Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 仕事の愚痴
2004年03月15日(月)

 このところ徹夜仕事が多くなってきていますが、今日も明け方まで仕事です。お得意先で聞いた話だと、最近徐々に景気が回復しつつあり、クライアント側も広告をたくさん出すようになってきているらしい。だから仕事の本数はこのところどんどん増えているようです。しかし、仕事の単価はあまり変わっていないので、制作側としては相変わらず数をこなすことで稼いでいくしかないんですよね。

 うちの業界は98年頃から年々価格破壊が進み、僕らでは考えられないような値段で仕事を引き受ける業者が増え、一時はそういった業者に仕事が取られないよう、僕もクライアント側の要求を受けて値段を下げざるを得ませんでした。しかし最近、安い値段の仕事でとんでもなく高度なことをやってくる業者が増えてきて、僕としては非常に困っています。僕は基本的にDTP(デスクトップ・パブリッシング)の仕事では、3種の神器といわれている「フォトショップ」、「イラストレーター」、それに「クオークエクスプレス」という3つのソフトを使って仕事をしています。しかし最近の若手デザイナーは安い値段で、3D作成ソフトなどを多用してものすごく高度に作り込まれたCGを作って来たりするので、クライアント側も「この値段でこれだけのものができるのか」とあたかもそれが当然のように思うようになり、だんだん要求も高度になっていき、無茶な注文を付けてきたりすることもあります。

 そう言う人たちは大抵もともとCGを作ったりすることが大好きな人たちが多く、当然ソフトも自由自在に扱うことができるので作業も早いでしょう。しかも彼らは副業としてバイト感覚でそれらの仕事をこなしていますから、値段が安かろうが関係なくすごいものを平気で作れるのです。実際できあがったものはレベルもクオリティも非常に高いので、作品としてみればそれらは全く問題なく、僕も評価しています。
 ただ、そのクオリティを僕に要求されても困ります。僕はCGなんて作れませんし(マツダイラの扉の背景CGも、何ヶ月かかったことか……)、イラストにしても趣味で描いている程度なので、仕事でイラストが必要なときはフリー素材を使うかイラストレーターの方に発注し、発注した場合は当然イラストは別料金を請求しています。

 制作サイドの事情を全く知らない営業の方に「新人のこいつがこんなにすごいものを作っているんだから、ベテランの君にもこの値段でこれぐらいのことはやってもらわないと」といわれるのは、とても納得がいきません。「うちではこの値段ではできませんよ」と言っても、「僕が仕事を出しているメンバーは、みんなこの値段でやっているよ」と返されるし、「うちは安い値段でこれだけのことができますよ、というのが売りなんだから」と開き直られてしまいます。そりゃ、こんな値段でこれだけのもの見せりゃ、どこだって飛びついてきますよ。

 僕に言わせれば、これらは「技術の安売り」に過ぎません。たとえCGやイラストがとても得意で、何の苦労もせずにちょちょいのちょいでものすごいものを作れたとしても、できてきたものの完成度はとても高いものなのだから、それに見合うだけのお金はもらうべきです。逆にお金が出せないのなら、予算に見合った仕事をするべきだと思います。安いから手抜きをしろと言っているわけではありません。ただ、営業さんはクライアントの機嫌をとるだけではなく、もっと制作側の手間や作業時間を把握して、技術やセンスを保護して欲しいですね。


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