Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 F1 2008年シーズン総括2(チーム編)
2007年12月09日(日)

 さて、前回はF1の2007年シーズンの総括タイトル争い編をお送りしたが、今回は各チームの今シーズンに目を向けてみようと思う。

 チームのポイント争いでは、シーズン中盤に勃発したフェラーリの告発によるマクラーレンのスパイ疑惑がF1界を震撼し、マクラーレンは今シーズンの全ポイントを剥奪されて最下位となってしまうという衝撃的な結果となった。フェラーリが結局今シーズンのコンストラクターズタイトルを早々に決めたが、仮にマクラーレンの全ポイントが剥奪されていなかったとしても、フェラーリが204ポイントに対し、マクラーレンは203ポイントで1ポイント上回ったことになり、ポイントでもタイトルを獲得していたこととなる。ただし、マクラーレンがハンガリーグランプリに於いて不当に剥奪されたポイントも加算すると、マクラーレンが218ポイント獲得したことになり、マクラーレンがタイトルを獲得していた計算となる。

 2位にはBMW・ザウバーが入ったが、獲得ポイントは101ポイントと、フェラーリ、マクラーレンの2強との差は歴然としている。また2005、2006年に2年連続でタイトルを獲得したルノーは、今シーズンはアロンソを失い、さらにマシン開発の方向性が正しくなかったのか、思いがけず大苦戦を強いられ、結局今シーズンは1度も勝利することなくわずか51ポイントの3位でシーズンを終えた。

 以下、各チーム別にレビューをしていこう。

■フェラーリ
 シーズン序盤から中盤にかけてマクラーレンに後れを取り、コース上で歯が立たないからと言ってFIAと結託し、コース外でマクラーレンに対してスパイ疑惑をでっち上げ、全ポイント剥奪と莫大な罰金を負わせて陥れたりと、相変わらず悪党ルカ・モンツェテモロを初めとするチーム上層部は腐りきっているが、名目上、一応コンストラクターズポイントで実際にマクラーレンが本来獲得していたはずのポイントを上回ったから、まあ由としよう。ただし、前述の通りマクラーレンはハンガリーグランプリでもコンストラクターズポイントをFIAによって不当に剥奪されているため、それを加算したコンストラクターズポイントではマクラーレンが上回っており、個人的にはフェラーリのコンストラクターズターズタイトルは認めない。
 しかし、キミ・ライコネンとフェリペ・マッサの両ドライバーには何の罪もなく、彼らは純粋に自分たちの仕事をこなし、それによってライコネンは自身初となるドライバーズタイトルの悲願を達成した。これもひとえにロリー・バーンのデザインによる優れたマシンデザインとフェラーリエンジンの抜群の信頼性というパッケージの賜であろう。ライコネンの最後の最後まで諦めない精神と、シーズン終盤の怒濤の追い上げも称賛に値する。
 シューマッハ時代には完全にシューマッハ優位の戦略を執り、あからさまにチームメイトに順位を譲らせるというチームオーダーが目立ったが、今シーズンはチームとしてもライコネンとマッサのどちらを優先させるべきか判断に迷ったのか、結果として両ドライバーともイーブンな状態でレースを戦うことができたのではないだろうか。

■マクラーレン・メルセデス
 フェラーリにスパイ容疑の嫌疑をかけられ、FIAの暴挙によって全ポイント剥奪と莫大な罰金を科されてしまったのは哀れだったとしか言いようがない。ハンガリーグランプリの予選中に起きたフェルナンド・アロンソによるルイス・ハミルトンの妨害疑惑にしても、本来チーム内で解決するべき内輪の問題であったにもかかわらず、フェラーリ贔屓のFIAが介入してハンガリーグランプリでの15ポイントものコンストラクターズポイントを剥奪してしまったのである。ドライバーズポイントの剥奪だけは免れたのが不幸中の幸いだったが、愛すべきジェントルマン、ロン・デニス監督もさすがに今シーズンは心身共に参ってしまったようだ。
 今シーズン、もっとも強かったチームはマクラーレンであったことは、疑いようのない事実である。従って今シーズンの真のコンストラクターズチャンピオンは、マクラーレン・メルセデスである。
 2年連続チャンピオンのアロンソ(前ルノー)と新人ハミルトンを擁しての今シーズンであったが、ハミルトンの思いがけない活躍がアロンソにプレッシャーを与え、ドライバー間の確執、さらにはドライバーとチームとの間でも亀裂が生じてしまう結果となってしまった。しかし、本来F1はスポーツであり、チームメイトであろうと、すべてのドライバーはレーサーであり、レースに勝つ資格が与えられて当然なのである。従ってこれまで同様あくまで両ドライバーを対等に扱って平等なスポーツマンシップを尊重するというチームのポリシーを貫いたマクラーレンは間違っていないし、大いに支持する。

