林心平の自宅出産日記

2004年09月29日(水) 自宅出産をするための条件

 昨日テレビで「アット ホーム ダッド」というドラマを観た。その中で、専業主夫のいる家での自宅出産が取り上げられていました。それだけ、社会的に認知されてきたのだなと驚きましたが、同時に、そのドラマの中の家でどうして自宅出産が可能であったのか、考えました。
 出産を迎えるまでは、先日来書いてきましたように、つわり時のケアとか、体重管理とか、家族の理解と協力が必要です。しかし、それらは、自宅出産であろうとなかろうと同じことです。世の中には夫の協力があまり得られなくても、妊娠生活を送っている妊婦さんはいるでしょう。
 問題なのは、産むときの協力と、産んだ後の育児と家事の担い手を確保することです。出産時には助産婦さんに来てもらいますが、その前から家に一緒にいてくれる人が必要です。助産婦さんへの連絡、出産の準備をとりすすめるためです。
 さらに重要なのが、産後の家の中のことです。通常、病院や助産所で出産したときは、母と新生児は1週間入院します。つまり、少なくともその間の食事の支度や新生児の世話については、外部からの協力を得られるわけです。ところが、自宅で出産したときは、出産後の育児、食事、洗濯、掃除のすべてを担ってくれる人が必要です。出産で疲れきった母親には、休息が必要です。新生児の世話は、産まれた瞬間から24時間体制であたらなければなりません。
 もしもその家に専業主夫がいたら、これほど心強いことはないでしょう。家事の技術を持ち、外に働きに出なくてよいのですから。専業主夫がいなければ、兼業主夫の出番となります。育児休暇をとって、頑張りましょう。この場合も、にわかじこみの、あまり料理も掃除も洗濯もしたことがないのです、というような人では頼りないので、日常的に家事をやっている人でなければ、なかなかつとまらないでしょう。
 
 周りを見ていると、出産後は実家から母親が手伝いにくる人が多いようです。ぼくたちの場合は、それを望めなかったので、何とか自分たちで乗り切るしかありませんでした。特に、1人目が産まれたあとの1か月間は、妻は、本当に大変でした。ぼくは、フリーターだったので、仕事を休めば収入はその分減りました。朝6時から夜10時まで、最大で4つの仕事をかけもちしていました。あの頃は、ぼくは、仕事に行くことばかり考えており、初めての育児で大変だった妻は、「1人ぼっちだった」と言います。妻が熱を出したときも、妻と子を家に置いて、ぼくは仕事に行きました。
 今ふりかえると、申し訳なかったと思います。そして、それでも何とか2人で子どもを育てていったために、おそらく、ぼくは少しずつ変わっていくことができました。もしも、誰か手伝いの人が家に来て、ぼくがあのまま「仕事人間」であり続けていたら、2人目を自宅出産することはできなかったと思います。

 ですから、自宅出産をするための条件の中で重要なものの1つは、協力者の存在だと思うのです。


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