せらび
c'est la vie
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みぃ


2004年12月30日(木) ここ数日温んで来て、この間の雪がすっかり解けた

時々旅行に行きたい虫が騒ぐ。とは言え、急に思い立って行動に移せる程の経済的時間的余裕が今は無いので、一先ずネットを徘徊して人の旅話を読んでみる。

最近のニホンジンの旅の記録を読んでいて驚くのは、彼らの多くはバックパックを背負ってベッドルームを他人とシェアするような貧乏「的」旅行をしている癖に、ラップトップ・ノートブックコンピューターの類の物を持参して居るという事である。

大きなバックパックを背負った汚らしい格好の若者が、最新式のラップトップを携帯しているというのは、世界中どこへ行っても恐らくニホンジンくらいなものだろう。旅の仕方が随分高価になった事に、ワタシは奇妙な感慨を覚える。

勿論、同じ程度かそれ以上に金の有る旅人は、二ホンジンに限らない。しかし他の国の旅人はもう少しはっきりしていて、金があればハイクラスのホテルに個室を取って泊まり、コンピューターを使う必要のある職業人なら尚更その管理は徹底的にやるだろうし、また金が無ければホステルや旅人宿・商人宿などに雑魚寝状態であっても、まさか高価なコンピューターを其処へ持ち込もうなどという大それた事をする若者はいないだろう。

それで無くとも、只でさえ旅行者は金や旅券等の高価な物を持ち歩くものと思われているのに、ドミトリーの宿屋でコンピューターなど広げていたら、盗ってくれと言っている様なものである。

しかもそれを始終身に付けるのではなく、宿に於いたバックパックの中に入れたまま其処を離れて市内観光に出掛けると言うのだから、ワタシなどは想像するだけでもぞっとする。そして案の定、宿に戻ってみればバッグにナイフの切れ目を発見して、コンピューターは跡形も無いという羽目になるのに、懲りずにまた購入して旅を続けるというのだから、昨今の二ホンジンの旅行事情というのは、ワタシなどには計り知れない。

ワタシの知る時代には、ウォークマン等のテープレコーダー(テーププレイヤー?)を持って出掛けてテープを聴くというのが精々であった。CDがまだ出たての頃だから、それをテープに起こして持ち歩いていたのだが、今時ならMP3プレイヤーにお気に入りのCDを好きなだけ落として持っていくという事になるのだろうか。

こうして書いてみると、なんとも時代を感じさせる。しかし多くの発展途上国ではCDすら出回っていなかったりするので、現地の音楽を聴きたければ結局テープを聴く装置が必要になってくるから、あながち間違った方法でもないだろう。

もし長期間旅に出るとしたら、ワタシならテープレコーダーとMP3プレイヤーを両方持って行くかも知れない。いや、MP3はこの際諦めて、テープレコーダーのみにするだろうか。

ニホンジンならMDというのを使うのだろうが、これはワタシの住む街では二ホンジン以外に持っている人を見た事が無いので、「全く」流行っていないと言って差し支えないだろう。

この辺りではCDからMDの時代をすっかり飛び越えてMP3の時代になったので、今では街で音楽を聴くと言ったら間違いなくMP3である。例の白い林檎会社のやつが巷で大流行しており、色違いのが数種出回っているらしいのだが、見たところそれはPDA(「電子手帳」と訳しておく)が更に太った感じで、ポケットに入れようものならパンパンである。それにうっかり落としたら忽ち壊れて使えなくなる程の低性能、という話を聴いたので、ワタシはそれより他の会社のMP3の方が性能も良く、サイズも小さくて落とし難そうだから良いと思う。

とは言え、ワタシは音楽を絶えず聴き続けるという事を普段しないので、携帯音楽の機能については、実は大した問題ではない。高級な持ち物の話である。ついつい話が逸れる困ったワタシ。

今時の旅人の持ち物の高額化の一端としては、デジタルカメラが主体になって来た所為もあろうかと思う。これは一見便利そうだけれども、撮った絵を何処かハードウェアへ保存するのにどうしてもコンピューターが必要で、長期旅行になるとラップトップを携行せざるを得ないのだろう。

ラップトップを持ち歩き続けるという行為は、何しろワタシの人生が全て詰まったような掛け替えの無いものである上に、なけなしの金を注ぎ込んだお宝でもあるから、どうも気が気でない。メディアを幾つも持ち歩く事で何とか賄えないものかと思う。



ところでそんな事を気に掛けながら眺めている旅のサイトの発行人・管理人の若者たちが、どうやら先頃の広範囲大地震及び大津波の被災地辺りを今頃旅しているらしい事が判明して、実は一寸心配している。

幾人かはほぼ間違いなく巻き込まれているものと思われるのだが、こういう場合メールを打つ程の知り合いでも無い上、実際問題として現地では回線も使えない状態かも知れないし、どうしたものかと考えている。

まあ他人のワタシが心配する事でもないのだけれども、こういう風に世界中に旅に出る若者が増えた昨今、こんな大規模の天災がこれだけ広範に渡って起ころうとはまさか誰も想像していなかったろうし、旅人の方としても自分がこれ程の非常事態に巻き込まれようとは想定していなかったろうと思うので、一体どういう状態になっているのかと想像すると恐ろしくなる。

更に聞くところによると、東南アジアのある国の在日本大使館では、着の身着のままで逃げた末旅券を紛失した邦人に対して、臨時の帰国用書類の発行に、なんと「手数料」を徴収せしめるらしい。これは日本円にして一万円を超えるような金額だというのだが、帰国後に返済するのを条件にするという。余所の国ならこういう災害時にはどこも無料で手続きをするのが普通なのに、日本国というのは一体どこまで非人道的なのかと呆れてしまう。

こういう話を聞くと、度々此処でも愚痴を溢している同朋や他人の災難に冷たい二ホンジンの話と同様、ほとほとうんざりしてきて、自分が同じ日本人である事が恥ずかしくさえ思えてくるのである。


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