りえるの日記

2008年04月19日(土) 余韻の原因

フランス名詩選は仏語を習い始めたときの
私の愛読書だった。

久しぶりに解説を読んでみる
安藤元雄氏。
ここで、エリュアールの余韻の心地よさの原因が分かる。

「フランス詩を一望すると「知識の土壌」とでもよぶべき
ものに気づく。甘美な叙情を歌いあげるときでも、悲痛な絶望を
表白するときでも、詩人は規則的な前提条件とでも
いうように、冷静な知的操作を行うことを忘れていない。
それが、どんな混沌をも見透かす明晰さとなって、
彼らの言語表現を支えている。
人生知でもなければ、経験の蓄積ではない

エリュアールの自由
この詩は、政治的自由、圧迫からの自由と読まれてきたが
彼自身が語っているところでは、この詩は、恋する少年が
相手の少女の名をいたるところに書きしるす場合のように
読まれてよいということだった。

自由とは、アナーキーな、人が生まれながらにもつ
生への希求。
少年、高齢の読者であれ、生というものの奥行きを再発見させる
そのために、この詩はいくつもの詩節を繰り返す。
こういう表現意図のなかに、精神風土全体の、知的な側面が
垣間見える。」


流石、安藤元雄。
計算された繰り返しにより、生への希求を感じ
心に響くのだろう。


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