ルコント「リディキュール」では、ファニー・アルダンが 「私の爪が丸くなったとでも思ってるの?」という 挑発的な言葉があった。
爪はファムファタールの大切な装飾物。
身を飾るものつながりで、三島「宝石売買」は面白かった
「宝石にそれ自身値段などというものはありません。 宝石を手放したら見るかげもなくなってしまう人の宝石は高価でしょう しかし、宝石をつけてもつけなくても若さと美しさで輝いている人の 宝石はお安くしかいただけません。」
そして、片桐が久子の宝石を薬指にはめる姿を見て、久子の胸は高鳴る
「彼の右手の指たちは加勢にきて、燦然たる宝石の泉を翳らし、この 光輝まばゆい黄金の締めで薬指を苛んだので、薬指は 琥珀いろの若い奴隷の体のように、あやしく身悶えしながら締めを 脱れようと試みた。」
物に対する執拗で官能的な描写。 一つのものから、イマジネーションが広がるのは谷崎にもみられる。 谷崎の場合は、物よりも、人の体の一部。 例えば、指、口、耳等。
そして、「LES BIJOUX」のボードレール
Et son bras et sa jambe, et sa cuisse et ses reins Polis comme de l'huile, onduleux comme cygne Passaient devant des mes yeux clairvoyants et sereines Et son ventre et ses seins ,ces grappes de ma vigne
その腕といい脚といい、太ももといい腰といい 油のようになめらかに、白鳥のようにしなやかに 私の晴れ晴れと見開いた目の前を通り過ぎた また その腹やその乳房、私の葡萄のこの房は・・・
視姦の感性をもつ芸術家達。
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