経験だったので、あおれよあれよとやっているうちに、数日がたって、無事VTRは完成し、それなりの仕上がりだった記憶がある。そのとき特に強い印象だったのは、声優さんの地声とマイク前の声の天地の差である(歌手の人もそうですよね、普段の声とマイクを通す歌声の違いは1万光年ぐらいある)。前田さんも普段は普通の人とそれほど大きな差のある声じゃない(まあ、よく通るよどみのない綺麗な声・・・ぐらいの感じ)だが、マイクで構えたとたん、信じられない声量と声質に驚いた、すらすらとリハーサルで画面に台詞をあわせるタイミングの上手さや息も含めたお芝居の乗りに、プロの凄さを意識した。(学生時代、アマチュアでアニメを作っていたので、アフレコの雰囲気や、やることは十二分に知っていたが・・・)
そんなわけで、駆け出しの声優さん(でもやっぱり実力があったのですね、今じゃ売れっ子)お一人でも周囲を圧倒するこの迫力なのだから、ドラマCDや外画を収録するのに、集まってきた声優さんたちが、わらわらと仕事を始めたら、どんな雰囲気なのか、想像するだけで、ぞくぞくする。緊張感とプロ魂に心が躍るし、あの声やこの声が響く様を想像するだけで、わくわくする。
よく、作家さんがドラマCDの収録レポートを書いていらっしゃるが、あの気持ち、すこしだけ想像できる。

普通の会社での日常だと、彼等声優さんの本番に匹敵するほどの緊張感が必要なシーンはめったにない。(お客様対応の時、大人数の前でプレゼンするとき、社長などお偉いさんとの会議など)
でも声優さんって、毎日、しかも日に何回も、この本番収録の緊張と弛緩を繰り返している仕事なんだなぁと思うと、その強靭な精神力と体力に敬意と大いなる尊敬の念を禁じえない。
あんな生活を何年(それこそ何10年)も続けられるのは、緊張のなかでの演技を気持ちよく楽しめる、ごく一部の本当の精鋭だけなんじゃないかと思う。おのれの才能を信じ、己の演技にある意味酔える精神構造でないと、出来ない仕事だ。脚本でも監督でも演出でも録音技術でも、きっと努力してやればそれなりに出来そうな気がする職業だが、役者、とくに声優だけは普通の精神構造の人にはやれないと思う、そんな体力と精神力と根性は並の人には備わっていないし、普通はそんなに自分の才能を信じられない(笑)
懇話休題が暴走気味だな・・・以下はいつもの感想
(えらそうに感想を書く自分がちょっとおこがましくなってしまったが)

ガラスの仮面
だんだん、劇中劇を演じる場面が増えて、声優さんは難しい演技を強いられますね。すこしづつマヤや亜弓が上手くなってゆく様を表現するのも大変だし、アフレコで絵が間に合っていればやりようがあるだろうけど、想像力だけで場面の雰囲気をも表現しなくてはならない。しかも、舞台での演技は声の張りも台詞の繰り出し方も舞台専用のものがあって、それはそれでまた大変なことなのに、アニメという媒体でのアフレコという演技をしながら、さらに舞台という場面なので、いったいどんな演技が最適なのか・・・演じる小林さんや矢島さんや演出家の技の見せ所なので、興味深い、悩みも深そうだ・・・
一方、速水の森川さんは、どちらかというとモノローグというか心理吐露の台詞が多い役どころみたいで、これまた大変だと思う。問答掛け合いの相手がいないわけで、自分で自問自答になる、シーンの状況や真澄の心理を十分に理解して自分の中に真澄という人物を作りこまないと、ぼろが出やすい。毎日スタジオを伝書鳩のように飛び回って、さまざまな役をこなしている声優さんたち。たかが30分のアニメ、されど奥が深い作品であるガラスの仮面の役は、結構役者さんへの負担が重い気がする。リハーサルもさることながら、現場でのメインの役者さん同士のテンションや解釈も役作りの重要ファクターとなっているのではと想像する。しっかりがんばってほしい。
そんなわけで、なかなか見ているほうを唸らせる回だった。
特に月影先生の激情と演技指導、そしてそれに答えようと必死のマヤ、自分の心の変化に気がつき驚き戸惑う真澄。だんだんキャラの心理がめまぐるしく動き出している。面白い。

