そよ風


2005年07月06日(水) お守りの効用

最近の私の心模様、今日の灰色の梅雨空と同じだ。

誰でも、どんな場所にいても、暗い時もあれば、明るい時もある。

最近、家に居る時、ポケットの中にある物を携帯するようになった。
それは小さなハンカチのような布だ。
濃い藍色の生地に、人生教訓のような言葉が白い文字で染め抜かれている。
あまりに落ち込みそうになった時、そっとポケットを押さえて
その言葉を意識する。
まるで心の平安を保つためのお守りのような存在だ。

人生五十○年、あまりそういうことをする方ではなかった。
よほど精神的に追い込まれているのだろうか。
いいえ、たぶん、単に歳をとった証拠なのだと思う。
若い頃から、諺、格言などは好きだったが、
実際に言葉を携帯しようとは思わなかった。
記憶力低下の影響もあるが、何かに縋り付こうとする気持ちの
表れなのだろうか。

ただ、この新しい習慣は、ちょっと困った事態を招いてしまった。
洗濯の時に、うっかりポケットにそれを入れたまま、
いっしょに洗濯してしまうことだ。
もともとハンカチではないので、藍色の染料の威力は強烈なようだ。
洗濯機の中でその威力は遺憾なく発揮される。
室内着はモチロン、バスタオル、Tシャツ、ブラジャーなどまで、
不規則な青い地図模様がしっかり染め上がってしまった。

室内着は毎日洗濯する。
その布を携帯するようになったのは、一ヶ月前くらいから。
約三十日間で、お守りごと洗濯してしまったのは今日で三回目。
確率としては、九割はちゃんと洗濯時にポケットから出しているのだ。
(全然、自慢にならない。)
でもその一割の物忘れのせいで、我が家の箪笥の中身は、
青い不規則模様に侵された衣類が、笑えないくらい増えた。

洗濯物を干す時、「ああーっ! またやってしまったー」と気付く。
ハンカチに書かれた大事な白い文字も、すっかり青く染まり、
今では何が書かれているのか不鮮明だ。

ということで、今日かぎり、お守りをポケットに入れるのは中止です。


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