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■ 撮影最終日
2004年08月08日(日)
今日は築地にあるスタジオで、商品の撮影を行いました。今回はモデルさんの撮影ではなく、ハンガーに吊した状態の商品や畳んだ状態の商品を撮影する、いわゆる「ブツ撮り」です。ブツ撮りはモデル撮影と違って動くことがないので、モデル撮影よりもスムーズに撮影が進むものと思われがちですが、とんでもありません。ブツ撮りはモデル撮影以上に気を使わなければならないことが多く、かなりの時間を要するのです。
モデルさんのカットは、商品を実際に着用するとこんな感じになりますよという、いわゆるイメージ的な意味合いが強いので、全体的なディティールや雰囲気が重要視され、自然に着こなした感じが出ていれば基本的にはオーケーなのです。しかしブツ撮りは商品そのものを撮影するわけで、通信販売なのでお客さんはカタログに載った写真だけで商品を選ばなければならないわけですから、当然ブツ撮りでは商品の質感や色を正確に撮影しなくてはならないわけです。ですからライティングも商品によって変えなくてはいけませんし、見栄えを少しでも良くするために、シワの入り方にも細やかな注意が必要になってくるのです。 当然多くの商品は布でできているので、特に吊し撮りではドレープと呼ばれるシワがよってしまいますが、そのドレープを如何に自然に、見栄え良く見せるかがスタイリストさんの腕の見せ所というわけです。また商品によって光沢のあるものやマットなものを如何に正確に見せるか、あるいは革製品や金属製品に関しては素材感やてかり具合などの調整はカメラマンの腕の見せ所となってきます。僕は今回の仕事ではデザイナーであるとともに、全体の構成を指示するディレクターの役割を担っていますので、クライアントさんと共に商品のドレープ加減をチェックしたり、本番撮影の前に撮影されるポラロイドで色や質感をチェックしたりして、必要であれば手直しをしてもらい、最終的な本番撮影のゴーサインを出します。
そうそう、ポラロイドで思い出しましたが、今回の仕事ではモデル撮影もブツ撮りも、すべてデジカメではなくポジフィルムで撮影しています。ここ数年でデジタルカメラが急速に進歩してきましたが、特にこの仕事のようなカタログなどの印刷物では、まだまだポジフィルムによる撮影が主流なのです。なぜなら、今のデジカメの表現力では色が浅くなったりハレーションを起こしたりと正確ではなく、デジタルデータなので独特のギザギザが出てしまい、一定以上の大きさに拡大することができないからです。 ポジフィルムならフィルムにシャープに焼き付いているので、実際にポジフィルムが上がってきてそれを製版で分解(スキャニング)してデータ化する際、あらかじめ拡大率をしっかりと指示さえすれば、いくらでも写真の扱いを大きくすることができるのです。
ちなみにポジフィルムは、普通に写真屋さんで売られているような一般的なネガサイズの35mmフィルムではなく、業務用の「シノゴ」と呼ばれる40×50mmのフィルムを使って撮影します。デジカメではモニターさえあれば画面上で上がり具合をチェックできますが、ポジフィルムでは現像するまで上がり具合をチェックできないので、まずはポラを撮って確認するというわけですね。
さて、今日は36カットのブツ撮りを1階と2階の2箇所のスタジオを使って半分ずつ18カットに振り分けておこなったのですが、先に述べたように1つ1つの商品に対して時間をかけて撮影し、さらに1つの商品を撮影したら次の商品に入れ替えてセッティングし、といった具合に撮影が進んでいくので、結局朝の8時からスタートした撮影は夕方の6時過ぎまでかかり、何とか終電で静岡に帰ってくることができました。次は11日に現像が上がったポジフィルムのチェックをするため、再び東京へ行きます。
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