最近は反っ歯の人をあまり見かけなくなった。 今でも母と親しいKさん、昔はかなりの反っ歯だったらしい。 そのKさんに向かって、幼い私は言ったそうだ。 「オバチャンの歯、なんでそんなに飛び出してんの?」
私はいっこうに記憶は無いが、その時のことを母は 今でも忘れられないそうだ。 昨日、所用で実家に帰った時の母との会話だ。
幼稚園時代の記憶は割りとシッカリしている方なのに、 それに関しては全く覚えていないところをみると、 ほんとうに悪気もなく、見たままを口にしてしまったのだろう。 (しかし幼いとはいえ、なんと思慮深くない子供だったのか)
成長してから母に何度か聞かされたが、我が家の玄関先で立ち話中だった 二人は、突然の私の言葉に、まさにどちらも固まってしまったそうだ。 「ほんとうに顔が青くなった」と母は言う。
今では92歳になったKさんと80歳の我が母、 どちらも一人暮らしの元気なおばあちゃん、近所づきあいも昔のまま。 相変わらず、あの時のようにお互いの家に行っては、 タイガースの話や孫達の話で盛り上がっているらしい。
Kさんは、もうとっくの昔に総入れ歯になっているが 先日、話の中で「昔、私は反っ歯だった」とのKさんの言葉に、 母の心臓はドッキ〜ン! 飛び上がるほどビックリしたそうだ。 (両手で胸を抑えて、飛び上がる仕草をする母)
あの時のことを思い出してしまったから・・・
・・・って、もう50年前のことやん。半世紀も昔やのに・・・
今でも母をドキッとさせるなんて、そんなに重大な過失だったのかなあ。
たしかに、親しいとは言っても12歳という年齢差、 当時三十代になったばかりの母は、とても気を使ったのだろう。
ご当人のKさんは、覚えておられるだろうか(きっと、覚えているよね)
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