せらび c'est la vie |目次|昨日|翌日|
みぃ
「どどいつ選挙が失速状態」という報道が入って来る。ワタシの「似非占い予報」は当たったとも外れたとも言い難い微妙な状況なので、とりあえずドレスデン地方の結果が出るという十月二日まで結論を先延ばしする事にする。 まあ少なくとも、(ニホンジンと違って)どどいつ人は現状に不満たっぷりであり、その点が正直に選挙結果に現れた、という事だけは明らかであろう。誰でもいいが、政権を取る者は民の声を聞け。 そんな事はいいのだが、今日は不愉快な出来事があって、一寸むくれている。 同僚の一人に先日、赫々然々の事情で署名を集めているのだが協力して貰えないかと言ったところ、ええ喜んで、いつでも持っていらっしゃい、と言った。 それで今日になって、彼女が他の同僚と世間話をしているところへ丁度出くわしたので、皆さん良かったらこの件で署名して貰えませんかと聞いたところ、例の同僚が真っ先に、あら私はそんなのとは無関係だから出来ないヮ、と言うではないか。 アンタ、話が全然違うじゃないの。 ワタシは一寸混乱しながら、いや確かに貴方の業務などとは無関係かも知れませんが、しかし必ずしも関係がある必要はなくてですね、と説明を始めたのだが、彼女の「自分が今携わっている業務内容の説明」に釣られて同僚一同が、あらそんな事言ったら私だって、というような調子で瞬く間に同意し始めたので、おやおや不味いぞ、とワタシが焦っている間に彼女は、じゃあ電車の時間があるので、などと言ってさっさと退散してしまったのである。 その後残されたある同僚が、それは例のオフィスに提出するやつじゃないのと聞くので、ええその通り、と言うと、じゃあそうはっきり言えば良かったのに!もっとはっきりと言えば誰だって署名したわよ!と言う。 いやだから、説明しかけたじゃないですか、とワタシは言うのだが、あんな言い方じゃなくて、もっとはっきり言わなくては伝わらない、とまるでワタシがいけないみたいな言いっぷりである。 もういいわ、いかなくちゃいけないから、それじゃ。そう言うと、彼女は署名するとも何とも言わずに、ぷいと立ち去って行った。 ・・・・・ いや、その勢いに負けたワタシもワタシだけれども。 腑に落ちない。 つまりこの後者の同僚は、ワタシが「最初にはっきりと言わなかった」からという理由で、事情を解した後になっても署名をしない、という「罰」を与えたのである。 何だよ、俺の所為かよ。 その前者の同僚は、実は奇妙な事を良く言うので知られている。 ある会合に一緒に出掛けた同僚談によれば、彼女が日頃慕っているある著名人がたまたまその会合に来ていて、あの人と是非お知り合いになりたいと言うので、たまたま知り合いだったその同僚が著名人を彼女に紹介したのだそうである。 ところが折角お膳立てしてやったのに、彼女ときたら全く口を開かないので、仕方が無いからそのお膳立てした同僚氏が暫く話を繋いでやったのだが、結局当人は口を開かないままで会話が終了してしまったそうである。 しかし後日彼女は別の同僚に、あの誰々氏は先日会合で会ったらもうそれはそれは私の事を気に入ったと見え、あれやこれやと話をし続けて帰してくれないのよ、などと語ったそうである。 更に別の同僚によれば、ある時同僚を集めてどこかで飲み会をしようという話になったので、それをお膳立てする事になった担当者が人々にメールで日時の確認を送ったのだが、彼女は真っ先に自分は行かれないと返事を寄こした。 それで、都合が悪いのか、何時なら良いのか、といったような伺いを立てたところ、自分は「三十六才」であり、翌日仕事があるのにも関わらず、若者みたいに夜遅くまで遊び歩いてなどいられないのだ、と言う。 しかしこのお伺いを立てている「担当者女史」は四十を超えているのだが、そしてその「三十六才女史」と違って所帯持ちでもあるのだが、それでも親しい同僚との飲み会に参加するのは吝かでないと言ってお膳立てまで引き受けてくれているのに、これはどうした訳だろうという事で、「担当者女史」はそれでは時間を早めにしたら来られそうかとか、曜日を変えたらどうだろうとか、親切に更なるお伺いを立ててやったそうである。 すると彼女は、私の住む郊外の家まで皆して来るのなら良い、と言ったそうである。 そこでその「担当者女史」は、既にその「郊外の家」に行った事のあるワタシに、それは一体どの辺りにあるのかと聞く。 ワタシは素直に、それは郊外電車で片道二時間プラス車で三十分程の距離にあり、また彼女はそういう訳で家に人を呼んで持て成すのに慣れていないから、そういう類のサアビスは期待出来ない、という旨を伝える。 「担当者女史」はそれを聞いて面食らい、それは余りに遠過ぎるので平日にわざわざ出掛けていく訳には行かないから、何とか上手く断る事にすると言う。 するとそのやんわりした辞退を聞いた「三十六才女史」は、自分が皆を誘ったのは、こうして日々通って来ている自分の「苦労」を皆に知らしめたかったからである、と言って寄こしたそうである。 ・・・何故知らしめる必要があるのだろう。 彼女はそういう訳で「三十六才」で「独身」なのだが、郊外に家を一軒所有しており、そのローンと学費のローンとを払いながら、四匹の猫と一緒に暮らしている。所謂典型的な「独身女性がやってはいけない事」をやっている独身女性である。 その所為で彼女は「外泊」が間々ならない。折角オトコを見繕っても、数時間「滞在」した後猫の世話の為に帰宅しなければならないので、少々都合が悪い。 街中にアパートを借りたら良いのにと幾らワタシなどが勧めても、どんなに税金が高くても自分の住む町が気に入っているのだ、と言い張って、好き好んで遠くの町から通って来ているのである。 それなのに、何故皆に「苦労」を知らしめなければならないのか。 不可解である。 そういえば以前若い同僚と所謂「一晩のつまみ食い」をやって、それを目撃しなかったワタシにその晩のロマンチックな様子を詳しく教えてくれた事がある。 ところが後にそれを目撃していた他の同僚らに言わせると、全然ロマンチックな事は無くて、むしろ「盛り」が付いたみたいで却って気色悪かった、とあからさまな嫌悪を表すのが続出したので、ワタシは拍子抜けしてしまったのである。 しかも相手の若い同僚の方も、あれが一晩限りで終わってくれた事が幸いである、とワタシに言ったのだから、ワタシはつい噴き出してしまったが、どうやらその辺りの「温度差」の所為で彼女は随分彼を毛嫌いするようになってしまったので、その後の業務に差し支えたりして良い迷惑であった。 こうして見ると、昨日「この街で見かける独身女性の中にはお気の毒なのはいない」とつい言ってしまったけれども、実際は意外と身近なところにおりました。 という事をここで一応ご報告しておく事にする。
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