| 2010年04月15日(木) |
『龍馬の手紙』 講談社学術文庫 |
面白い本にめぐり逢ってしまった・・・。
福山龍馬がいなければ、きっと一生、手には取らなかっただろう本を。

龍馬さんが江戸修行中から、もちろん脱藩後も、さまざまな人たちに送った手紙136通が
解説付きで掲載されているのですが、これが大変に面白い。
昔の日本語(といってもたかだか150年前)ですから、一字一字追っていかないと読めないし、
何度も読み返してやっと意味がわかるという部分も大変に多いのですが、
まさに「文は人なり」のとおり、龍馬さんという人が本当によくわかります。
怖ろしいほどの筆マメですよ。一週間と空けずに書き続けておられることもしょっちゅう。
現代だったらおそらく、ブロガーとして更新の記録保持者になりそうな勢い。
まだ読み始めですが、内容も国家の大事から、坂本家や親類や友人への気遣いまで多岐にわたり、
大きな志と、細やかな心遣いと、やんちゃでおちゃめな性格がすべて読み取れます。
これを読むと、申し訳ないが大河ドラマの脚本は龍馬さんの手紙に沿った方が
もっと面白くなるのではないか、と思えてしまいます。
たとえば加尾との一件にしろ、史実の加尾はもっと姐御肌の人で、京都にいる間は脱藩志士を
積極的に世話をし、勤皇志士の間では大変に有名な人だったとあります。
龍馬は自分が脱藩する半年前、すでに京都にいた加尾に手紙を出しているのですが、
その内容は、「男物の衣装と細身の刀を準備しろ」というもので、解説によれば、
龍馬は脱藩後に加尾と会ったら、彼女に男装させて勤皇運動に参加させるつもりだったのでは、と
あります。
ドラマでのあんな女々しい再会や別れなんちゃぁ、どこにもなかったがぜよ!
で、加尾の兄・収次郎は、龍馬が脱藩するとすぐさま加尾あてに手紙を書き、
「脱藩した龍馬が京に行くかもしれぬが、奴から何を相談されても無視しろ」的な指示を
与えております。このあたりはドラマとほぼ同じですね。
でも加尾は「龍馬さんのやることはいつもとっぴでわけわからないけど、それには
きっと大事な理由があるはず」と、兄には内緒で、親類への土産ものとごまかして、龍馬の
指示どおりに変装用衣装を用意した、などとありますの。こっちの方がずっと面白いじゃーん!
あと、勝先生に出会い、弟子にしてもらえたことを大変に喜び、「勝先生は人を見る目がある。
エヘン、エヘン」と、乙女ねえやんに無邪気に自慢する手紙も送っているのですが、
「自分のことをそう思ってくれる人ばかりじゃないから、自分がこんなこと言ってたというのは
他の人には黙ってて」などと付け加えてみたり。
「日本を変えるためにがんばるけど、自分は決して天狗にはなっていないから安心して」というふうな、
ちゃんと自分の立ち位置をわきまえている文もあったり。
あと、最高におかしかったのは、ご主人(ドラマではぬくみず!)とうまくいっていないねえやんが、
「尼さんになって山に籠りたい」という手紙を龍馬に送ったらしいのだが、それへの返信。
「ねえやんがそうしたいのなら、面白いことを思いついたよ! ボロい袈裟を着て全国行脚すれば、
一銭もかからず全国を歩ける。でもそれにはお経が唱えられなきゃいけないから、お経を覚えてね。
あと、ひとりで行くのは危険だから、誰か一緒に連れて行くように。それも美人じゃ余計に危ないから、
ごつごつした強そうなおばさんと一緒に行くんだよ。」みたいな。
もうどんだけらぶりーなんだリアル龍馬さん!
福山龍馬はそんなリアル龍馬さんの魅力をそのまま出せるとは思うのですが、
それだけに、脚本がちょっと残念かもー、と思わずにはいられませぬ。
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