りえるの日記

2008年01月08日(火)

鏡花「春昼、春昼後刻」読了。

2回続けて読んだ。
色彩と映像の美を感じられる作品。
真っ白なキャンバスに印象的な赤、黄、青を
フラッシュバックのように見せられる。

そして、洗練された言葉。

2編の短編とも、終わりの一文が素晴らしい

「雲の黒髪、桃色衣、菜種の上を蝶を連れて、
庭に来て、陽炎と並んでたって、しめやかに窓を覗いた」

「渚の砂は、崩しても、積る、くぼめば、たまる、音もせぬ。
ただ美しい骨が出る。貝の色は、日の紅、渚の雪、波の緑」

焦がれ死にするほどの夫人をみつけ、宿命の死を遂げる。
あくまでも、美しい春の日差しとともに。

女性の描写も粋で艶かしい。

「濃い睫毛から瞳を涼しくみひらいたのが、雪舟の筆を、
紫式部の硯に染めて、濃淡のぼかしをしたようだった。」

鏡花を豪華本で読むと、さらに
不可思議な世界へ誘ってくれそうだ。




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