Rocking,
Reading, Screaming Bunny
Far more shocking than anything I ever knew. How about you?
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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
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*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)
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2006年06月12日(月) |
Be quiet. Big boys don't cry |
まず最初に謝る。もしあなたがこれを読むことがあったら、ごめんなさい。
検索で偶然見つけた、歌詞を訳するブログ。10ccの'I'm Not In Love'を訳していた。全て男性の言葉になっていたから、コメントを書いた。「途中のセリフは女性の声だから、女性の言葉で訳するのが適当だと思います。ちなみに私の訳は〜〜です」と。 で、後から見てみた。気を悪くしたかな?と少し不安になりながら。2行だけとはいえ自分の訳まで書いたのはやり過ぎだったかな。 そしたらあまりにも意外なレスがあった。「女性の声の場所があったのですね。気づきませんでした」 そして、「ありがとうございます」とお礼。
呆気に取られた。何それ。何でよ。気づかなかった、って。 曲をちゃんと聴いてないの? ブログのタイトルにはしっかり「音楽」という言葉が入っているのに。 曲のタイトルの下に「傑作」と書かれていて、この曲を賞賛する文句も書かれているのに。 「気づかなかった」?
WMPで'I'm Not In Love'をかける。人生で何百回目かに聴く'I'm Not In Love'を。ずっとこの曲を訳したかったけど、あまりにきれいで手が出なかった。そしてたった2行だけ訳したのがあのセリフだ。 Be quiet. Big boys don't cry. 何故ならこのセリフはこの曲の命だからだ。
'I'm Not In Love'は、この世で一番女々しい曲で、馬鹿馬鹿しいほどまるわかりの愛情を垂れ流している。これがまるわかりなことは、本人である男性も知っていて、半ば確信的にやっている部分もあるが、結局はどうしようもないくらいの恋慕の情なのだ。 好きだ、と彼は訴えている。好きだ、好きだ、好きだ、好きだ、と無能さを不器用さを丸出しにして。 そうして、裸の魂ほど女の心を打つものはない。男の強さなんて何ほどのものでもないが、生き物の牝は無力なものを見ると本能で抱きしめるように出来ているのだ。 彼女が彼を愛しているかはわからない。いや、愛していない可能性が高そうだ。でも、だからこそ彼女は心からのやさしさを込めて言うのだ。 泣くなんて、子供みたいよ、と。 そう、彼は泣いているから。涙が見えなくても、彼女にはわかる筈だ。
───ああ、こんな気恥ずかしい曲は、一生に二度とは書けやしない。ギリギリのところで、透明なうつくしさを保って立ち尽くしている。無駄な音が、無駄な展開が何ひとつない。
私がこの曲にこんなに入れ込んでいること。訳詞(大好きな曲に限る)をする時は必ずイヤホンで耳に直接音を入れてエンドレスで聴き続けること。必ず気分を高揚させたままノンストップで最後までやること。例えばレッチリのように曖昧な言葉が多い場合は、ほぼ全部の単語を念の為に辞書でひくので、時には1曲に4時間かかることもあること。そんなことは全部、あのブログの持ち主には関係ない。 わかってるけど。よくわかってるんだけど。 ────どうしても。自分がずっと長い間、うっとりと眺めてきたものを、軽く扱われたような気がして、涙が出た。
こんな馬鹿な文章は書かないほうが賢い。 でもこの愚かしい感情の奔流を記す為に、この日記はある。 そもそもこの日記自体が愚かしさの象徴だし。 だから書いた。
Be quiet. Big boys don't cry (黙って。泣くなんて子供みたいよ) *I'm Not In Love / 10cc (1975) の歌詞。
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