Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 「猟奇的な彼女」を観る
2004年02月04日(水)

 今日は「猟奇的な彼女」という映画を観ました。生意気で、恐ろしく凶暴、でも正義感に溢れる超キュートな「彼女」をヒロインにしたこの映画は、幅広い観客、とりわけ若い女性の共感と感動を誘い社会現象にまで発展したそうです。そしてラブストーリー映画として韓国歴代1位の記録(2001年度興収2位、歴代で4位の動員数)を叩き出しました。韓国以外でも香港で2週連続1位の大ヒット、更にはスピルバーグ率いるドリームワークスが75万ドルでリメイク権を獲得したりと、「猟奇」旋風が今後世界を席巻することになるかもしれません。

 『猟奇的な彼女』は、まさにネット世代から生まれた新世紀映画。原作は99年8月、パソコン通信“ナウヌリ”の掲示板に端を発します。ペンネーム“キョンウ74”のID名で投稿された、ちょっとヘンな女のコとの実際に経験した奇妙なデート話が、またたく間に爆発的話題を呼んだのです。ファンのメールが殺到したため、このネット世代の共感を集めたユニークなラブ・ストーリーは、大学生である本名キム・ホシク自身のホームページに引き継がれ、より多くの女性ファンを獲得。彼は一気に時の人となります。これは後に単行本化もされ、10万部を越えるベストセラーになり、現在でもオリジナルのウェブサイトと、彼のファンサイトは多数のヒットを集め人気は依然衰えていないそうです。

 登場するのは、まずこの映画のヒロインである猟奇的な彼女。名門女子大に通う女子大生。見かけはしとやかでスレンダーな超美人、なのに「ぶっ殺す」が口癖で、わがままで凶暴。その反面、老人に席を譲らない若者を一喝したり、ポイ捨てする青年を怒ったり、援助交際をする中年サラリーマンに我慢できずにケンカを売ったりと正義感溢れる一面も。実はある切ない秘密を抱えている。そしてもう一人は兵役上がりの大学生キョヌ。女の子を望んでいた両親にまるで娘のように育てられ、7歳まで自分のことを女だと思っていた気立てのいい青年。徴兵制度が終わり、大学に戻ってきたがあまり勉強をしている様子はない。ある日、仲間たちとお酒を飲んだ後、駅のプラットフォームでベロベロに酔っ払った女性を助ける。それが「猟奇的な彼女」との衝撃的な出会いとなる。

 この2人の恋物語は、題名の通り「彼女」が超過激で暴力、おまけに発想もぶっ飛んでいるため、端から見たらおおよそ常識的に考えられないような行動が展開されていきますが、彼女の心の奥に秘めたやさしさにふれ、彼女を見守ろうと決意するキョヌのけなげで一途な想いがとても好印象です。彼女の方も、過激ではあるものの正義感が強く、率直故の奇抜な行動や言動は、逆に魅力となって見る者の心思わず引きつけてしまいます。全体的には韓国映画特有のシャレや思わずニヤリとしてしまうパロディが効いていて、2人の演技にも若さが溢れており、各所で笑いを提供してくれるので、最後まで全く退屈することなく楽しむことができます。しかしその中にも思わずぐっと来てしまう切ない部分も盛り込まれており、とてもバランスのとれた、純粋で素晴らしいラブストーリーだと思いました。誰にも予測できない恋の行方、そしてその先には、「彼女」を好きにならずにはいられない感動のエンディングが待っています。


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