結局、ヤスは最高の父親でしたな。
最高の父親は、これからは最高のじーちゃんにもなるのだな。
地元では「ヤスの馬鹿を甘く見る」という教訓的な言葉もあるくらいなのに、
まわりの人たちみんながこぞってその馬鹿につきあい、いろいろと助けてくれたのは、
なんだかんだあってもやっぱり人が良くて単純な能天気で明るくて働き者で、
愛さずにはいられないチャーミングな馬鹿だったからでしょうね。
美佐子と旭をひたすら愛し続け、すべてはそこを基本に一生ずっと全力投球なんて、
この筋の通り方はハンパない。
通ってる筋がたった一本しかないにしても、そんな筋を通せるヤスはやっぱりステキでした。
ヤスは、どういう親がいい親か、なんて知らないけれど、
大好きで大切な旭をとにかく必死に守り育てようと七転八倒していたら、
いつの間にか親になってた、みたいな。でもこれって一番自然な姿よね。
そんなことを、引越しの荷物整理の際に小さい頃の旭のオモチャを見ながら
「親なんだなー、俺って。親しかこんなガラクタ取っておかないだろ」
って気づいたのも、ほっこりなシーンでした。
そんなヤスだから、最高にステキな父親になっているのに、そんな自覚はない。
「親なんてそもそも大したもんじゃねーんだよ。子どもよりちょっと長く生きてるだけで。
それでもありがてえことに、子どもはちゃーんと育ってくれるんだよ、自分の力でな。
オマエはオマエの力で育ったんだ。」
旭は立派に育ってくれたけど、それでもなお、そんな旭のいざという時の逃げ場でいようと、
故郷に居続けることを選ぶヤス。
「俺は親だから、遠くで笑ってなきゃいけねーんだよ。」
その結論は、馬鹿を支え続けてくれた故郷の人たちにとってもやっぱり嬉しいことで。
でも、旭の逃げ場でいようとしたのに、
まずはケンちゃんの逃げ場として早々とケンちゃんを助けてしまったヤス。
「なんでケンちゃんが来てくれたのにやっさん怒んだよー。よく来た♪よく来た♪ 立派だ♪立派だ♪」
「お父さんとお母さんは、やっさんのために子どもをつくってくれた。ケンちゃんに寂しい思いを
させたのはやっさんだ。すまんっ。」
どちらの言葉も、ケンちゃんを助け慰めるための嘘というわけではなく、ヤスの本心だろうと
思うと、本当にこの馬鹿の一念の素晴らしさに感服するばかりです。
個人的には、これまで重要な場面で数々の大活躍をしてきたクズ嫁に、
ヤスに対して申し訳なさを感じるとか、あんな風に頭を下げたりとか、してほしくはなかったのですが、
ヤスがこれまでの恩義を一度に返すために、クズ嫁の孫を助けたと思えば、ま、あの事故も仕方なかったかなと。
クズも男気のあるいいヤツでしたし。
そんなクズが最後にまた豪快に殴られて、しかも、
「てめーごときのために、なんで俺が帰ってこなきゃならねーんだよ!
俺が帰ってきたのは旭のためなんだよ! ただの人身御供なんだよオマエは! わかったか!」
って、言ってること酷すぎるのに結果としては最善なんだから、やはりヤスの馬鹿あなどりがたし。
たえ子ねえちゃんもいつも最高だったし、照雲夫妻も良かったし。
ほんと毎回毎回、「泣ける」というより、「泣き笑い」していたステキなドラマでした。
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