雑記目録
高良真常



 蝶の骨 (本)

蝶の骨
  赤江 瀑
 徳間文庫



岸田流子は15年のあいだに見事な変身をとげ、美しい〈蝶〉になっていたが、それはある“悪意の計画”のためだった。女の爪に飾りの彫刻をしている高村涼介に流子は近づき、やがて涼介は流子の美しさのとりこになるが、この涼介こそ、かつて変身前の流子に一顧だに与えなかった男だったのだ。蝶となった流子は男の果肉の中を飛び交いながら甘美な復讐に酔い痴れる――愛の執念と官能を描く赤江瀑の世界。


それは確かに復讐の筈だった。
だが、蝶は知らずのうちに、蜘蛛に絡み取られる――…

復讐の物語でありながら、男女の物語でもある本作。この物語の最後。結局流子は、その最後まで己の欲望を遂げたのだ。本当に絡め取られていたのは――……。










2004年09月07日(火)
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