ピアノレッスンでバッハインベンション5番を弾いた。 練習している時は、つまらない曲だと思っていたのに 先生の一言で曲に息を吹きかけたように活力がでてきた。 risoluto (決然と)を意識して、2声を歌っていく。 すごく、面白い曲になった。
夜、平田オリザ脚本の「別れの唄」を見る。 フランスで上演。フランス語での上演。 平田オリザを始めて見たのは、何かのインタビューだった。 なんて面白い人なんだろうと思った。 この演劇も上演されるのが地方なので20代から50代まで 全ての年齢層にうけるように大衆性を持たせたらしい。 笑いと涙と愛情と。 粋がって、大衆文学を馬鹿にする傾向がある私は打ちのめされた。 全ての人に感動してもらう。 なんと、素晴らしい作業だろう。 有島武郎の「小さき者へ」が引用されていた。
母親を失くした子供に
「お前たちは去年、一人の、たつた一人のママを永久に失つてしまつた。 お前たちは生まれると間もなく、 生命に一番大事な養分を奪はれてしまつたのだ。 お前たちの人生は既に暗いのだ」
「お前たちは不幸だ。 恢復の途(みち)なく不幸だ。 不幸なものたちよ」。
不幸だ、不幸だと何度も言われる。 しかし、最後は励ましている。
「小さき者よ。 不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を 胸にしめて人の世の旅に登れ。前途は遠い。そして暗い。 然し恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。 行け。勇んで。小さき者よ。」
奥が深い。有島武郎。読んでみよう。
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