Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 Mako、久々の大発見!
2005年09月30日(金)

 これまでも時々歴史的な大発見をしてきた僕ですが、今回、またも大発見をしてしまいました!この大発見は、今度の学会で発表する予定でいますが、毎回Voiceを読んで下さっている方だけ特別に!いち早くその大発見をご紹介してしまいましょう!


■芳醇な赤ワインに合うものを探す

 先日、結構高価なフランス産の赤ワインを手に入れたので、普段ほとんど家では晩酌はしないのだが、夜中に寝付けなかったこともあり、開けて飲んでみることにした。
 ところが、もう深夜なのでつまみはなしでワインだけで飲んでみたのだが、このワイン、高価なだけあってかなり芳醇でずっしりと重く、ワインだけで飲むにはあまりにも力強い味わいだったのだ。本来ならもっと早い時間に、それこそ匂いも味も強いブルーチーズ(青カビが生えたチーズ)ぐらいのつまみと一緒に楽しむようなワインなのだ。

 そこで、せっかくなのでつまみを用意してこのワインをじっくり堪能しようと思い立ったわけだが、すでに時間は深夜0時を回っており、コンビニや24時間営業のスーパーマーケットなどは営業しているものの、そんなお店に本格的なブルーチーズなど置いているはずもなく、しかたがないので冷蔵庫を開けて、ブルーチーズの代わりになるようなものはないかと探してみることにした。

 見つかったのは、納豆。

 ……納豆かあ……うーん、赤ワインと納豆、聞いたこともない組み合わせだぞ!片やフランスが誇る高価な赤ワイン、片や日本の朝ご飯の代名詞である腐れ大豆。同じ伝統的な食材ではあるものの、これまでの歴史の中では、おそらくまったく相対することはなかったであろう2つの伝統が、果たして口の中で調和し、絶妙の異文化交流的な味のハーモニーを奏でてくれるのだろうか……。

 今ここにある納豆と、本来芳醇な赤ワインと相性のいいブルーチーズの共通点と言えば、どちらも匂いがきつく味にもかなりクセがあると言うこと。逆に決定的に違う点と言えば、言わずもがな、あの納豆特有の粘りけだろう。ただ、その粘りけさえ気にしなければ、納豆の味的にはずっしりと重い赤ワインの風味と意外にマッチするのではないかと思い始めた。

 しかしここで、過去に犯してしまった痛い失敗が、僕の脳裏をよぎった。


■過去に犯した失敗

 以前、同じような食べ物の実験で、大失敗をしてしまったことがあった。夜遅くにお腹が空いたのだが、お金を下ろすのを忘れて手持ちがなく、かといってわざわざこれからキャッシュカードが使える店に食べに行くのもどうかと思い、家にあったパスタを茹で、何かパスタソースの代わりになるようなものはないかと、今回と同じように冷蔵庫を探ったのだ。

 今思えばこのとき、ニンニクとオリーブオイル、さらには鷹の爪まであったので、素直にペペロンチーノにしておけば美味しい夜食にありつけたのだが、僕はそのとき何を思ったのか、冷蔵庫の中で見つけたある別のものを、パスタソースの代わりにしてみたらどうなるだろうかという好奇心を抱いてしまったのだ。

 それは、レトルトの麻婆豆腐の元だった。

 元々僕は豆腐が大好きで、麻婆豆腐も好物のひとつだった。だからそのソースを使って、豆腐を入れる代わりにパスタと和えて食べても美味しいのではないかという仮説を立てたのだった。

 名付けて、「麻婆パスタ」。

 早速僕は麻婆豆腐の元を鍋にあけて火を通し、それにパスタを合え、出来上がったものを洒落た大きめのパスタ皿に上品に盛りつけ、フォークでパスタにソースを絡めながらクルクルとパスタを巻き、期待に胸を弾ませて一口目をほおばった。

 ところがその瞬間、僕はとんでもない過ちを犯してしまったことを悟った。

 本来麻婆豆腐は、ソースの味に豆腐の持つ独特の風味とまろやかなコクが混ざり合うことで美味しさを生み出すことができるが、その豆腐がない状態でパスタと和えてしまったため、ただ塩辛いだけのパスタになってしまい、どうポジティブに思考回路を働かせても「結構イケる」とはほど遠いほどひどい味だったのだ。

 しかし、せっかくパスタを茹で、麻婆豆腐の元も1回分消費してしまったため、捨てるのもあまりにももったいなかったのと、お腹は空いていたこともあり、僕はこの失敗をしっかりと記憶に留めて教訓とするため、水をがぶがぶと飲みながら、最後までこのクソマズイ「麻婆パスタ」を平らげたのだった。


■歴史的対面

 今回の赤ワインと納豆の実験も、先に述べた「麻婆パスタ」同様、期待を裏切られる可能性は大いに考えられた。しかし、今回の場合、仮に失敗したとしても、その被害は最小限で済む。もし食べてみて合わないようだったら、納豆はそのまま冷蔵庫に戻し、明日の朝ご飯のおかずにすればいい。ワインもコルクは抜いてしまったが、コルクの代わりに瓶に栓をする器具を持っているので、それで栓をして冷蔵庫に戻し、後日ブルーチーズを買ってきて飲めばいいのである。

 従って今回の実験は、好奇心を満たすという意味で、失うものもほとんどないので、チャレンジする価値は大いにあった。

 僕は早速納豆のパッケージを破ると、中に入っていたカラシとタレを納豆にかけ、それを入っていた発泡スチロールの容器の中で慎重に混ぜ合わせた。そして納豆に十分粘りけが出ると、僕はそのうちの一粒を恐る恐る箸の先でつまみ、口の中に入れた。さらにその状態で今度は芳醇な赤ワインが入ったワイングラスを持ち、ゆっくりと口を付け、ワインを口の中に流し込んだ。


 おおおッ!結構イケるじゃん!


 僕はワインを一口飲んで、夜中に独りで顔をびくっと上げて「オオッ!」という感嘆の声を挙げ、その感動に酔いしれた。結局その後、僕はワインのつまみとして、納豆1パックをぺろりと平らげてしまった。そしてそのときになって初めて、明日の朝ご飯のおかずを1品失ってしまったことに気付いたのだった。


■結論

 あくまで僕の個人的な好みではあるが、仮説で述べた通り、納豆もブルーチーズ同様匂いと味がきついので、それが逆に芳醇な赤ワインのずっしりと重い味わいにうまく調和し、絶妙のハーモニーを生み出すことがわかった。むしろワインが芳醇であればあるほど納豆との相性はいいものと考えられる。

 さらに、納豆特有の粘りけだが、これもワインが口の中に入ることで粘りがワインと混ざり合い、お互いの調和具合においてはブルーチーズよりも優れていると思われる。ただ、口の周りに糸を引いてしまい、ワイングラスにもその糸がからみついてしまうのが難点と言えば難点である。ワイングラスの口を付けたところには粘液の跡がつき、グラスが透明なのでそれがかなり目立ってしまうのは否めない。それを気にしなければ、味的にはかなり評価は高い。

 考えてみれば辛口の白ワインも、辛口の日本酒に似ているため、焼き魚との相性がいいのはよく知られている。それと同じで、芳醇な赤ワインと納豆も、イメージではまったく合いそうにないが、やってみると意外と合うことが今回の実験で証明された。

 ただし、これは極めて高度な味わいであり、シロウトにはおすすめできない。



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