フランス名詩選は仏語を習い始めたときの 私の愛読書だった。
久しぶりに解説を読んでみる 安藤元雄氏。 ここで、エリュアールの余韻の心地よさの原因が分かる。
「フランス詩を一望すると「知識の土壌」とでもよぶべき ものに気づく。甘美な叙情を歌いあげるときでも、悲痛な絶望を 表白するときでも、詩人は規則的な前提条件とでも いうように、冷静な知的操作を行うことを忘れていない。 それが、どんな混沌をも見透かす明晰さとなって、 彼らの言語表現を支えている。 人生知でもなければ、経験の蓄積ではない
エリュアールの自由 この詩は、政治的自由、圧迫からの自由と読まれてきたが 彼自身が語っているところでは、この詩は、恋する少年が 相手の少女の名をいたるところに書きしるす場合のように 読まれてよいということだった。
自由とは、アナーキーな、人が生まれながらにもつ 生への希求。 少年、高齢の読者であれ、生というものの奥行きを再発見させる そのために、この詩はいくつもの詩節を繰り返す。 こういう表現意図のなかに、精神風土全体の、知的な側面が 垣間見える。」
流石、安藤元雄。 計算された繰り返しにより、生への希求を感じ 心に響くのだろう。
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