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■ なぜかホンダ初優勝で僕が祝福を受ける
2006年08月16日(水)
F1グランプリは、先々週のジェンソン・バトンによる劇的な第3期ホンダ初優勝で幕を閉じた第13戦ハンガリーグランプリの後、再来週の第14戦トルコグランプリまでの長い“F1盆休み”に突入しましたが、この1週間、僕の周りでもホンダ初優勝の興奮が続いていました。
ご存じの通り、僕は今までずっとセナが愛したホンダを愛し続け、クルマもホンダS2000に乗っています。そのせいか僕の身の周りの人々は皆、僕が熱狂的なF1ファン、ホンダファンであることを知っていて、なぜか至る所で「この間のレース良かったね!」「とうとう優勝したな!」「おめでとう中野さん!」などとハンガリーグランプリでのホンダ優勝の祝福を受けました。中には普段F1の話などしたこともない女の子からも「おめでとうございます!」などと言われたり、「やったな!」と握手を求められたりして、まるで僕がホンダF1の関係者になったような気分でした。
僕はその度に「やっぱり一番感動したのは表彰台で『君が代』が流れた時ですね!」と力説し、そしてその度に『君が代』を聴いた時にこみ上げてきた熱いものが蘇ってきて、思わず喋りながら声が上擦ってしまったりしたほどです。やっぱりあのハンガリーの表彰台で流れた『君が代』を思い出すたびに、ヤバイですね!
しかし、特にF1をよく観ている人の何人かからは、やはり「でもあの優勝はタナボタだった」「ホンダが実力で優勝するのはまだ先の話」「上位陣が自滅したのと雨に救われた」などというネガティブな声もちらほらと聞かれました。僕はリアルではVoiceで書いているほど過激な発言はしないので、やんわりと「そうですね」と苦笑いするに留めましたが、やっぱり彼らはF1というものを解ってないなと思わずにはいられませんでしたね。
確かにホンダが優勝を遂げたハンガリーグランプリは今シーズン初、しかも21回のハンガリーグランプリでも初となるウェットコンディションで、多重クラッシュがあったりセーフティカーが入ったり、タイトル争いを演じるフェルナンド・アロンソ(ルノー)とミハエル・シューマッハ(フェラーリ)が相次いで自滅したりと、大波乱の展開となりました。 しかし、言うまでもなくウェットコンディションもドライコンディション同様レースの基本的な要素なわけで、アロンソもシューマッハも共にミスを犯して自滅し敗者に甘んじたわけで、何ら特別な出来事ではないわけです。
一方、初優勝したジェンソン・バトンは1周ごとにオーバーテイクを決め、6周目までに14位グリッドから5位に上がり、7周目にはシューマッハすら抜いているわけです。ハンガロリンクは水はけがあまりよくないサーキットで、濡れている所と乾いている所が混在する非常に難しい路面コンディションでした。そのためグリップ感がコーナーによって異なり、オーバーテイクをするためにラインを変えることでいきなり滑って、何人ものドライバーがミスを犯しました。しかしバトンは毎周ミス1つすることなく正確なドライビングを続け、しかも速いペースで周回し続け、みるみる順位を上げていったのです。
バトンだけでなく、チームもハンガリーでは素晴らしい働きをしました。このところプロ集団とは思えないようなピット作業のミスがたびたびあったホンダですが、ハンガリーでは46周目のピットストップを5.5秒という素早さで完了し、バトンをコースに戻しました。これによりそれまで先行していたペドロ・デ・ラ・ロサ(マクラーレン・メルセデス)を抑え、2位を確実なものにしました。そしてその後トップを走行中だったアロンソがリタイヤしたことで、結果的にバトンとホンダの初優勝に繋がったというわけです。
ウェットコンディションでのレースはマシン性能差をそぎ落とし、非常にデリケートなドライビング技術が要求される“ドライバーズ・レース”を生み出します。つまり雨の中ではミスを犯さない堅実な走りが求められ、アロンソとシューマッハはミスを犯して敗者となり、ミスを犯さなかったバトンと素晴らしいピットワークをこなしたホンダチームが、正当なる勝利の栄冠を手にしたというわけです。
ただ、もし雨が降らなければバトンとホンダの優勝はおそらくあり得なかっただろうと言うのも事実です。しかし、少なくともバトンとホンダは今回優勝を経験したことで、自分は勝てるんだ!自分たちは勝てるんだ!という自信とモチベーションが一気に高まったことは言うまでもありません。このことによってチームの士気もぐっと上がり、より飛躍するための大きな弾みとなることは間違いありません。
バトンとホンダの優勝は、決してタナボタなどではありません。
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