森川さん、復調。ギャラリーフェイクの藤田は2話前から復調してると思うが・・・。

刑事ナッシュ・ブリッジス
マイアミヴァイスで有名になった元祖イケメン俳優のドン・ジョンソンがプロデューサーと主演を勤めるサンフランシスコが舞台の刑事ドラマ。
ドン=ナッシュが気さくで情に厚いダンディな主任刑事で、相棒とスポーツカーで市中を走り回って事件を解決してゆく。彼の部下たちスタッフは、一癖もふた癖もある個性派ぞろいで、それぞれのエピソードもあり、キャラも立っている。どうもサンフランシスコが舞台のドラマが多いね(スタハチもそうだし、ダマグレもそうだし・・・)
本シリーズは過去に数話見たが、ドラマ仕立ては現代風で個人の取り扱いも感情の取り扱いもあまり深くまで踏み込まず、エピソードを繋ぐ感じで示唆する都会的な刑事物。暑苦しいエピソードは少ない。
で、このドラマの見所は、超ベテラン声優の野沢那智さんと青野武さんが、親友の主役刑事チームを組んでいて、それこそスタハチのスマートでキュートなおじさん版。友情とアクションがメインなのだが、どうにもこうにも、このおじ様二人の80年代風大げさ芝居に私は耐えられない。ドラマの現代風にさらりと演出した画面から、おじさまの暑苦しい昔りゅうりゅうのオウギョウな演技が浮きまくっている。ナッシュを演じる野沢さんの演技、上手さは文句なしの天下一品なのだが、どうにもこうにもやりすぎで、見ていて疲れるし、どうにもこうにもドンジョンソンの風貌に似合わない。
(実はドンの地声がかすれて甲高いので、那智さんの音域でもいいのだけど・・・)というわけで、録画しても出演声優を確認するだけで、めったに中身は見ていないが、今回久々に出演声優名に森川さんを確認し視聴。
前の出演回の役は、犯罪に巻き込まれた小悪党のハッカーで、結構振り回されてふにゃふにゃなへたれた声が柔らかくていい感じだった。今回はどんなキャラかしら・・・と期待、なかなか出てこない・・・びっくり大爆笑そして感心、オカマビューティコンテスト主催者の黒人美女(おかま)であった。それはもう、すんばらしいおねぇ言葉を弾丸のようにまくし立てる。それがみごとに決まる。いつものトシ子の訓練が生きているのか、もともとこういうおねぇが得意なのか、想像力が豊かな証拠だと思う。とにかく水を得た魚で、あまりに堂に入った演技に300点あげたい。
堀内賢雄さん(映画DVD版「ホット・チック」参照)もこういう役が上手いのだけど、森川さんも上手いのを証明してしまった・・・たぶん、実際にはトシ子以外ではあんまり作品ではなくて、思い出すのは「ワイルド・ワイルド・ウエスト(DVD版)」での女装ダンスシーン、あのシーンではかなり怖い雰囲気のウィル・スミスのおかまベリーダンサー。
おねぇことばといえば、井上和彦さんがシュラトで、中原茂さんがテッカマンブレードで相当に上手いおねぇの技を披露している。
そうか、森川さんはきっと共演したブレードでの中原さんのレビンの演技から流暢なおねぇことばを学んだに違いない。きっとそうだ(笑)でなきゃ、売れない時代に新宿歌舞伎町でアルバイトやってたといわれても、納得してまいそうになるすばらしさだった。(爆笑)




まいける2004 |簡易メールシルバーナの船室(コラム)

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