せらび
c'est la vie
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みぃ


2005年02月26日(土) 電脳的誘惑と戦い、破れる

慌しく課題に取り組みつつ、しかし外界の出来事にも一応追い付かなくてはと、メールと新聞記事のチェックだけ、のつもりで、ネットを繋ぐ。

三十分程で切り上げるつもりなのに、これが貴方、何時の間にやら二三時間など経っていたりするのです。

一日はたったの二十四時間しかないのだという事を、改めて思い知る瞬間である。

尤も新聞というものは、隅々までしっかり読もうと思うと、どうしたって二三時間くらい平気で経ってしまうものではある。ワタシの場合はインターネット上での話なのでそこまでは掛からないが、しかし数紙に目を通さねばならないので、思いの他時間が掛かってしまう事がある。

メールもまた、時間を取られがちである。ワタシの場合は業務連絡の殆どがメールでやってくるので、放っておくと何十件という単位でそのまま溜め込まれるから、厄介である。勿論、直接ワタシ個人には無利益な案件も多く含まれているから、全部を一々読みはしないけれども、しかし一応内容には目を通さねばならないので、面倒である。

恐らくこんな事を、世の多くの事務系お仕事人その他の皆さんは日々こなしているのだろうと、ワタシも納得するようにしている。またこれで紙の無駄が減るのなら、環境にとってもよろしい事なので、歓迎するべきかとも思う。


以前使っていたメールのアカウントは、某労働組合系のもので、これは我ながら中々格好良いメールアドレスを取得出来たので、大変お気に入りであった。ただ弱小団体の所為か、サーバーが幾分不安定なのが玉に瑕であった。

それからリベラルな労組という性格上、ここの方針で「来るものは拒まず」というのがあって、だから入ってくる営業広告など、つまり「スパムメール」というやつの事だが、そういったものは全て入るに任せてあった。個人の判断で削除するしないは決めてくれ、という事である。これはワタシのような公私の連絡に多用していた人間にとっては、実に厄介な問題であった。

末期には、スパムの数は日に数百件を数えた。いずれは取り除かないと、アカウントは一杯になってしまって、次に入ってくるメールは断られてしまう。そのうち、重要事項が届かないという事態が発生するようになった。

苦情を申し立てているうち、スパム対策ソフトウェアを入れてくれたのだけれども、これがまた、重要なメールであっても「疑わしい」と判断されたら、一切合切「スパム箱」へ入れてしまう。旅行中だとかコンピューターやサーバーの故障などで暫くメールのチェックが出来ないでいた時には、数千件のメールがそこに溢れ、もう一日間引くのが遅れていたら、それらは全て永久に抹消されるところであった(この猶予期間は、個人で設定可能)。

その頃には、ワタシの一日はまず「スパム箱」を一覧して、重要なメールが紛れていないか探し出すことから始まっていた。これに相当の時間が費やされ、それをやっている間にも途切れる事無く入ってくるスパムメールを弾きつつ、じゃんじゃん入ってくる業務連絡メールをも読みながら、ついに堪忍袋の緒が切れたという訳である。

それ以来ワタシは今更ながら、インターネット上でチェック出来る所謂「フリーメール」というやつを主たるアカウントとして利用する方針に切り替えた。これなら、大概スパムを取り除くシステムが予め備わっており、その「スパム箱」に入っている分は全体の容量に加算されない事になっているから、自分のメールボックスの残りの容量を気にせず利用出来る。また、そこから別のアドレスに入ってきたメールも取り込める機能を使って、業務連絡にも滞りなく対処出来るから、好都合である。

しかしその業務アカウントの方も、実は相当不安定で、新しいシステムの導入が叫ばれている。

最近では、情報部門の部長職に新たな人材を据えようという動きが起こっているのだが、同僚の中には、こう不安定では日々仕事にならぬというのに、これまでの部長が再選を狙って応募しているのは論外であると言って、真っ向から反対している。

個人的には、自宅で電話回線を使った方が、余程安定した作業が進められると思っている。そのくらい、この業務サーバーはよく落ちる。


ワタシは、近年のコンピューター技術の進化は、今から十年位前と比べて、一般人の生活にとっては既に充分な程度の速度や容量を提供してくれていると思うので、今のところこれ以上望むものは無い。企業や団体などでは、安定した業務用サーバーや常時接続回線を供給して貰わないと困るけれども、普通の生活には電話回線*にラップトップで充分用が足りると思う。

(*ちなみにワタシの住む国では、電話料金が日本などと違って格安である。ひとたび掛けたら、切らない限り一律に日本円にして約十円であり、これが夜間や深夜になると最大60パーセントまで割引になる。だから、ケーブルなどのデジタル回線の基本料金と比べると、電話回線の基本料金パックプラン(月幾らで市内通話掛け放題プラス幾つかのオプション、など)を利用した方が割安である。

日本から来たばかりの人々は一様にケーブル回線を申し込むようで、電話回線を使っているなどと言うと小馬鹿にするから、その度に日本の電話代の高さに同情する。これが時間毎に幾らと加算される方式だったら、さぞかし心臓に悪い事だろうと思う(注 市外通話や国際通話では時間毎加算方式)。)



兎に角、それが何処をどう間違ったのか、何時の間にやらメールと新聞だけで済まなくなっているから貴方、インターネットというのは恐ろしい。

調べ物の為に彼方此方の関連機関などのサイトで読み物をしているうちは良いのだけれど、そこからどう脱線するのか、何時の間にか航空券の値段を調べていたり民俗音楽のCDを物色していたりするから、全く世の中というのは分からないものである。

ワタシは最近ではあんまり作業が進まないから、「インターネット禁止令」というお触れでも出そうかと検討しているところである。いっそ今着手している課題が終わるまでは、新聞すらも読むのを止そうかと思っているくらいである。

しかしそれではワタシの業務性質上支障が出るので、せめて二三日に一度くらいは目を通しておかないと拙いだろうかと、葛藤が湧き上がる。


そうこうしているうちに、気が付くと何時間か経過して、慌てふためいて作業に戻る、という日々の繰り返しが、ここ数日続いている。


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