■BMW・ザウバー
 今シーズンもっとも飛躍したのが、BMW・ザウバーだ。今シーズンはベテランになりつつある堅実派ニック・ハイドフェルドとデビュー2年目のホープ、ロバート・クビサのコンビで臨み、ハイドフェルドが2位1回3位1回の2度の表彰台、さらには4位5回を含め、17戦中実に14戦でポイントを稼ぎ、クビサも4位3回を含む11戦でポイントを挙げる活躍を見せ、コンストラクターズポイントは101ポイントとなり、マクラーレンの全ポイント剥奪による最下位降格によってチーム最高位のコンストラクターズ2位という好成績を収めた。だが、マクラーレンとフェラーリの2強との差はまだまだ大きく、BMW・ザウバーがタイトル争いを繰り広げるまでには時間がかかりそうだ。しかし、BMW・ザウバーが悲願のチーム初優勝を遂げる日は、そう遠くないだろう。

■ルノー
 2005,2006年と2年連続でコンストラクターズタイトルを獲得したルノーだったが、今シーズンはチャンピオンチームとは思えない大苦戦を喫し、ベテランのジャンカルロ・フィジケラと新人ヘイキ・コヴァライネンを擁してのドライバー体勢は、フィジケラが今シーズンの最高位4位が1回で合計ポイントがわずか21ポイントの大不振、コヴァライネンがかろうじて2位表彰台1回を記録して合計ポイント30ポイントで、チームとしては結局一度も勝つことができず、BMW・ザウバーにも大きく水をあけられてコンストラクターズ3位に終わってしまった。
 シーズン開幕前は想像すら出来なかったルノーの不振だったが、今シーズンのマシンを開発する際に方向性を誤ったのが大きな原因と言われているものの、やはり2年連続でダブルタイトルをもたらしたアロンソが抜けた穴は相当大きかったようだ。昨年まであれほど強かったルノーが見る影もなく、F1とは毎年まったく勢力図がわからないものである。

■ウィリアムズ・トヨタ
 96年までのルノーエンジンによる最強時代から一気に転落してから早11年目、未勝利も11シーズン目を終え、未だに復活の兆しが見えない名門ウィリアムズ。今シーズンはデビュー2年目の期待の星ニコ・ロズベルグと、長く実戦から離れていた元マクラーレンのテストドライバーのアレキサンダー・ヴルツを起用して臨むも、チームとしての入賞は10戦に留まり、ヴルツがかろうじて3位表彰台1回を記録するもコンストラクターズポイントはわずか33ポイントで4位の終わる。
 ただ、今シーズンはトヨタエンジンを搭載し、本家トヨタよりも上位でシーズンを終えることができ、シャシー開発ではプライベートチームでありながらワークスチームのトヨタよりも優れていることを証明して見せた。シャシーの素性自体は悪くないのである。あとはパワフルで信頼性に優れたエンジンさえ手に入れることができれば、再び勝利を挙げ上昇していくことは間違いないだろう。

■レッドブル・ルノー
 2005年のチームデビューイヤーには、初年度としては望外の活躍を見せ、昨シーズンもそこそこの活躍を見せたが、今シーズンは2年連続のチャンピオンエンジンと名デザイナーであるエイドリアン・ニューウェイ作のシャシーというパッケージで期待されるも、合計24ポイントと振るわず。ただしコンストラクターズランキングでは5位とチーム最高位。
 ドライバーはチーム発足時から貢献している名手デビッド・クルサードと、中堅ドライバーのマーク・ウェバーによるコンビ2年目。しかしクルサードの堅実な走りとニューウェイのデザインを持ってしても、表彰台は遠く、ウェバーが記録した3位が唯一の表彰台となった。やはり本家ルノーの不振を見ると、安パイと思われていたルノーエンジンが思わぬ足かせとなっていたのだろうか。

