沖縄二日目の午後、それまで何とか持ち堪えていた天気、 残念ながら、本格的な雨となりそうな気配になった。 それでも、私が「行く!」と言って譲らなかった観光スポット、 亜熱帯の自然、ランの花々などをテーマとした「ビオスの丘」。
「ええやん! 傘をさしながら花を見れば」と悪条件にもヘコタレナイ私。 しかし入園した頃には、ほんとうにザザ降りの雨になってきた。
小道の両脇で無残にも雨に打たれる、たくさんのランの花達、 太陽の光を浴びて、もっと美しく、楚々と咲きたかっただろうに。
観光客の少ないこの時期、しかも平日で雨降り、 こんな日に、広い自然植物園を、高い料金を払って、 雨に濡れながら歩きまわる物好きは、私達だけ?
と思いきや、ジャングルクルーズに三組の客が乗船した。 若いカップルと子供づれファミリー、そして私達。 ビニールの屋根付きの船だから、雨には濡れないだろう。
いよいよ出航という時になって、船頭兼ガイドのお兄さんの 「あなた、芸能人ですね!」という声が耳に入ってきた。
その言葉にハッとなって、ガイドの視線をたどる私。 しかし、通路の反対側に座ってるその人、私の位置からはハッキリ見えない。 かろうじて、首の細い綺麗な横顔がチラリ。 ジーンズに白いブラウス、自然な感じの化粧。 「誰?」と主人に尋ねるが、芸能人に全く無知な二人はわからない。 連れの男性も、帽子を深く被り、眼鏡をかけて俯いている。
さて、楽しい船頭のガイドで、湖畔の植物やランの花、 水鳥などを観察しながら、船は湖の中をゆっくり進んだ。 ガイドのお兄さんは、園内の動植物の説明をしながら、 客の私達にいろいろな問題を出して、回答を迫る。 芸能人のその人、自然な感じで周りの雰囲気に溶け込んで、 とてもいい印象だった。 三択問題の時も、きっちりと手を上げているし、 ガイド先生の質問にも、みんなに混じって、気さくに答える。 船内は、和やかで楽しい雰囲気だった。 ガイドが教えてくれなかったら、私はその美しい人を 芸能人だとは、決して思わなかっただろう。
下船して、家族連れの人が「いっしょに写真を」とお願いすると、 「あっ、ありがとうございます。」とニコやかに並んで立った人。 (私、ファンになりそう)
船着場の売店でこっそり尋ねた。 「モデルの○○○さんですよ。」 「ふ〜ん・・・どんな漢字?」 「???? さぁ・・・ドラマやCMに出演されてますよ」 トンチンカンな質問だったようだ。
帰宅してからネットで調べた。 ひらがな、アルファベット、両方で名前が出ていた。 お隣の男性は旦那様だったのね。
でも、ネット上で見る彼女は、いかにも美人のモデル。 田舎者のオバサンには、近寄りがたい雰囲気の人。
雨の日の植物園、思い出にほんのり色を添えてくれた人。 これから、テレビをもっと注意深く見なくては!
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