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■ 2005年F1シーズン総括
2005年10月17日(月)
2005年のF1シーズンは、「新時代到来」「世代交代」、この二言に尽きますな。多くのフェラーリファンは認めたくはないでしょうが、これが現実です。6年にも及んだフェラーリの黄金時代が終焉し、ルノーによる新時代が到来。そして5年連続で王座に君臨したミハエル・シューマッハの時代が終わり、フェルナンド・アロンソ、キミ・ライコネンという新世代の台頭が始まった。そういうことです。
この事実を受け入れられない者たちは、決まってこう言います。「今年はマシンが悪かっただけだ」と……。そう、それこそがF1グランプリなのです。ドライバー、マシン、エンジン、タイヤ、そして運、F1とは、これら総合力で競われるモータースポーツですから、「マシンが悪かった」としても敗者は敗者です。それを言うなら、キミ・ライコネンだって「今年はエンジンが悪かっただけ」ですからねえ。マシンが良ければ他のドライバーでもチャンピオンになれる可能性はあるわけです。そもそも「今年はマシンが悪かっただけだ」ということは、言い換えれば昨年までの5年間は「マシンのおかげでチャンピオンになれた」とも言えるわけですよね。
あと、ものすごく不思議でしょうがないのですが、「ミハエル・シューマッハが実力で負けたわけではない」という、その根拠は一体なんなのでしょうかね。今シーズンだけを見ても、シューマッハとアロンソ、さらにはライコネンの3人の実力だけを比べることなんて不可能なことですし、「シューマッハが実力で負けるなんてあり得ない」という考え自体があり得ないですね。 無論シューマッハはF1の歴史の中でもっとも成功したドライバーであり、その実力や技術は現役ドライバーの中では群を抜いているのは間違いありません。 しかし、例え優れたドライバーでも、必ず体力的、精神的に衰えてくるものです。そうでなければバケモノです。一方のアロンソやライコネンは、まだまだこれから成長していく若い世代。シューマッハが実力で負けたとしても無理はないでしょう。
「シューマッハが実力では負けていない」ということを証明することはできませんが、「アロンソが実力でシューマッハに打ち勝った」事実はあります。第4戦サンマリノグランプリ、抜きどころの少ないイモラでしたが、47周目に2位に浮上したシューマッハは、トップのアロンソより2秒以上も速いペースでアロンソを追走。勢いの止まらないシューマッハは51周目、ついにアロンソの背後に迫り、オーバーテイクのチャンスを伺いました。 シューマッハは、マシンを左右に振りながらプレッシャーをかけ続けましたが、アロンソは要所を抑えシューマッハをブロック。テール・トゥ・ノーズの激しいバトルは実に10ラップ以上、ファイナルラップの最終コーナーまで続きましたが、アロンソがシューマッハを見事に抑え切り、マレーシア、バーレーンに続く3連勝を達成しました。第18戦日本グランプリで、アロンソがシューマッハを2度に渡ってパスしていったシーンも、まだ記憶に新しいですね。
シューマッハの話はこれくらいにして、アロンソとライコネンの話に移りましょう。
単純に「速さ」だけで言えば、アロンソ&ルノーよりもライコネン&マクラーレンの方が優れていたことは言うまでもありません。実際ライコネンは今シーズン、トップ独走中にマシントラブルでリタイヤを余儀なくされたレースが何度かあり、そのたびに獲れたはずの10ポイントをすべて失ってしまったわけですから、取り損ねた10ポイントを獲得していれば、2005年のチャンピオンは変わっていたかもしれません。
しかし、先程も述べたように、F1グランプリはドライバー、マシン、エンジン、タイヤ、そして運の総合力で競われるモータースポーツです。マクラーレンはマシンとエンジンに信頼性を欠き、そしてルノーは圧倒的な信頼性と安定した速さ、そしてアロンソのミスのない完璧な走りで、ダブルタイトルをものにしたのです。 ライコネン&マクラーレンのようにいくら速かったとしても、最後まで走り切れなければまったく意味がないのです。その点では、ルノーの信頼性の良さは際立っていましたね。ルノーを除くトップチームは、トップスピードを稼ぐため、すべて7速セミオートマティックのトランスミッションを採用していますが、ルノーは6速セミオートマチックを採用しているので、ギア比の効率も良く、エンジンやギアボックスへの負担も少なかったのが信頼性に繋がったのでしょう。
さて、最後に、スペイン人としては初、F1史上最年少のチャンピオンとなったフェルナンド・アロンソですが、彼に対しても「マシンと(ライバルが脱落していった)運だけでチャンピオンになった」という声をよく耳にしますが。それは断じて違います。 確かに今年のルノーの信頼性はピカイチ、マシンもそこそこ速かったですが、やはり何と言っても、アロンソの実力なくしては、チャンピオンにはなれなかったでしょう。何と言っても、同じマシンに乗る、シューマッハとは互角とも言われた実力者ジャンカルロ・フィジケラですら勝てなかったのですから。
アロンソはまだ若干24歳ですが、その走りはすでにベテランのようなストイックな走りで、非常に冷静沈着で安定した速さを持ち、そして何と言っても今シーズンは、まったくミスをすることがありませんでした。ライコネンも非常に速いドライバーですが、ライコネンにはミスも多いですから、トータル的な実力で言えば、今のところライコネンのよりもアロンソの方が一歩秀でているのは確かですね。アロンソがこの先も何度かチャンピオンになることは間違いないでしょう。
シューマッハの引退が囁かれる現在、F1は新たな天才を見いだしたのです。
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