林心平の自宅出産日記

2004年09月13日(月) 助産婦さん探しは口コミで

 妻は、今、活字を見る気力がないそうでこの日記をまだ、読んだことはありません。どんなことを書いたかをぼくが口頭で伝えていますが、「まだ助産婦さんにたどりついていない」と言うと、「それじゃあ、『自宅出産日記』にならない」と言われましたので、助産婦さんにたどりつくまでの話を書いてしまおうと思います。
 
 口コミで助産婦さんを探そうと考えたとき、まず、まっさきに思いついたのが、I家の人々のことでした。Iさんたちは、農家です。札幌で、無・低農薬の野菜を中心とした直売所を畑の前に構えており、一家の生計はすべてその店によって立てている、というすごい農家です。野菜だけではなく、イチゴやメロンなどの果物、米、自家製粉の小麦粉、ソバ、しめ飾りなども販売しています。
 ぼくが大学4年生のときに、農学部で卒業論文を書きました。「地場流通の今日的意義 〜札幌市の農家直売を事例として〜」とうテーマで、有人の直売所をたずね、農家の方にお話を聞かせていただき、お客さんにアンケートをとらせていただきました。スーパーで野菜を買っている人の回答と比較したところ、直売所のお客さんはおいしさ・新鮮さ・安全性を重視し、スーパーのお客さんは価格を重視しているという美しい結果が出ました。
 そのときに、とてもお世話になったのが、I家の人々だったのです。その後も、ご飯をごちそうになったり、ぼくと妻がともに熱を出してしまったときに子どもを預っていただいたり、家庭教師をやらせていただいたりして、お世話になりっぱなしの人たちなのです。

 店をやっていること、しかも安全志向の高いお客さんが多いことから考えると、自宅出産に携わっている助産婦さん、あるいは自宅出産をした人をご存知ではないかと考えたのです。そこで、電話をしてきいてみました。
「助産婦さんか、自宅出産をした人をご存知ではないですかとたずねると、電話の向こうでは、
「Oさんが自宅で産んだんじゃなかったっけ」と話をしている様子が聞こえました。
「確か、自宅出産した人がいるので、その人に確認してみますね」
 そこで、待つことにしました。すぐに折り返し電話がかかってきました。
「Oさんというお客さんが自宅出産をしたそうです。でも、それは数年前の話で、助産婦さんは80いくつだったらしいんです。でも、その人の助手もいて、紹介してくれるかもしれないというので、Oさんに聞いてみてください」
と言い、Oさんの連絡先を教えてくれました。
 
 早速、Oさんに電話しました。妻が病院での出産を嫌い、自宅での出産を望んでいる旨を伝えると、賛同してくれ、前回の助産婦さんに頼めないということについては、たいへん残念がってくれました。
「Mさんという助産婦さんに来ていただいたのですが、人間的にもたいへんすばらしい方でした。ただし、今年、たしか90歳で、ちょっとお願いできないと思います。二人組みになって来てくれたのですが、そのときに一緒に来てくれたもう一人の方が、その方も70代でしたが、来てくれるかもしれません。どちらにせよ、Mさんに言えば、どなたかを紹介してもらえるでしょう」
と言い、Mさんの連絡先を教えてくれました。 
まだつづく


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