Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 F1第12戦ドイツグランプリ(予選)
2006年07月29日(土)

 今回のドイツグランプリから、日本期待のスーパーアグリ新型マシンSA06と山本左近がグランプリデビューを果たします。山本左近はともかくとして、SA06が果たしてどれほどのポテンシャルアップを実現したのか、非常に興味深いところです。

 その注目の予選第1ピリオドでは、トロロッソのスコット・スピードが1コーナーでマシンバランスを崩し、スピンしながらイン側のウォールに激突するというアクシデントで、開始5分足らずで赤旗中断となってしまいましたが、それ以外は第1ピリオドでの波乱はなく、今回は下位の常連であるトロロッソ、ミッドランド、スーパーアグリの3チーム6台が揃って脱落しました。しかし、スーパーアグリの佐藤琢磨はミッドランドのティアゴ・モンテイロを初めて予選で上回り、同じくミッドランドのクリスチャン・アルバースとわずかコンマ092差の19番手につけ、早くもSA06の進化の一端を見せました。

 第2ピリオドでは、セッション終了間際にアタックしたフェラーリのミハエル・シューマッハとフェリペ・マッサが共にトップタイムを更新し、ワンツー体制を築きました。シューマッハがこの第2ピリオドでマークした1分13秒778というタイムは、自身が2004年にマークした予選レコードの1分13秒306に迫るものでした。当時のエンジンはV10−3.0リッターなのに対し、今年のエンジンはすべてV8−2.8リッターに統一されていますから、シューマッハが今回記録したタイムがどれだけ凄いかが分かりますね。
 ウィリアムズのマーク・ウェバーとニコ・ロズベルグ、レッドブルのクリスチャン・クリエン、トヨタのヤルノ・トゥルーリ、BMWザウバーのジャック・ビルヌーヴとニック・ハイドフェルドが第2ピリオドで脱落しました。

 上位10グリッドを決める最終ピリオドは、残り5分からヒートアップし、マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネンとフェラーリの2台のポール争いとなりました。ライコネンが1分14秒070でトップに躍り出ると、フェラーリの2台もそれに続きますが、最後までライコネンのタイムを上回ることはできず、ライコネンが昨年トルコグランプリ以来となるポールポジションを獲得しました。
 2番手ミハエル・シューマッハ、3番手フェリペ・マッサ、以下ジェンソン・バトン(ホンダ)、ジャン・カルロ・フィジケラ(ルノー)、ルーベンス・バリチェロ(ホンダ)と続き、ミハエル・シューマッハとタイトル争いを演じているルノーのフェルナンド・アロンソは7番手からのスタートとなります。

 さて、気になるのはフェルナンド・アロンソの7番手という位置。タイトルを争うシューマッハが2番手フロントローであることを考えると、アロンソのこの位置はかなり不利であることは言うまでもないですね。今シーズン彼は前戦フランスグランプリまでで5回のポールポジションを獲得し、第2戦マレーシア、第4戦サンマリノ以外のグランプリで3番手以内のグリッドを獲得して予選での速さは安定していましたが、シーズンも折り返し地点を過ぎたこの時点での失速は、やはり今回のグランプリの直前に急遽FIAから禁止の通達を受けたマス・ダンパーの影響なのでしょうかね。

 マス・ダンパーとは、前後方向のマシンの揺れに対し、あらかじめ設置したウェイトでバランスを取ることにより姿勢を安定させるというもので、今シーズンライバルライバルチームを置き去りにしてタイトル争いを演じている、ルノーとフェラーリの2強が使用していました。FIAは今シーズンの開幕時点の段階ではこのマス・ダンパーを合法としており、ルノーもフェラーリもそれを確認した上で実戦投入していました。しかしここへ来て、「空力に影響を与えるものなので、可動するものは違法」として急遽禁止するという通達を出したのでした。
 主にマス・ダンパーの恩恵を受けているのはルノーの方で、今年のマシンR26の快進撃の立役者と言われていますね。一方のフェラーリもマス・ダンパーは使用していたものの、ルノーほどマス・ダンパーに頼り切っていたわけではなく、マス・ダンパーを外した状態でのテストも重ねているため、これが禁止されたところでルノーほどのダメージがあるわけではないようです。

 今回の予選結果だけでは何とも判断しにくいですが、もし明日の決勝でもルノーがこれまでの速さを発揮できなかったとしたら、このマス・ダンパーの影響は大きいと言うことになりますね。そうなるとルノーはアドバンテージをいきなり削られたことになり、フェラーリとミハエル・シューマッハの反撃を受けるのは必至でしょう。FIAも、シーズンも後半に入ったところでこのような措置に出るとは、なかなかニクいことをしますな。これでタイトル争いはアロンソの独走態勢からシューマッハの追い上げという理想の展開となり、シーズン終盤まで目が離せないというわけですね。



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