■トヨタ
 現在のF1の中では間違いなくもっとも開発資金に恵まれている、世界のトヨタ。しかし満を持してF1にデビューした2002年からすでに6シーズンが終了しても、未だに勝利を記録していない唯一のワークスチームである。資金はあるのにマシンが遅い、これは明らかに根本的なマシン開発の方向性が間違っているか、トヨタエンジンにパワーと信頼性が足りない、あるいはその両方であるというのはもはや疑う余地がない。
 今シーズンも昨年同様ヤルノ・トゥルーリとラルフ・シューマッハという優勝経験者2人を擁したが、トゥルーリが6位1回、7位2回、8位1回の計8ポイント、ラルフ・シューマッハに至っては6位1回、8位2回のわずか計5ポイントに留まり、コンストラクターズポイントはたったの13。トゥルーリはそれでも予選では今シーズン最高位の6番手を含む10番手以内からのスタートがしばしばあったが、それでもスタート直後に大きく順位を落としたりと決勝で結果を残すことができず、ラルフは予選からトップ10に入ることすらほとんどなく、両者とも何とかポイント獲得を狙うのが関の山だった。
 今シーズンは初めて他チームにもエンジンを供給したが、その供給先であるウィリアムズにも大きく水をあけられ、ワークスチームとしての面目は丸つぶれと言った状態だ。こんな状態でこれ以上F1に参戦し続ける意味があるのか大いに疑問である。トヨタが初勝利を挙げるのは、遠い先の話だろう。

■トロロッソ・フェラーリ
 参戦2年目のチームであるが、元々はテールエンダーだった名門ミナルディを買収したチーム。エンジンはフェラーリからの供給を受けたが、やはり小規模チームでは優れたシャシーを作ることもできず、ポイント圏内は遠いものだった。しかし、大波乱の中国グランプリでビタントニオ・リウッツィが6位、セバスチャン・ベッテルが4位とダブル入賞を果たし、これがチーム唯一のポイント獲得となって一気にチームランキングは7位に上昇した。ただし、中国グランプリでのダブル入賞は幸運としか言いようがなく、基本的にチームとしてはテールエンダーの宿命を背負い続けている。

■ホンダ
 2004年にBAR・ホンダとして2位という成績を残し、2005年には1964年以来30年ぶりにワークス・ホンダとして復活、そして昨年はハンガリーグランプリで悲願の復帰後初優勝を決めランキング4位という成績を残したが、今シーズンは成績も最悪ならマシンのデザインもF1史上最悪なものだった。
 どう見ても速そうには見えないマシンデザインであるが、その見た目そのままに実際全く速さがなく、同じホンダエンジンを搭載するF1参戦2年目のプライベートチーム、スーパーアグリにすらしばしば先行を許すほどだった。
 ドライバーはジェンソン・バトンとルーベンス・バリチェロのコンビ2年目だが、第8戦のバトンによる8位1ポイントまでチームは全くポイントを挙げられず、その後は第13戦で再びバトンの8位1ポイントでようやく2ポイント目、第16戦でバトンが何とか5位4ポイントを獲得して、何とかスーパーアグリを上回り面目を保った。バリチェロは過去の通算優勝回数は9回も誇っていながら、今シーズンは何とF1デビュー15年目で初めてのノーポイントという屈辱を味わった。ホンダの低迷ぶりは深刻である。

■スーパーアグリ・ホンダ
 ホンダの支援によって実現した日本初のプライベーターチームの2年目は、日本のエース佐藤琢磨とレギュラードライバーとして初めてのシーズンを送ったアンソニー・デビッドソンによる体勢で臨み、予選ではデビッドソンが速さを見せ、佐藤琢磨は後方から決勝で追い上げていくという傾向が多く、予選ではデビッドソン、決勝では佐藤といった戦いが目立った。
 チームとしては昨年のデビューから数えて22戦目にあたる第4戦で佐藤が8位に入り悲願のチーム初ポイントを記録し、第6戦では何と佐藤がマクラーレンのアロンソをオーバーテイクするという衝撃のシーンを見せ、6位3ポイントをゲットするという快挙を達成した。ところが、スーパーアグリのマシンのもっとも大きな広告スペースであるリアウィングに書かれたSSユナイテッド(石油会社)が、スポンサー料3千万ドル(約34億円)を支払えないととんでもないことを言い出し、さらにはギド・ヴァン・デル・ガルデのスポンサーによる1千万ドル(約11億3千万円)も不履行となり、それによってチームは思いがけず資金難に陥ってしまい、マシン開発は滞り、シーズン後半は全くポイントを獲得することはできなかった。大々的な広告スペースだけ使い続けて金は出さないSSユナイテッドは最悪である。

■スパイカー・フェラーリ
 1991年にエディ・ジョーダンが立ち上げたジョーダンチームは、2005年を最後にロシア資本のミッドランドに買収されたが、ミッドランドもわずか1年でスパイカーに買収されることになった。そのスパイカーはフェラーリエンジンの供給を受け、マシンデザイナーもマイク・ガスコインが担当し期待されたが、結局昨年のミッドランド同様テールエンダーは変わらず、第15戦でエイドリアン・スーティルが獲得した8位1ポイントがチームでは唯一のポイントとなった。そしてチームはまたも今度はインド資本に売却されることになり、来シーズンはフォース・インディアと名を変え、スパイカーもたった1年で姿を消すことになった。



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