| 2010年11月21日(日) |
「七人の侍」20日夜@有明コロシアム |
なんとも不思議な空間でした。
芝居メインの舞台でもなく、歌や踊りメインのショーでもなく、サーカスでもなく、
衣装をキレイに見せるためのファッションショーでもなく。
人がワラワラ出てきて、神輿やら太鼓やらで大騒ぎして、水をばしゃばしゃ跳ね飛ばして、
美しい男女のキラっと光る出し物がちょっとだけあって、ゆっるーい合戦ごっこが終了して、
なんとなくおひらき、みたいな。
照明と映像と音楽はとてもキレイで、衣装が素晴らしいのはもちろんでしたが。
最初から最後まで正面に鎮座して色々と指令を出される悪の総統は、
一流デザイナーではいらっしゃっても役者さんではないので、なんともちぐはぐ。
こちらはパフォーマンスの本番を観ているはずなのに、この方がしゃべると一気に
普通のお稽古風景に監督が色々指示を出している風景になってしまう感じなのです。
全体の印象としては
「出たがりの村長を主役に、村の元気な若者をいっぱい集めてお祭りをしました。
それだけじゃ寂しいので、よそから見目麗しいダンスやアクロバットの本職もつれてきて、
キラッキラのワザを披露してもらいました。村長さんは大満足。」みたいな。
開次さんの舞踏はしなやかでステキで、りいさ嬢と光一さんの空中パフォーマンスは本当に美しくて、
通路を縦横無尽に走り回り客の膝の上にちょこんと座っちゃったりしちゃう光一さんの姿も珍しくて、
もちろん楽しいことは楽しかったのだけど、でも、光一さんならもっと凄いことがいっぱいできるのに、
という用いられ方だったのが、かなり残念。
リボンフライングは、濡れたリボンをひとりで巻いて飛び立つというかなり危険な感じなので、
ヒジ大丈夫なんだろか腕大丈夫なんだろかと、ハラハラしてしまうし。
というか、世間では「所詮ジャニーズの舞台」なんて思われているだろうものが、
演出や装置などの面での面白さ斬新さ、それに対応している若い出演者の皆さんの
技術や表現力の高さ、つまりはどれだけ緻密に魅力的に作り上げられているものであるか、
を、改めて思い知らされたと申しましょうか。
どの演出を見ても、これまで見たもっと凄いものを思い出してしまって、そんな凄いとは思えないのですよ。
別に自分の眼が肥えたと自慢しているわけではありませんよ! でもそう思ってしまうのだもの。
光一さんの「SHOCK」を観慣れ、「BMP」を観たばかりの方だったらなおさらだったと思います。
「SHOCK」のスピード感溢れる殺陣や、滝沢歌舞伎の空中3Dの殺陣など知ってると、
ただ空中から吊られて殺陣のポーズをとってるだけなんで、殺陣でもなんでもなく思えるし、
翼の「World's Wing」の悪の軍団の一糸乱れぬ激しい群舞や、
滝沢歌舞伎で滝沢将門の好敵手だったヤラさん率いるならず者軍団の群舞を観てしまうと、
総統の部下が、おどろおどろしい音楽の中でぼーっと並んでいるだけでは
別に怖くもないし、さほど迫力もないなー、と思ってしまうし。
帝劇のコンピューター制御された水のカーテンの緻密な動きや、遊び心のあるその演出を観てしまうと、
プールにたまった水をバケツですくってばしゃばしゃ掛けるとか、
巨大水鉄砲をのべつまくなしに発射しまくるとかは、こう申しては本当に失礼だが、
なんとも芸がなく感じるというか。
いや、だから村のお祭りと思えば楽しめるのだけど。
お金に糸目をつけず、豪華なゲストで華を添えたお祭りと思えば。
でも、プロの興行として安くないお金を払って観るとなると、ちょっと複雑な気分でした。
でも本当に、光一さんの華のある佇まい、りいさ嬢の美しさ、開次さんの舞踏、
衣装、照明、音楽は素晴らしかった。
最後に光一さんが挨拶を任されたのだけど、スタッフ、キャスト、観客、すべてに
配慮したステキな挨拶で、これによってこの空間が一気に引き締まったのも素晴らしかった。
終わりよければすべてよし、のお手本のようでした。
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