りえるの日記

2007年08月19日(日) 前世のくらし

ボードレール「旅への誘い」を
友達に話すと、さっぱり分らないと言われた
或る意味、衝撃的。
自分に素晴らしいものが、
他人には解釈不可能。
自分の世界に入っていくことにより、
見つけることができる宝物もある。

デュパルクの歌曲。

「前世のくらし」の歌詞が終わった後の
最後のメロディーは素晴らしい。

「彼らは棕櫚で私の額を扇いでくれたが
気遣いはただ一つ、もっと深めることだったのだ
私を衰弱させていく苦しい秘密を」

この歌詞が終わり、音楽とともに
深い洞窟の泉の中に、沈んでいく私。
諦念の美が交差する美しい世界。
深淵の世界に陥ることにより
肩の荷がおりていく快感。
人間は弱い存在であるから、強さを求め続けても
ある瞬間、弱かった自分の世界へ
逃げ出したくなることがある。
自分が嫌悪する世界であったとしても。

今、仏語で読んでいる「存在の耐えられない軽さ」の
文章がこのボードレールの詩を体現しているよう。
究極の恋愛小説と言われた所以がわかる。


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