せらび
c'est la vie
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みぃ


2005年09月15日(木) 欧州選挙と世界的保守化の波

今日はタダでさえ尋常で無い程に蒸し暑い日だったのだが、ヨガレッスンに行ったら更にどばどばと汗が出て、タオルやら着替えやらを持参しなかった事を後悔した。低気圧の所為でここ数日蒸している。


ところで昨日の日記で「ノルウェーの選挙」について少し触れたが、ついさらりと流してしまったので、少々補足を加えようと思う。


先日行われたノルウェー総選挙では、「中道左派」が健闘して政権を勝ち取ったそうである。それ自体は良いのだが、同時に「極右勢力が躍進」というのが気になっている。

(朝日の記事によると定数169のうち、中道左派連合が88、元与党は44、極右が37という。)

欧州の場合どうしても、EU圏にやってくる移民とそれに伴う労働者・失業率問題などが昨今の選挙の焦点になって来ると思われるのだが、「極右」、つまり外国人流入に警戒感を煽る勢力が今回それなりに認められてしまったのは、ワタシ的には一寸痛いところである。

ノルウェーという国は、過去五年連続で国連開発計画(UNDP)の「世界で最も住みやすい国」に選ばれている程、欧州社会福祉国家の看板国なのに、そこにはそういう社会を維持する為の高い税金と外国人排斥的傾向または警戒感、という大きな壁が立ちはだかっているのが窺える。

しつこく自説を繰り返すが、やはり「余所者」が入り込んでくるというのは、その文化の存続上大いなる脅威となる訳で、欧州は今そういう微妙な時期にあるのだろうかとワタシは憂慮している。

それで「世界的保守化の波」は変えられなさそうだな、となんとなく思った次第である。



尤も、今から十五年くらい前にワタシがかの国を旅した折に知り合った現地の教員という長身の女性は、既に「余所者」問題に関して真剣に議論を吹っかけて来たから、今に始まった話では無いのだが。



そうなると目玉は独逸の選挙である。

ここでもやはり、「二桁の失業率」という痛々しい状況が焦点になっているようである。「東欧からの玄関口」と言っても良いような国だから、移民若しくは先日のモモリーネさんちの日記にもあったような「一寸そこまで荒稼ぎに」やって来る「非EU人」または「新EU人」に対する目も厳しくなっている事だろうと思う。


ところで「チャンセラー(Chancellor)」は日本語では何と訳されているのだろう。「どどいつ首相」で良いのかしら。まぁいいわ。意味は通じますね。


Agence France-Presse (AFP)という通信の写真記事によると、シュローダー(またはシュレーダー)さんの選挙ポスターがびりびりと破かれていて、しかしその脇をベルリン市民の皆さんが見向きもせずに歩く様子、というのが写っていて、ワタシは一寸驚く。これは相当ヤバそうではないか。

この記事の中で、Forsaという機関が今週行った世論調査の結果が出ているのだが、協力した1003人のどどいつ人のうち51パーセントは「今はまだ政権交代の時期ではない」と考えているのだが、45パーセントは「政権交代が必要な時期」であり、それは例のメルケルさんという小難しそうな顔の小母さんが率いる「キリスト教民主党(と訳して良かったのかしら)が担うのが良い」と考えているという。そして、「現在のまま社会民主党(と訳しておきますよ、SPDの事なんだけど)と緑の党の連立でやるのが良い」と考える人は、たったの19パーセントしかいないのだそうである。不満たっぷりである。

つまりこの記事によると、ひょっとするとシュローダーさんが嫌われていると言うよりは、別の組み合わせで連立を組んで欲しいと思っている市民が多いのでは、という話である。緑の党危うし。ワタシは個人的には好きなのだが。

だってどどいつから環境問題を取り上げたら、どどいつの良さは一体何処に?(他にもきっとあるのだろうけれども)

几帳面などどいつ人ならではの徹底した対応が世界環境を救うかも知れない!?というのに、メルケル小母さんに「景気回復の為に経済優先・環境政策は却下」なんてやられたら、目も当てられないではないか。おばちゃん、如何にもやりそうである。

メルケルさんの党は現在のところ42パーセントの得票予想というから、圧倒的多数獲得には至らず、連立の可能性を探る必要がある訳だが、緑の党が7パーセントに社会民主党は34パーセントと言うので、この現連立政権では合わせても41パーセントにしかならない。現政権危うし。

そして問題は、選挙三日前にして実に30パーセント(International Herald Tribuneの記事では20パーセント)がまだどこに投票するか「未決定」というあたりであろう。結構な割合のどどいつの皆さんが、今この瞬間にも迷いに迷っているという訳である。困ったね。

このIHTの記事によれば、アレンスバックという機関の世論調査で69パーセントが、メルケル小母さんの党を持ってしてもどどいつの経済的諸問題を解決する事は不可能だろう、と匙を投げている。

そして不味い事に、60パーセントはもう「政治そのもの」に匙を投げているという。



ライプツィヒで求職中のソースさんという二児の母は、「失業率を改善するって言うから投票してみても、結局どの人も後で失敗の言い訳をするのよね。もう何処に入れても一緒だわ。」とインタビュウに答える。

ハノーバー在住のウェルスさんという57才主婦は、「シュローダーはカメラにはすごく詳しいけど、国政はちっとも駄目ね。メルケルの方が正直者に見えるわ。」と話す。

18才のレイスラーさんは今回初めて選挙権を行使するに当たって、「連立政権がそれぞれの足引張りばかりしてないで、ちゃんと経済回復に取り掛かるように、本当は連立党をセットで投票したいんですよね。」と画期的な事を言う。

しかし「家具引越業」のヴィルヘルムさん48才は、「『東西の壁』を再構築してくれるんだったら、選挙権なんか返上するよ。少なくともあの頃はまだ皆職があったし、スーパーに売ってるものはとりあえず買えたんだから。」と嘆く。「こんな事になるって分かってたら、子供は作らなかったよ。彼らは失業者になる為に大きくなるようなもんさ。例え仕事があっても貧しくて、楽しい事なんか無いんだよ。」




ワタシが個人的に気に入ったのは、極め付けの冗談(だから記事の〆な訳だが)を述べたクルド系のアマングさんという43才タクシー運転手である。

「全ての政治家の血液型はなんだい?」

「それはbetrayer(裏切り者)のBだよ。」




ちなみにワタシもB型なのだが。

一応義理人情には厚いって事で通ってはいるので、誤解されぬよう。



明日もどどいつの行方を探る。


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