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■ 【マツダイラ人物紹介】マキシ・レッドフォード
2006年07月28日(金)
(Text/久端眞理子)
■マキシ・レッドフォード(Maxi Redford) ■不屈の精神でマツダイラを追う、仕事の鬼。
アメリカ・ロサンゼルス生まれ。ニューヨークのマンハッタンに本社がある『ファー・イースト・リサーチ社』の社員で、同社が発行する自動車総合誌『モーターワールド』の敏腕編集者。年齢は不明だが、第1話で「30を過ぎてからの木登りは堪える」という記述があることから、少なくとも30歳を超えているのは間違いない。非喫煙者。なぜか日本語が非常に堪能で、後述の松平健との対談も日本語でおこなった。 容姿は長身でスレンダーで甘いマスク、松平健によれば「ケビン・コスナー似」らしい。実際『マツダイラ』の扉ページのマキシとされるイメージ写真(携帯電話を持っている人物)を見ると、確かにケビン・コスナーに似てなくもない。おそらく松平の「ケビン・コスナー似」という発言は、このイメージ写真から派生したものであると考えられる。また、髪型は「短く切り揃えられた」という記述があるが、イメージ写真のモデルも短髪である。扉ページのイメージを信用するならば、髪の色はライトブラウンといったところか。 映画通であるが、ケビン・コスナー主演の『ウォーターワールド』に関しては、理解しがたい映画らしい。(実際この映画は映画史上最大の損失を出した)マキシの映画通は、生まれ故郷がハリウッドのあるロサンゼルスであることが影響していると推測される。ただ、後述するが仕事が忙しいマキシがいつ映画を鑑賞しているのかは疑問である。 現在確認されている映画以外の趣味はF1観戦(ライフワークに近い)とサイクリングで、マンハッタンでも主に自転車を交通手段として活用しているらしい。 配偶者の有無や家族構成などは今のところ明らかにされていないが、日本に在住するイギリス人ジャーナリストのリヴェール・ウェスターという既婚女性とはかなり以前から親しい間柄のようだ。ただし、リヴェールが「あなたがゆっくり会いに来たことなんてあったかしら?」と言っていたことから、仕事以外でゆっくり過ごしたことはないらしく、恋愛感情はないものと思われる。 マキシは非常に仕事熱心で、与えられた仕事を忠実に能率よく、そして完璧にこなす。そのため上司である編集長サムからの信頼も厚く、期待も大きい。その期待からマキシは『モーターワールド』でも特に重要な仕事を任されることも多く、彼はサムに対して愚痴をこぼしながらも、サムの期待以上の成果を挙げている。サムとは上司・部下という立場を超えて非常に親しい間柄であることが2人のやりとりからも伺える。 マキシは元々『モーターワールド』編集部内でF1グランプリに帯同して取材するチームに所属していたが、F1を引退したアラン・プロストとの単独インタビューにこぎ着けてフランスから帰国した直後に、サムからマツダイラの取材を命じられてそのまま日本へと渡った。その後は仕事を抜きにしても大好きなF1グランプリを現地で観戦することができないまま、現在に至るまでマツダイラの取材を続けている。 取材ではインタビューから張り込み、追跡、写真撮影、原稿の執筆に至るまで全て彼1人でこなしていてマルチな才能を発揮している。さらにF1マシンの形状の識別、ドライバーのヘルメットの識別、さらにはマシンの排気音の識別に優れ、まさにこの仕事が天職と思えるような能力を兼ね備えている。 マキシの仕事っぷりには、特筆すべきものがある。その最たるものが、地道な努力と忍耐力、そしてずば抜けた考察力と瞬発的な行動力である。マキシは自分が持つ様々な資料から大胆な推測を立て、その推測を基に調査するという傾向にあるが、見事にその推測が的中する。また忍耐力に於いても、11月下旬の非常に寒い時期にイギリス・コッツウォルズの森の中で、早朝から深夜までテントを張って数日間監視を続けたこともあり、そのマキシをマークしていたICPOの刑事に「諜報機関顔負けの根気強さ」と評された。