せらび
c'est la vie
目次昨日翌日
みぃ


2005年09月20日(火) 不条理色々

このあいだ夏が漸く終わりそうだという頃にやっと食料品の買い物に出掛けて、その際「栄養価を高くしてあるパスタ」というのを面白半分に買って来た。普通の「スパゲッティ」と細い「エンジェルヘアー」というやつである。

最初に細い方を使って「ぺペロンチーノ」を作ってみたのだが、なんだか様子が変である。何故だかいつもと違って異常に不味いのである。

そして今日スパゲッティの方を使って、鮭とほうれん草のソースで食べてみたのだが、これまた途轍も無く不味い。


ご近所にお住まいの皆さんは、黄色い箱の「栄養価を高くしてあるパスタ」シリーズにはご注意を。一体どんな細工をしたのか知らないが、仮に本来腕が立つ筈の料理人であったとしても、出来上がりは極めて不出来になる。特に「ここぞ」という腕の見せ所では、絶対に使ってはならない。


夜遅くなって帰宅したけれど、それでも旨い物が食べたかったから、頑張って大蒜を刻んで一からソースを作ったのに、ワタシは大変悲しい。こんな事なら、何か買って帰ったら良かった。

こんな風に折角の努力が実らないというのは、まるで歯並びが悪い所為でどんなに頑張って歯を磨いても隅っこの茶渋が取れないのと一緒で、何やら人生の不条理を良く表している。



不条理と言えば、先週末の会合の際、ある上役が止むを得ず欠席したのだが、週明けに転送されて来た「議事録」にその人の業績についての言及がすっかり欠落していた事について後にちくりと指摘されたので、立場上ワタシがフォローアップをする事にした。

この界隈では「ケツを舐める」という言い方をするのだが、それはつまり「ご機嫌取りをする」という意味である。

その「ちくりと指摘」が伝達された時、ああこれは誰かがケツを舐めておかないと不味いだろうなあ、と他人事のように思っていたのだが、そのうち、おや、ひょっとしてこれは「最終決定権」を持つ事になったワタシの役目か、という事に漸く気付いた。

そうか、「下っ端の尻拭い」も「上役のご機嫌取り」も、全てワタシの役目になったのか。これは面倒だ。

まるで「中間管理職」という人々のようだな、とふと思う。


結局その他にも抜けていた幾つかの項目を含めて、ワタシは本来業務の合間に「追加議事録」を書き上げ、全体に送付する。夜遅くこの作業に追われながら、この議事録を担当した人間は随分無能だと密かに思う。

しかしその「追加」は思いの外上手く行ったようで、例の上役からは早速「お心遣い有難う」と連絡が入る。

こういうところで火の元は着実に消し止めて置かないと、後々面倒があっては不味いので、兎に角一安心である。



午後になって、同僚と電話会議をする。

実際このあいだの会議にやって来た人間は、まだ多少なりともやる気があるだけ良いのかも知れない。

しかし顔を出しただけで、議論に殆ど参加しない者が大半であった。

発言を促しても口を開かないどころか、自分の関心だとかどういった事を期待しているとかいった様な最低限の「自己紹介的口上」すらも述べない者、こちらが提示するものにただ頷く他力本願な者、中にはこちらの提案に文句だけは一丁前な癖に、では貴方はどうしたいのですかと言ったら途端に無言になるような見掛け倒しの馬鹿もいて、ワタシはそういう如何にも日本的な中途半端な人々に相当がっかりしたのである。

そういう協力的でない人々の利益の為に、我々執行部がタダ働き同然で時間や労力を捻出してやっているという事実を目の当たりにして、ワタシはこれはもう「今期限りのヴォランティア」だと同僚に告げる。

現実的に、この団体で手掛けている内容はワタシ個人の関心とかキャリアなどとは全く関わりが無いものなので、ここでワタシがどれだけ頑張ろうが、結局無意味である。

偶々ワタシの知り合いを講演者として招待する事になったので、それの企画をワタシが担当する次第になったのと、偶々当時この同僚がひとりで一から十までやる羽目になっててんてこ舞いしていたから、誰かが手伝ってやらねば正義は何処に、とお節介を起したのが元である。


ちなみのこの同僚は「がみがみガール」というのだけれども、だからワタシが何も好き好んで彼女の手伝いをしてやりたいと思った訳では無い、という点については、読者の皆さんにもご理解頂けるだろうと思う。


そういう訳でワタシは、先日の会議の印象などについて彼女と意見交換をし、更に当面必要な内容に付いて打ち合わせをする。ワタシは自分の本来業務に支障が出る程には頑張らないからその積りでと念を押して、とりあえず現時点で進行中の企画のみに集中して、後は申告が無い限り余計な仕事は極力増やさないという作戦で申し合わせる。

それから方々へ必要な連絡業務などを、一通り片付ける。


そうこうしているうち、延び延びになっていた翻訳の仕事の依頼主から、様子伺いの連絡が入る。先方も慌しくしているらしく、またこちらは九月の終わりに企画がひとつ入っているので、納入の日程が双方噛み合わず、結局十月に持ち越しという結論に至る。

しかしこれが済まないと、ワタシの方にも金が入って来ないのは痛い。

一頻り財布と相談する。

まあ、あと十日だし。


こうして見ると、人の気も知らないで、よくもまあ何でもかんでも他人に押し付けて、人々は好い気なものだと思う。



しかし今日から水星が天秤座に入った。木曜には太陽も天秤座に入るから、お陰で少しは様子が変わる筈である。天秤座は「フェアプレイ」の星座でもあるから、今不公平なものも数日の後には公平に取り計らわれるだろうと信じる事にする。

そしてそれは、暦の上でも、漸く本格的な秋である。


昨日翌日
←エンピツ投票ボタン

みぃ |メールを送ってみる?表紙へ戻る?