りえるの日記

2008年03月08日(土) 孤独

福永武彦「愛の試み」を読んだ。

人間は孤独であると

「夜われ床にありて我が心の愛する者を
たづねしが尋ねたれども得ず」
          「雅歌」第3章、1

愛と孤独とは相対的な言葉だが、決してその反対語ではない
愛の中にも孤独があるし、孤独の中にも愛がある
孤独を意識するときに、必然的に愛を求め、愛によって
渇きを潤そうとする。
人は愛があってもなお孤独であるし、愛があるゆえに一層孤独な
こともある。
しかし、最も恐るべきなのは、愛のない孤独であり、それは一つの
砂漠というにすぎぬ。

愛が失敗に終わっても、失われた愛を嘆く前に
孤独を充実させて、傷は傷として自己の
力で癒そうとする、そうした力強い意志に貫かれてこそ
人間が運命を切り抜けていくことも可能だと。

孤独を充実し続ける強い意志を持つと自覚すると
心がすっと軽くなる。


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