こうと決めたらトコトンやり通すという、不屈の精神力の持ち主である。仕事に於ける信条は「使えるものは惜しみなく使え」である。それが彼のいつものスタイルらしい。 また、彼は仕事に於いて様々な幸運にも恵まれている。第1話ではマツダイラ・モータースの本社で取材中に思いがけずミハエル・カッズ・クーンの来訪に出くわし、第5話では静岡で探そうとしていたマーカス・ミッドフィールドを、まさに静岡に到着した直後に発見し、さらにコッツォルズのファクトリーでは、ハイド・ボーン博士のウンチク好きによって、思いがけず本来は企業秘密であるはずのファクトリー内部の見学を許された。このようにマキシは、運をも味方につけているのである。
反面、仕事以外の部分ではがさつで大ざっぱな一面も見せている。編集長室のドアを勢いよく開けてそのまま上司の目の前でソファに乱暴に座ったり、初めて静岡に到着した際には、ホテルについてすぐにベルボーイがいる目の前でベッドにダイビングしたりするといった場面も見られた。またコッツウォルズのレストランでは、テーブルの上に資料を広げて情報整理に没頭して料理を運んできたウェイトレスを困らせ、その挙げ句急に心変わりしてテイクアウトを要求した。 第1話の冒頭で、フランスから帰ってきた直後で疲れていたせいか、コーヒーを入れてくれないかと頼んだり、社内のマルチメディア部門ではオペレーターに次々と指示を出したりと、同僚に対しては多少人使いが荒いところもあるようだ。あるいはこれも彼の言う「使えるものは惜しみなく使え」の一環か。 マキシは『マツダイラ』に於いて、一番最初に登場した人物である。2003年1月から連載がスタートした『マツダイラ』は、彼の登場シーンからスタートした。この作品は各エピソードごとにクローズアップされる人物が異なるため、名目上この作品には明確な“主人公”は設定していないとされるが、彼がこの人物紹介で一番先頭に位置づけられていることから、少なくとも第一部を通してのメインキャラクターに位置づけられているようだ。 彼は第1話にしていきなりもう一人の主人公とも言える松平健との共演を果たしており、そのインタビューのシーンでは非常に緊張感のある至高の会話を演じ、『マツダイラ』という一見何の話なのかわからない小説に迷い込んだ読者の興味を鷲掴みにし、圧倒的な演出によって一気に読者を『マツダイラ』の世界に引き込むのに一役買っている。 本来はキャラクター性や『マツダイラ』というタイトル名からして、松平健が主人公と考える方が自然であると思われるが、なぜか作者は松平ではなくこのマキシの方をより主人公に近い位置づけにしているのが興味深い。 確かにマキシは非常に強烈な探求心と行動力を持っており、彼がアメリカ、日本、イギリスと世界を駆け巡って活躍しているおかげで、作品全体の世界観が大きく広がっているのは事実だ。その探求心旺盛なマキシが主人公で、松平のミステリアスな部分を徐々に解明していくという構図は、非常に合理的だと言える。 ただし、あくまでこの作品で最初に登場したのはマキシだが、登場頻度で言えば松平の方が圧倒的に多く、松平がここまで全話に登場しているのに対し、マキシがまったく登場しない話が何本かある。さらに、ドラマや映画でも、主人公は少し遅れて初登場するものという定説を当てはめるなら、やはり松平の方が主人公という印象は強い。 名前の由来は作者の友人であるMaxi氏。彼の愛車が赤いプジョーであることから、このサイト内の『S2000架空映画ポスター』では“マキシ・レッドプジョー”となっていたが、“レッドプジョー”という名前は実在しないと言うことで“レッドフォード”となった。彼もまた映画通で、F1マシンのダイキャストカーコレクターとしても知られ、マシン形状の識別には定評があると言われている。
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