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■ フランク・ウィリアムズは2世好き?
2007年12月10日(月)
来シーズンのF1は、日本初のフルタイムF1ドライバーである中嶋悟の息子、中嶋一貴(22歳)がウィリアムズ・トヨタからレギュラードライバーとしてデビューすることが決定しており、佐藤琢磨(スーパーアグリ・ホンダ)との日本人ドライバー対決が期待される。
さて、前述のように中嶋一貴は日本人F1ドライバーのパイオニアである中嶋悟(現役1987〜1991)の息子であるが、その中嶋一貴のチームメイトであるニコ・ロズベルグも、1982年にシーズンわずか1勝でワールドチャンピオンになったケケ・ロズベルグの息子である。つまり、来シーズンのウィリアムズは2世ドライバーコンビというラインナップというわけだ。
ウィリアムズは過去にも93年から96年までグラハム・ヒル(現役1958〜1975/62、68年ワールドチャンピオン)の息子デーモン・ヒルを起用し、さらに96年から98年まではジル・ビルヌーヴ(現役1977〜1982)の息子ジャック・ビルヌーヴを起用し、96年はF1史上初のヒルとビルヌーヴによる2世コンビが実現した。そしてヒルは96年に、翌97年にはビルヌーヴがそれぞれワールドチャンピオンとなり、2世コンビの起用は大成功だったと言っても良いだろう。
2006年にウィリアムズからデビューしたニコ・ロズベルグは来シーズンで3年目を迎えることとなるが、その実力はデビュー当時から評価が高く、低迷しているウィリアムズで確実に結果を残してきた。一方中嶋一貴は今シーズンはウィリアムズのテストドライバーを務めていたが、テストでの評価は高く、最終戦ブラジルグランプリでF1デビューを果たして見事10位完走を果たした。つまり両者ともその実力は大いに期待されており、ウィリアムズに貢献することはまず間違いないと言えるだろう。
2世ドライバーを起用するメリットについて考えてみよう。
ヒル&ビルヌーヴのコンビの場合、両者の父親は共に伝説的なドライバーとして名を残しているので、その話題性は十分といえるだろう。そして2人の父親は、グラハム・ヒルは75年の秋にテストからの帰路中、自家用ジェット機が墜落し死亡、ジル・ビルヌーヴは82年ベルギーグランプリの予選中に事故死と、共に現役中に亡くなっているという点で共通している。従って両者とも現役半ばでこの世を去った父親の遺志を継ぐ者として美談となり、それを応援し援助するスポンサーも期待できるというものである。 ただし、ヒル&ビルヌーヴコンビの頃は、ウィリアムズは当時最強だったルノーエンジンを搭載しており、フランク・ウィリアムズ自身も当時「ウィリアムズが強かったのはドライバーの実力ではなくマシンが優れていたからだ」と豪語しており、幸いな事に両者とも1度ずつチャンピオンになったものの、実力よりも話題性が買われたのではないかと思ってしまう。
では、来シーズンのロズベルグ&中嶋コンビの場合はどうだろうか。このコンビは前者のコンビとは対照的に、共に父親は健在である。そして両者の父親の場合、ケケ・ロズベルグは92年に一度チャンピオンになっているものの伝説的なドライバーと言うほどではなく、中嶋悟に至っては現役最高位は4位と優勝はおろか表彰台すら登ったことがない。 しかし、父親が元F1ドライバーと来れば、そのノウハウやドライビングテクニックなどをF1経験者の父親から直に学ぶことができるわけで、他のF1を志す若いドライバーたちと比べれば断然有利なのは間違いない。さらに父親のコネクションがあれば、効率良くステップアップしてくこともできるわけで、まさに恵まれた環境といえるだろう。 つまり、ロズベルグ&中嶋コンビの場合は、チームが低迷している現状で2人のドライバーの話題性ではなく将来性に賭けるという、前者のヒル&ビルヌーヴコンビとは逆の状況であると言うことだ。
ロズベルグ&中嶋という若い実力によって、ウィリアムズが復活できるかどうか、期待しよう。
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