せらび c'est la vie |目次|昨日|翌日|
みぃ
にんにくをたまに料理に使うことがある。しかしいざ一株買ってきてしまうと、使い切らないうちに痛んでしまう。放っておくとそのうち芽が出てきて、するとにんにく本来の部分は味が落ちてしまって、どうも頂けない。 そう嘆いていたら、友人がにんにく醤油を作るといいと教えてくれた。彼女はにんにくを使った料理に慣れ親しんだ文化の人なので、折に触れ様々な使い方を伝授してくれたものだが、ちょっとした問題があって、というかいつも自分の愚痴を聞かせに毎晩電話を掛けてくるばかりだったのでちょっと文句を言ったらそれきり連絡を取り合う仲でなくなってしまったのだが、元気でいるだろうか。その節はどうもありがとう。 ところでにんにくのハナシに戻るが、先日一株購入した際、半株ほど刻んで醤油に漬け込んでおいた。これを瓶に入れて炒め物やら炒め飯やら残り飯やら、事あるごとに片端からかけて食べている。これは驚きの美味さである。これがあるとないとで、味の差は歴然である。 しかし如何せんにんにくが生なので、完成した料理も思いのほか強烈なにんにく臭を発するし、翌日もなんとなく人目が気になるような気がしないでもない。歯医者の予約を翌日に控えている時は、にんにく醤油の使用を避けるのがエチケットだろうと思う。 近頃のお気に入りは、芋と卵をそれぞれ茹で、にんにくもひとつかふたつかけら程茹でて、茹で上がりをすべてをボウルに入れてフォークで一斉に潰しに掛かる。これを気が済むまでひとしきりやったら、そこへマヨネーズとこのにんにく醤油をぱらりと掛けて食べるのだ。好みで乾燥ベーコンの粒だとかセロリを細かく砕いたのだとかを混ぜてもいける。 通常これは「サラダ」と呼ばれることが多いが、ワタシは主食同様にこれのみで済ませる事もある。これもやはり、にんにく醤油を足すか足さぬかで、えらい違いである。芋の皮は、勿論好みに依るが、剥かずにそのままでやるのが、ホームメイド風の良さが出てワタシは好きだ。同様に、芋も卵も荒く潰すのがこつだ。 この料理には本来、何もにんにく醤油を掛けなくともよかったのではないかと思ったところで、ふと思い出した。そういえばここいらで売っているマヨネーズがお国のそれと違って、なんとも間の抜けた味がするから、だから試みににんにく醤油を足してみたのだった。 そうそう、こちらのマヨネーズは大概大きな瓶に入って売っているので、通常人々はスプーンやナイフを突っ込んで、かしゃかしゃと掬い出しては、サンドウィッチなどにぺっとりと塗りつけて食べている。ところが数年前から、チューブ状のプラスチック容器に入ったものも売り出されるようになった。これが、日本のマヨネーズの佇まいに慣れ親しんだワタシには非常に使い勝手がよくて、専らチューブマヨ一筋なのだが、何れにしてもこのマヨネーズが、どういうわけか不味い。 そういえば、以前日本人と同居していた折、卵サラダを挟んだお手製サンドウィッチをご馳走になったことがあるのだが、なぜだか日頃慣れ親しんだ味と微妙に違って大変美味だった。褒めながら、マヨネーズ以外に何か入れたのかと詮索してみたのだが、相手は不審気にそんなことはないと言う。 後から思うに、味の違いは結局、我らの使っているマヨの違いだったのだろう。ワタシには未だに、日本マヨには何か一味隠された秘密があるように思えてならない。そしてそれはひょっとすると秘密などではなく、泣く子も黙るMSG、日本的に言うところの天下の○の素なのではないかと勘繰っている。 以前にも少し述べたが、こちらでMSGと言えば、恐らく多くの人が眉をしかめるであろう代物である。もう随分前のことだが、街角のピザ屋やデリと並ぶお手軽食品店である中国料理店で、このMSGという「これを食べるとおいしくておいしくてそれを食べるのを止められなくなっちゃう」ものが混入していたというので、社会問題になった。それ以来多くの中華料理店では、店で出す醤油などのソース類のパックやメニューなどに「No MSG」などと書いたりする。これがお馴染みの○の素と同一物体かどうかは定かでないが、友人らの説明を総合するとどうやらそれに類するものと考えられる。 東南アジアなどではこれを山盛りに入れたスープやらヌードルやらを食べていると聞く。そして食べ過ぎると味覚障害を起こすと言われているにも関わらず、当地の人々は日本から派遣された某社員らに「食べると美人になる」などと言われて、それに慣れ親しんだというハナシも聞いた。モラル上の懸念も大いにあるが、それよりこれを長期に渡って食べ続けることについての、健康上の問題は現地の人々にどう考えられているのだろう。 それよりはにんにく醤油を掛ける方が、数倍美味だし安上がりだし、健康にも良かろうと思われるのだが。どなたか資金と発言力のある方がちょいと出掛けて行って、働きかけて下さると良いのに。
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