ボードレール「旅への誘い」を 友達に話すと、さっぱり分らないと言われた 或る意味、衝撃的。 自分に素晴らしいものが、 他人には解釈不可能。 自分の世界に入っていくことにより、 見つけることができる宝物もある。
デュパルクの歌曲。
「前世のくらし」の歌詞が終わった後の 最後のメロディーは素晴らしい。
「彼らは棕櫚で私の額を扇いでくれたが 気遣いはただ一つ、もっと深めることだったのだ 私を衰弱させていく苦しい秘密を」
この歌詞が終わり、音楽とともに 深い洞窟の泉の中に、沈んでいく私。 諦念の美が交差する美しい世界。 深淵の世界に陥ることにより 肩の荷がおりていく快感。 人間は弱い存在であるから、強さを求め続けても ある瞬間、弱かった自分の世界へ 逃げ出したくなることがある。 自分が嫌悪する世界であったとしても。
今、仏語で読んでいる「存在の耐えられない軽さ」の 文章がこのボードレールの詩を体現しているよう。 究極の恋愛小説と言われた所以がわかる。
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