せらび c'est la vie |目次|昨日|翌日|
みぃ
対人面では瞬間的に苛々とするような出来事も引き続いて起こってはいるが、今日はそれでも差し引きすると充分良い日であった。 今日は語学の授業に行ってワタシでもそれなりに付いて行っている事に気付いたので、大いに楽しみを見出す。またクラスメイトの皆さんも概ね親しみ易く、担当の先生も中々優れているので、これはワタシの現在のレベルにも丁度良いようだから、このような良い語学講座に出会えて良かったと思う。 しかもこの先生ときたら何処から聞きつけたのか、丁度ワタシたちが授業をやっている間に建物内の何処かで会議若しくはパーティーが幾つか開かれており、そこに潜り込んだらタダ飯・タダ呑みが可能であるなどと言う。 そこでワタシたちは授業を一時中断して、食べ物を漁りに行く事にする。 成る程、ひとつ上の階ではチーズとクラッカーにワインといった、簡単な「パーティー食」が供されていた。小皿にそれらを盛り分けて、授業に戻る。 それから教室の隣のスペースではもう少し大き目のパーティーが催されていたのだが、ある男性が出入り口を間違えたらしく、授業中に突如乱入してくる。 先生はその機会を逃さず、恐縮しながら出て行こうとするその乱入者に、ひょっとして私たちもそちらの食べ物に有り付く事は出来ますかね、などと何気無く聞いている。ワタシたち生徒は面食らってくすくす笑いながらその様子を伺っていたのだが、なんとその乱入者氏は、ええ勿論良いですとも、まだ沢山余っていますからいらっしゃい、と言う。 ほらね、と得意気な先生に促されて、ワタシたちはまたしても食べ物を漁りに行く。 どうやらラテンの国の政治家や官僚を招いていたらしく、こちらはもう少し金が掛かった本格的なパーティーである。魚介類を色々入れたパエリャだの、もろこし煎餅に各種の付けダレだの、林檎が沢山入ったサングリアだのと、丁度夕飯時に勉強しているワタシたちには持って来いの「パーティー食」が、なんと未だ沢山余っていたのである。皆もっと美味いものでも喰いに行くのだろうか。 さっき間違って入り込んだ時には、守衛が何しに来たとばかり、一向に中には入れてくれなかったのに、主催者側は結構気前が良くて、さあさあ沢山お上がりなさい、と言ってわざわざ持ち帰り用の入れ物まで手渡してくれるので、ワタシたちはお言葉に甘えてパエリャやもろこし煎餅類を入れ物に詰める。 先生がこのサングリアが美味いから皆飲むが良いと言うので、ワタシものこのことバアカウンターへ出掛けて行ってサングリアを所望する。成る程、タダの赤ワインより断然美味い。 そのうちワタシたちは教室へ戻って、戦利品を食べたり呑んだりしながら授業を再開する。先生も余程気に入ったと見え、今度から皆で持ち回りで食べ物を持って来る事にしましょう、来週は私が赤ワインを持って来るから、と提案する。中々カジュアルな授業である。 それから半時も経った頃、例の先程迷い込んだ男性が戻って来て、まだ食べ物が余っているから良かったら召し上がれ、とわざわざ教えに来てくれる。 先生はすかさず立ち上がり、それでは皆さん再び腹ごしらえに行って来ましょうか、と言うので、ワタシたちはまたしてもパーティー会場に戻る。その頃にはパエリャは持ち帰り容器に詰められていて、幾つでも持っていらっしゃいと言ってくれるので、ワタシたちはまたしてもお言葉に甘えてほかほかのパエリャを片手に、もう片手にはまたもやサングリア、というような調子でにこやかに教室へ戻る。 そういう訳で明日のワタシの夕食は、パエリャに決定。 こんなに遊んでいて良いのかと思うけれど、先生に言わせると、このクラスは初級クラスの割りに経験者が多いので予定より進みが速いとの事である。それに気を良くして、ワタシたちも楽しく和気藹々となる。 ただひとつ問題は、この授業で使う教科書は先生が 本当なら教科書を持ち帰って自宅でおさらいしたいところだが、それが間々ならないので、ワタシはやはり自分の勉強の為に市販の教材の購入を検討する事にする。テープやCDなども買って、毎日聞く事にしようではないか。 偶々ご近所に住んでいる事が分かった可愛らしいクラスメイト君と一緒に電車に乗る。 彼はラテンの国の出身だそうなので、そんならこの言語の習得も楽ちんだろうと言ったら、意外とそんな事は無いと言うので、一寸不思議に思う。混乱して混ざってしまうので、却って厄介だそうである。成る程。 ラテンな若者のすべすべな肌を眺めながら気分良く帰宅して、それから冷たい水を飲んでいたら、何やら催して来る。朝もしたのに。酒が入った所為だろうか。そんなに若くないのに代謝が良くて、何よりではある。 なんだか昨日停滞していた空気が、今日は回り始めたような気がしてくる。 いや、うんこは昨日もちゃんと出ていたのだけれども。そういう話では無くて。 昨夜曇りに曇っていた銀の指輪を磨いて、それから水晶をふたつばかし流水で清めてから窓辺に置いて「月光浴」をさせたのだが、その所為だろうかと思案する。若しくは、お気に入りの仏像型の蝋燭とその他の水晶各種を乗せた盆の配置を換えてみたのだが、所謂「風水」的に良い具合になったのだろうか、などとも勘繰ってみる。 特に何かの能力があるという訳では無いのだが、それでも周りの「気」というのが流れ始めると、なんとはなしに察知するものである。 不可思議な一日である。
|