せらび
c'est la vie
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みぃ


2005年10月07日(金) 日食がワタシの取り分をちゃんと返してくれるつもりらしい

雨がざばざばと降る、秋の夜長。

今日はどんよりと気圧が低くて、何だか地べたに引きずり込まれそうな気がする重々しい一日だったが、夜になって漸くその低気圧が正体を現したのは、ある意味すっきりして良い。

何だ、降るのか降らないのかはっきりしろ、と文句を言っておいて正解であった。



ところで折角慌しいイベントが終わったというのに、気付いたらそれからまた数日日記を書きそびれてしまった。一体何をしていたのだろう、ワタシときたら。

「日食」だったのですよ、この間の月曜は。

などと先ず言い訳をしてみる。

「日食」とか「月食」というのは、普通の新月や満月に何倍ものパワーを加えるので、色々と摩訶不思議な事が起こりがちである。きっとその所為であろう。



という訳で、言い訳を探しに今週のワタシを振り返ってみる。

月曜は先週末のイベント事後処理関係で、主に金関係の書類作成や送付、それに早くも今後のイベントの為の連絡などに追われた。

火曜は、ここのところあんまり疲れが溜まっていた所為か、つい家で沈没する。

水曜は語学の授業に行くまでのあいだ、彼是と税金の事で調べ物をして、それから授業の後は友人の大きな試験合格祝いと誕生日会を兼ねたパーティーに出掛ける。

しかしパーティーの途中で帰る人々が続出し、後に残された数人のワタシたちは桁違いの勘定書きを手に、思わず顔を見合わせる。

それは日本円に換算して一万円ほども勘定が足りないのである。金を置いて行かなかった奴が何人か居るに違いない。

日本で一万円なんて、一晩呑みに出掛けたら直にすっ飛んでしまうような、大した金額ではないのかも知れないが、この国で「一万円分呑む」というのはえらい事である。この街は確かに物価は高いけれども、こと庶民の口に入るものに関しては、東京と比べたらまあ三分の一くらいで考えたら良いだろうか。

流石にニホンジンの皆さんも飲み屋で「三万円分勘定が足りない」と言われたら、一寸腰が砕けるでしょう。そんな感じです。


尤も、この店はどう贔屓目に見ても「庶民の口に入る」程度の店では無くて、マティーニなんかが一々高く付いて、品書きを見ながらワタシは眉を吊り上げたくらいなのだが。


そういう訳ですっかり腰の砕けたワタシたちは、それぞれに手持ちの現金を出し合うのだが、そのうちそれらを全てかき集めたところで結局足りない、という哀しい現実に気付く。

そのうちある比較的裕福な同僚がクレジットカードで支払うと言い出したので、ワタシなどは(嗚呼これで今週喰いっぱぐれずに済む!)と密かに安心して、兎も角先に帰った連中から後日必要な金額をなんとしても集めるという事で了承した。

日食的な「びっくり事項」としては、恐らくこれが最も適していると思う。

ワタシは遅れて行ったので知らなかったのだが、後で聞いたら酒以外に「つまみ」としてムール貝だの英国風芋の揚げたのだのロシア風サラダ(キャビアが入っていなかった事を祈る)だのを頼んでいたそうで、そんな物を喰っておきながら「つまみ代」をすっかり忘れて酒代だけしか置いて行かなかったのではないか、という話には流石に一寸呆れた。

木曜にはまたしても税金の話で彼是と調べ物に追われて、ヨガレッスンを逃してしまった。


先程から繰り返しているこの税金の話というのは、確かこのあいだも何時だったか税金屋が払いが足りないから罰金を払えと言って手紙を寄こしたという話を書いたと思うのだが、それを去年同様に拒否したら今年は更に手紙を送って来て、貴方の言い分は罰金を免除するに足りないからとっとと払いやがれと言って来たのである。

お陰でこのクソ忙しいのに古い書類を引っ張り出して来て読み直したり、それで埒が開かないから新たに情報を探して読み漁ったりなどして、ワタシは俄かに大忙しである。


以前働いていた部署のボスに、「こんな事言われたんですけどどうしましょう」と泣きを入れてみる。

その「罰金」の額は大した事は無いのだが、これがこの調子で毎年来ると面倒である。此処でしっかり理解しておかねば、またはしっかり反論しておかねば、来年も再来年もまたこんな手間の掛かる「不幸の手紙」を送り付けて来るに違いない。

するとその旧ボスは、驚くべき新事実を知らせてくれる。

何という事だろう。ワタシの手落ちで知らなかっただけなのだが、話を総合するとどうやらこれまで律儀に払い詰めて来た税金の一部が実は不必要な支払いであり、手続きを取ればそれがそっくり帰って来るかも知れないというのである。そしてその手続きによってこの「罰金」についても対象外になるので、この「とっとと払いやがれ」の期限(ちなみにそれは昨日だったのだが)を気にする必要は無くなるのである。

それを聞くや否や、ワタシはすぐさま電卓を手にすると、早速これまで多く払った分の計算に掛かる。遡って要求出来るのは一般には過去三年分までらしいが、それだけでも随分な金額になる。これまで散々な思いをしながら倹しく暮らして来たワタシに、漸く神は見返りをくれる気になったらしい。今更だが、しかし無いよりは断然ましである。

まあ平たく言うと、時期外れの「確定申告その二」をやろうという話。これはこれで手間である。



という訳で、ワタシは今日も引き続き「税金対策」に付いてのお勉強に勤しむ。

会合が二三あったので仕方無く外出したが、そこでワインを少しとチーズやクラッカーなどの簡単なパーティー食を頂いて、新しい同僚らと歓談し、某「腐れ縁」または「悪霊」男とワタシがここのところ呼んでいる馬鹿たれ不届き者がワタシと話をしたそうにちらちらと此方を眺めているのを視界に数秒収めた後、オフィスで少し作業をしてから帰宅して、また税金のお勉強である。


ふむ。成る程。どうしてこれまで誰もこんな事教えてくれなかったのだろう。「からくり」が分かると、何やら簡単な話である。これまで長らくすっかり騙されていたのは、どうした事だろう。


嗚呼そうか、これもまた、「日食効果」なのだ。これまで知らなかった事を、ある日突然「ほらよ」と投げて寄こす。目をぱちくりさせているワタシの事などお構い無しで、日食は対応を迫る。

これが日食だから未だ良いようなものの、もう十日もしたらやって来る「月食」には、感情的な所謂「ドラマ」が付随してやって来るから、始末が悪い。

その辺りの占星術的「からくり」を知っているワタシなどは、出来るだけそういう「ドラマ」に巻き込まれないように、そろりそろりとその「月食」周辺時期をやり過ごす事にしているのだが、今月の月食は牡羊座の満月なので、例の馬鹿たれ不届き者が目一杯絡んで来そうで、今から警戒注意報発令中である。


と合点が行ったところで、さあ最終的にワタシは幾らくらい返して貰えるのだろうかという点に付いて、再び検討作業に取り掛かるとする。



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