Rocking, Reading, Screaming Bunny
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Far more shocking than anything I ever knew. How about you?


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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)

*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
 9年続いたサイトの母体は消しました。この日記はサーバーと永久契約しているので残しますが、読むに足らない内容はいくらか削除しました。


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2010年12月05日(日)  Have a cuppa tea, have a cuppa tea

横浜のモーターショーへ。SOの雑誌もブースを出すので、まる一日、その手伝い。モーターショーとはいっても、SOの雑誌が扱うのはホット・ロッド(主に1920〜1930年代の車を軽量化したカスタム・カー)なので、この日もそういったフォトジェニックな車がずらりと並んでいる。

で、私はこの日、「通訳」という名目で行った。このショーには外国からの参加がかなりあり、SOたちは著名な写真家だの車のオーナーだのにインタビューして写真を撮るのだ。SOやカメラマンの後からついてまわったが。
・・・正直、まっったく通訳の必要はないんじゃないかと思った。
まずこのカメラマンが慣れたもので。"Come, come, come!"と手まねきで被写体を呼び寄せ、"Stop!"と止め、"Look."と手であっちを示して向きを定め、"Eye."と手で目線の方向を示す。・・・まったく問題ない。
SOも、雑誌のスタッフも、通訳しろというくせに、私が適切な言葉をちょっとでも選ぼうものなら、その間が待てずに適当に話し始めたりする。そしてそれが結構通じる。
ふと見渡せば、会場全体にいる日本人たちの殆どが、外人相手に全く問題なく談笑している。ちょっと離れて聞くと、ネイティヴ同士の会話のようにスムーズだ。
・・・ちょっと離れて聞くと、という理由は、もし集中して聞いた場合、日本人側が英語ネイティヴでないことは容易にわかるからだ。短文をつなげて喋っているし、語彙も狭い。が、しかし日常的なフレーズを知っていて、基本動詞を駆使した熟語に強い。要するに、タメ口に強いという、日本人英語学習者が一番弱いところに強い。
そしてリスニング力が凄い。まず聞き返すことがない。勿論、外人のほうでも日本人慣れしていて、わかるように喋っているというのはある。それを割り引いても凄い。
全体的に見て、平均的なTOEIC900点台の人間より、遥かに意思疎通能力が高い。
何が一番驚きかというと、ここにいる日本人たちの殆どが、英語を身につけたくて覚えたのではないということだ。英語は、彼らにとって「アメリカ車」の世界に触れる為のツールである。
SOも同じで、古いアメリカ車のことを知りたければ、資料が英語しか存在しないから、一生懸命無理やり読んできたんだという。そして雑誌をつくる為にアメリカ人とやり取りして英語を覚えてきた。

考えてみれば、英語が目的でなく手段なのは当然のことだ。英語は、ひいては言語は、コミュニケーションツールなのだ。しかし、日本の多くの英語学習者は、英語の習得の為に英語を勉強している。別にそれが悪いとは言わない。だが、ひたすら趣味や仕事という目的を達成する手段として英語を覚え、英語を基礎から「学習」している者たちよりよほどうまく使いこなしている人間を、こうも大量に目の当たりにすると、これはもう驚きを超えて、悔しい。
英語を机上の学問として扱う英語上級者を一人つかまえて、この会場に放り込んだら、恐怖すら感じるのではないかと思ってしまう。
――――いやもう、ちょっとした衝撃的体験だった。
英語を学ぶということに関して、根本から考えさせられた。

以前に博物館で、見事な年代もののティーセットがガラスケースに陳列されているのを見て、ミイラを見るような憐れさをおぼえたのを思い出す。お茶を入れる為につくられたのに、その役割を果たせずに飾られているだけの憐れさを。
ティーセットは、どんなに貴重でも、お茶を入れて飲んだほうがいいと思う。でないとそれは茶器ではないからだ。
道具は、使ったほうがいい。使うための道具だ。

Have a cuppa tea, have a cuppa tea (お茶を飲もう)  *Have A Cuppa Tea / Kinks (1971) の歌詞



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