林心平の自宅出産日記

2004年11月03日(水) 妊婦さん、雨の中、稲穂を求めて進む 前編

 ホームページの「おかわり通信」の中で「バケツ稲」のレポートを書いていました。無事に実って、子どもたちと稲刈りもしたのですが、それから一騒動がありました。
 刈り取った稲穂を束ねて、ベランダに干して、はさがけをしていました。時間のあるときに、脱穀しようと思っていました。娘も、「お米にしようね」と楽しみにしていました。しかし、忙しさにかまけて、なかなかとりかかることができませんでした。

 ある日、ベランダの床に、もみが散らばっていました。手にとって見ると、米はなく、もみがらだけになっていました。あたりにはたくさん散らばっています。妻が言いました。
「そういえば、最近、ベランダにすずめがたくさん来てたよ」
「それだ。すずめがお米を食べたんだよ」
稲穂には、あまりお米は残っていませんでした。ぼくは、娘に言いました。
「お米、すずめが食べちゃったんだよ。すずめにえさをあげたいって言っていたでしょう。だから、いいよね」
「お米にしたかった」と娘はとても残念がりました。ぼくの思っていた以上に、お米に期待を寄せていたようです。そんなやり取りを見ていた妻が言いました。
「Iさんに電話してみて。稲があるかもしれないよ」
 Iさんというのは、助産婦さん探しのとっかかりに登場してきた方で、直売所をやっている農家です。休日も昼近くになっていましたが、娘の気持ちをくんだ妻はやる気でした。

 そこで、Iさんに電話をかけました。事情を説明して、
「稲穂をわけていただけませんか」とお願いすると
「稲はあるんだけど、実があまり入っていないかもしれないんですよ」
「それでもいいです。今日、野菜の買い物を兼ねて行きますので、お願いします」
 妻に、実入りのことを伝えると、
「そうは言っても、プロだからね。きっと、うちのバケツ稲よりもいいに決まってるよ」
 そんなわけで、急遽、でかけることにしました。車を持っていないるので、電車とバスを乗り継いでの小旅行です。でも、もう昼近かったので、ご飯を食べて、子どもたちに昼寝をさせてから行くことにしました。 つづく


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