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みぃ
うちの界隈は今日は全面的に祈りムードなので、それに倣ってワタシも静かに過ごしている。 四年前と同様、この街は秋晴れの清々しい日を迎えている。窓から見える飛行機雲を眺めては、暫し感慨に耽る。 テレビで米国務長官が、ある詩人の詠んだ詩を取り上げながら澄まし顔でスピーチをしているのを観ながら、「フェラガモ」ならこの街にもありますので、宜しかったらそれが終わったら一寸お立ち寄りになりますか?と朝っぱらから茶々を入れる。 素晴らしい快晴なり。 裏の大家さんちの葡萄棚が、夏の間にたっぷりとお日様を浴びた濃緑の葉をわさわさと生い茂らせて、そよそよと風に吹かれている。 この家には彼是三年程住んでいる。 実家以外で暮らした場所としては、此処が尤も長期間住んだ事になる。彼方此方渡り歩いた末漸く見つけた、取り立てて問題の無い穏やかな住処である。 時折頂く「お裾分け」や小さい孫たちの泣いたり笑ったりする声は、ワタシの暮らしを大いに潤し、「正常化」するのに貢献している。 埃の舞い上がる瓦礫の街で、人々が何とか立ち直って来た様子を目の当たりにしながら暮らして来たワタシは、それまでとその後とでのワタシの人生観や物の見方などの様々な変化を鑑み、月日の流れを感慨深く眺める。 穏やかな秋晴れと、微風にそよぐ葡萄の葉。 こんな日がいつまでも続く事を祈る。 そういえば、裁判所で見掛ける「God we trust」という看板について先日の日記で少し触れたのに関連して、亜米利加では何か大きな事故・災害などが起こると、何処からとも無く「God bless America」と誰かが言い始める事に付いて、少し書いておく。 何しろこれを身勝手な国粋主義か盲目的宗教主義か何かと勘違いして癇癪を起すニホンジンが後を絶たないので、ワタシはいつも苦笑を禁じえないのだが、これはどちらかというと「宗教的」というよりは「慣習的」な意味合いが強く、歴代大統領などはそういう意味で頻繁にこの表現を使って来た。 つまり、大事故・災害後には困難に立ち向かわなければならない市民の一致団結を促す目的で、「神のご加護を信じて頑張ろう!」というような意味で広く使われているに過ぎないのである。 同様に災害の被災地で、または国全土で、自然発生的な国旗掲揚も良く行われるが、それも右翼団体の皆さんだからという訳では無くて、「皆で国旗の下一致団結して頑張って行こう!」というような意味合いのものである。 そういう国旗を持ってして自国の一員として団結して事に立ち向かう、という様な教育を受けていない二ホンジンには中々理解し得ないかも知れないが、「God bless America」も「星条旗掲揚」も、「皆で同朋を励まそう!」、「応援しているから頑張れ!」、「一緒に復興しよう!」というようなメッセージである場合の方が多いのである。 日本だったら「頑張れニッポン!」とかいうような横断幕でも掲げるのだろう。 亜米利加では小学校から「国旗教育(国旗の持つ意味、正式な折り畳み方、国旗掲揚・国歌斉唱時には起立して胸に手を当てて自国文化を敬う事、などを教わる)」を受けるのだが、それがワタシが以前から言わんとしている「文化・宗教・思想的共通観念を持つ共同体構成員」としての最低条件を担っているのである。何しろ多民族国家なので、これをしっかりやらないと統一出来無いのである。 尤も、例えば亜米利加が余所の国へ報復戦争を仕掛けて以来、そのような政策に賛同しない市民においては、折角掲げた国旗を降ろす者も多数出て来たように、政治的な意思表示に使われる事もある。 だから、事故・災害直後に見掛ける国旗掲揚に関しては「皆頑張れ!」的意味合いであり、戦争開始後は「ブッシュ政権万歳!」的意味合い、という風に受け取るのが一般的である。以前にも一寸書いたが、平和集会で星条旗を模ったネクタイを締めて来た二ホンジンの馬鹿については、正に後者の意味で受け取られるので、集会の主催者側としては大変不都合である。 そういう訳なので、ニホンジンの皆さんには、この辺りの事情を理解して一概に過剰反応されない事を希望する。 ところで、どうして寄りによって今日という日に、日本国では選挙をやる事にしたのだろう。 モモリーネさんちの日記でワタシもまんまと在外投票をミスった事を知って、数日前からすっかりがっかりしていたのだけれども、開票結果を見るとどうやら自民党圧勝だそうで、何だよあれだけ大騒ぎしといてつまんないの、とまるで去年の米大統領選挙の時と同じような虚無感に満たされる。 アメ人の事を何だかんだ言ったって、やってる事はニホンジンだって一緒じゃないの。 あ、もしかして、初の「民主主義」選挙という事になっている同時期の「エジプト大統領選挙」と一緒か?(これは一応冗談という事にしておく。) 結局、世界的な再保守化の波は止められないのか。果たして独逸はどうなるのか。 ところで今更なのだが、マニフェスト占いなるものを発見したので試しにやって見たところ、以下のような結果が出た。ええ、ワタシは、こういう人間です。 尤もワタシは、そういう訳で日本国内政治を日々追いかけている訳では無いので、それぞれの政党の政策を熟知した上での結論では無い、という事を一応挙げておかねばなるまいが。 ************* 占い結果 あなたにぴったりな政党は..... 共産党・社民党 キモチ47% 弱者・負け組も切り捨てずに大事にしたいあなたにオススメ! 自民党・公明党(2) 民主党(5) 共産党・社民党(8) 国民新党・新党日本(2) ************** それにしてもこの「弱者・負け組も切り捨てずに」云々は、流石は「非・社会福祉国家」日本の現状をよくよく表した表現だと思う。つまり、これらの人々は切り捨てるのが当たり前だと思っているらしい、この「占い」の製作者の信念または思い込みが伺える。 外国では日本の事を「社会福祉国家」だと思い込んでいる人が多いので、平均寿命と国家政策は必ずしも比例しないという点に付いて説明するのに苦労する。 資本主義の最たる国の仕業を、それに追随する資本主義国家の人々が嘲り笑う。目糞鼻糞を笑う。 祈開国日本。
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