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■ F1、ニューウェイがレッドブルに移籍
2005年11月08日(火)
F1マクラーレンチームのテクニカル・ディレクター、エイドリアン・ニューウェイが、なんとレッドブルに移籍することになりました!ニューウェイは昨年からレッドブルの前身であるジャガーチームへの移籍問題で騒がれましたが、チーム名や体制こそ変わりましたが、いよいよ現実のものとなりました。
エイドリアン・ニューウェイは、F1ファンならお馴染みの、エアロダイナミックスの鬼才として高い評価を受けている人物。来年1月にマクラーレンとは契約満了となりますが、これまでヨットのアメリカズカップなどに関心がある素振りをしていました。マクラーレンとの前回の契約延長は7月から1月までというわずか6ヶ月のものでしたが、これは他チームの2006年用マシン開発の戦力にならないようにとのロン・デニス代表による深謀があったからだと言われています。
レッドブルへの移籍ということは、すでに元マクラーレンのデビッド・クルサードが今シーズンからレッドブルにいますので、クルサードとはウィリアムズ、マクラーレン、そしてレッドブルと、3度目のコンビネーションということになりますね。
エイドリアン・ニューウェイはイングランド中部のストラットフォード・アポン・エイヴォンで生まれ、1980年にサウサンプトン大学の航空工学で一級優等学位を取得しました。そして卒業後すぐに才能を開花させます。まずマーチ・チームで彼の最初のプロジェクトであったマーチGTPスポーツカーをデザイン、IMSAタイトルを2年連続で獲得します。
その後1983年にマーチのインディカー・プロジェクトに異動し、1984年型の車両開発。またしても彼のデザインは高い競争力を示し、1984年のインディ500を含む7勝を記録しました。翌年もニューウェイの85CシャシーがCARTタイトルを獲得し、1986年にもタイトルを奪取するに至って、彼のずば抜けたデザイナーとしての名声は不動のものとなりました。 自身のデザインした車両がCARTレースで常勝するようになったことから、ニューウェイはマーチを退職する道を選び、欧州へと戻ってF1のマーチに再雇用され、今度はF1においてチーフデザイナーとして働くことになりました。 F1でもニューウェイには技術革新によって、1988年の彼の力作が日本グランプリにおいて、1周のみとは言え、自然給気エンジン搭載車ながら、ターボ車(マクラーレンのアラン・プロスト)を抜きトップを走るほどの快挙を見せました。
1990年にウイリアムズの優れたテクニカルディレクターであったパトリック・ヘッドがニューウェイとの契約を成立させ、莫大な予算と優れたドライバー、開発資源が自由に使えるようになり、ニューウェイとヘッドは1990年代初期において支配的なデザインパートナーとなります。1991年シーズン中盤には、ニューウェイのFW14が前年のチャンピオンであるマクラーレンと完全に肩を並べるまでになりましたが、シーズン序盤での信頼性に関わる問題とアイルトン・セナの才能に阻まれて、ナイジェル・マンセルがタイトルを奪取することはかないませんでした。 しかし翌1992年にウィリアムズはF1を席巻、マンセルはドライバーズチャンピオンを獲得し、ニューウェイも初のコンストラクターズタイトルを手にしました。翌1993年にはFW15を駆るアラン・プロストによって2度目のタイトルを得ます。
その後彼は1997年からマクラーレンに加入し、1998年型の車両に精力を集中します。シーズンオフに入り4ヶ月の後に、マクラーレンはグランプリ最強のマシンとなっていました。ミカ・ハッキネンが1998年と1999年にドライバーズ・タイトルを獲得、マクラーレンも1998年のコンストラクターズ・タイトルを獲得し、2000年にもハッキネンが最後までのフェラーリのミハエル・シューマッハとドライバーズタイトルを争いました。
2000年から2004までは5年連続でミハエル・シューマッハ(フェラーリ)が王座に君臨し、今シーズンはフェルナンド・アロンソがチャンピオンに輝きましたが、少なくとも2000年、2004年、そして今シーズンに関して言えば、マシンに信頼性さえあればニューウェイのマシンはタイトル獲得も夢ではなかったでしょう。特に今シーズンは、タイトルこそアロンソとルノーに奪われましたが、マシンの速さは明らかにマクラーレンが勝っていたことは言うまでもありません。
このように、エイドリアン・ニューウェイは「タイトル請負人」と言われ、F1界ではミハエル・シューマッハをドライバーに迎えるよりも、ニューウェイと契約した方が勝利への近道だと言われてきました。そのニューウェイが、いよいよ9年も在籍したマクラーレンから離れ、新たなチームとタッグを組むことになったのです。 しかもそのチームは昨年ジャガーを買収し実質2年目の若いチームであるレッドブル。レッドブルは今シーズンはデビューイヤーでありながら、ベテランのデビッド・クルサードの働きもあってコンスタンスに入賞を果たす安定した強さを見せました。ニューウェイの加入によって、彼が初めて手がけることになる来シーズン中盤以降の改良型、そして完全にニューウェイ作となる2007年型マシンが大きく飛躍することはまず間違いないでしょう。
2007年以降は、レッドブルが大化けするかもしれませんよ!
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